【ベトナム 改正入管法施行に関連して】第2回 ベトナム側の様子

2019年5月15日(水)

こうした中、ベトナムが1~3月に海外へ派遣した労働者(労働力輸出)は、
総数で32、343人(内女性は11、204人)となり、本年の派遣計画、12万人の27%を早くも達成。送り出しのペースは順調に推移しています。
このうち日本への派遣が一番多く、19、056人(内女性6、616人)と2位の台湾のほぼ倍。3位韓国以下は百名単位と圧倒的な格差がある実態です。
国としては海外へ若い労働力を提供する事業は元手が掛らない外貨獲得手段。
従ってこれを管轄する労働傷病兵社会省海外労働管理局は、上記の通り年間の派遣目標を設定し、これを遂行するために民間業者にライセンスを与えて事業を任せているのです。また同省が直接職業訓練を行い海外へ派遣をするとか、短大が職業訓練をして海外の機関と提携、学生を送り込みたいと希望しますが、語学はともかく訓練内容の陳腐化や相手国の実情にそぐわない。むしろ余計な知識の無い方が受け入れ側にとって有利なのに、現状を理解していません。
日本は企業の60%が人手不足で、主に中小の倒産が増えているのが現実とか。おまけにかつては中国からの人材に頼っていたのが、本国での就労機会と賃金上昇に拠り、わざわざ日本に来るまでの事は徐々に無くなり減少してきている。このためベトナムなどのアジア新興国を、人材の供給先として重用しています。現地送り出し機関に日本側の受け入れ機関も、この機会を逃さじと手を広げるとか、新規事業や関連部門として立ち上げる所が急増するなど活発化。改正で現地大卒の技術・人文知識・国際業務ビザでの採用を推進する傾向がみられるなど質的変化がありますが、地場需要も増え人材獲得は難しくなっている実情。
今後は一部の大手企業が既に実施しているのだが、優秀な学生に奨学金を供与、卒業後に業者の手を経ず入社させ、優遇するケースが増える事も考えられます。実習生の多くは地方出身で概して真面目。貧困のため比較的ハングリーだが、日本側の事情はSNSなどで大体は即時に伝わっています。また事業を行っている企業の多くも日本側と緊密な関係を結んでいることに違いはありません。
問題とされるべきは、語学留学も然り、彼らを餌食にして騙す手口で大金をせしめる一部悪徳業者であり、これに乗じてたかる日本側の受け入れ団体を廃絶する必要がありますが、双方の監督官庁や取り締まる法律が甘すぎるのです。
在ベトナム日本大使館では、ベトナム人へ日本での就業・留学についての注意喚起を行い、不適切な業者を公表、関係機関のページを発信しています。
ベトナム経済は順調に成長していてこのため年々賃金の上昇が続いています。以前の様に日本へ来た実習生が田舎の両親のため家を建てたなどの成功物語は過去の事。今は土地の価格や諸物価が上がっていてこの様な真似は出来ません。そろそろ日本は安心して長期間安定して働ける機会と場所、労働環境を整備し、外国人就労を社会が、企業が受け入れに慣れなければならない時代です。
如何に深刻な問題が解決していないという裏返し、徹底した解決が必要です。

筆者:IBPC大阪 ベトナムアドバイザー 木村秀生