ベトナムでの住宅購入② 複雑な実態を経験(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー 木村秀生)

2019年2月28日(木)

PMHは開発が始まったばかりで市中心から約7キロ南の二本川向う。市内と言え周辺は湿地帯。交通・道路、利便施設などは無く、転居してくる人も殆どいない等々で東南の三方角住戸(ベトナム人は北側を望むが)を4、3万ドルで購入。当時この値段、近くで一戸建が買える位だが公団レベル。販売床面積の表示は壁面からの算出(壁芯ではない)、バルコニー面積を含みます。
ベトナムのアパートは大体スケルトン。内装や設備等は購入者でするため各戸の設えには差が出ます。台所、収納・家具類、照明・電器製品など約1万ドル掛かりましたが、業者にあまりインテリア知識がなく指示が必要です。
不動産に関する法律が未整備で権利関係は不明確。区分所有という概念はなく、契約書、管理規約はあるが業者に建築・不動産専門知識は殆どない。物件説明は勿論なく、購入者も規約順守意識などないのが実態。遮光ブラインドを外壁に取付け、内壁にやたら釘を打つ。極めつけはエアコン設置、壁が穴空き煉瓦なので配管はこれを斫って壁中に収めるなどが実例です。
日本の施工方法や仕様などとは違いが随分多い。展開図や詳細図等はなく現場あわせが普通なので取り合い部の収まりが悪い。施工管理技術も低く、墨出しをしないため壁は真っ直ぐ通らず、煉瓦造は音が伝わることが実際にあります。床面には微妙に不陸が生じ、天井は高いが直仕上げ。
使用する建材は施工が中国本土企業なので中国製。サッシは気密性が低く風雨を防げず部屋内に浸水や、細かい砂塵が拡がり頻繁に掃除しなければならない。換気ダクトがなく、給排水管の一部は床スラブを貫通するため上層階の水漏れが滴ってくる等々。修理はなかなか来ず、テキトーに粗い部分補修でごまかす。これは職方の専門性が低く何役もの仕事をこなすのが理由。時間が来れば道具を片付けずにサッと帰るなど気概に欠け、綺麗に仕上がる道理がない。
困るのが工期の大幅遅延。私が契約した建物は完成済みのため問題はないが、工程管理ができないので遅れるのは当たり前。これが数週間どころか数か月に及ぶ場合もあり、補償などは一切ありません。
さて9年ほど住んでバブルが弾ける年に売却。価格は約14万ドルに高騰。
この間の賃料相当額を加味すればなおのこと。だが此処では売る時が大変面倒なのに業者も知らない。個人名義で購入しても夫婦共有財産となるため売却時には両名が契約をしなければならず、日本の必要証明書類を揃えパスポートと大使館・総領事館で認証。さらにベトナム語に翻訳して外事局で認証するなど複雑な手続きが必要で、取引完了まで1~2週間。時間と費用に手間がとんでもなく要るので事前に確認が重要です。
海外では全てが違い驚き満載、日本の常識は通用しない事を認識すべきです。

(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー 木村秀生)