ミャンマーの医療事情は変わるか?

2018年6月2日(土)

ミャンマーは、近年、急激な経済発展を見せていますが、長年にわたる政治的不安定により、国内の医療整備の遅れが目立っています。

ミャンマーでは、国民の医療に対するニーズも高まっており、政府も、医療体制の整備と医療サービスの充実を、急務の課題として認識しています。

そこで今回は、ミャンマーの医療事情についてご紹介します。

ミャンマーの医療に関する現状

ミャンマーの平均寿命は66歳。日本と比べて、かなり短いですよね。その要因の一つとして、医療環境の未整備が挙げられます。現地の医療施設は、衛生面や設備などに問題を抱えています。富裕層を中心に、毎年、約10万人が、タイやシンガポールといった周辺国の病院をわざわざ利用しているとのことです。
ミャンマー政府は、医療環境の改善を国の優先政策に掲げており、医療機関の整備は喫緊の課題となっています。

高まる医療ニーズ

ミャンマーでは、医療市場が毎年およそ20%も拡大しています。しかし、ミャンマーの人口1万人当たりの医師数は、日本の4分の1にすぎず(5.4人)、がんや心臓病などの治療が行える専門医の育成も十分ではありません。また、ミャンマーでは、健康診断を定期的に受ける習慣がないとされ、重症化するまで医療機関を受診しません。このため、病気の発見が遅れて命を落とすというケースも多く、現地では、高度な医療を受けたいというニーズが高まっています。

日系法人がニーズの取り込みを狙う

医療法人三思会は、昨年、日本の医療機関として初めてミャンマー投資委員会からクリニックを開設する認可を取得しました。今年6月、ヤンゴン中心部に、日本人の医師・看護師が常駐する外来診療クリニックと、内視鏡など日本の医療機器を使用する健康診断センターとを兼ねた医療施設を開設する予定です。
また、三菱商事は、現地の病院と病院運営会社を設立し、2020年の開業を目指してヤンゴンに300床規模の総合病院を建設することを発表しています。
両法人ともに、ミャンマーで不足している分野をビジネスチャンスと捉え、質の高い日本の医療サービスを提供し、ミャンマーの医療水準の向上を目指す方針です。