外国人への入管法改正について考える(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー 木村秀生)

2018年11月15日(木)

来年4月から改正される入管法で外国人の在留資格が変更され、14業種への就労が拡大。また滞在期間の延長や熟練労働者の家族帯同を認めるなど政治的変換期に入ろうとしています。
ベトナム政府が労働力輸出と称し、労働社会傷病兵社会省は毎年海外派遣目標を定めていて今年は11万人。ところが10月で目標を突破し116、675人(女性41,636人)となりました。
10月単月では14、548人、日本が8,078人(女性2、204人)とトップ。台湾、韓国が御三家で他に中東、アジアと続きます。
日本は一番のお得意様。昨年は54,504人(前年比36,5%増)で半数を越える。要するに経費の掛からない外貨収入を期待している訳です。
海外在住ベトナム人からの送金額は年間170憶ドルにも達するので美味しい限り。HCM市にある国の労働機関は積極的に送り込みたいのが本音で立派な訓練施設まであります。
だが低賃金労働が実態の実習制度。派遣される若者には即時に日本の状況や働く現場の実情が伝わるし、以前と違い日本は絶対的憧れで無くなって来ているのが事実。報道されているほど介護職には人気がない。また短大や専門学校で教える建築やもの作りの内容は既に時代遅れが実態。なのに受け入れる日本側が現場の実態を知らない。
若者の意識にも変化が生じている気配もある。日本だけが行くべき所ではなく条件の良い国を選択する傾向に変るのは明らか。優秀な人材ほど余所に取られる可能性や、三顧の礼を尽くしても来て貰えないことだってあり得ます。
海外から若者が増える一方なのに組合員でないと実習生を採用できないなど、旧態の制度を廃止し、時代の変化に即した抜本的な仕組みを作るなど受け入れ方法に変化があって当然。また多くの事例があるように悪徳違法行為が平然と行われている。充分なフォローもない現実。役人任せにせず地域職場など民間で問題を捉え共生を考える必要があると考えます。
さらにベトナム人は家族主義。何よりも家族を想う気持ちが強く存在は大きい。5年に就労期間が延びても余程の事情がなければ帰国する可能性は年齢が増す程に高い。長く働いていて稼ぎたいが長期休暇は取れない。何時しか子供は大きくなって親の顔さえ忘れてしまう。金銭が全てでなく、これが辛くて究極の選択は帰国。こうなると採用した企業も痛手を被り元も子もない。どれだけ家族の支えが必要かは落差があり、日本の尺度で考えてはいけません。

(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー 木村秀生)