海外進出コンサルタントのコラム
Column

エアコンの話


今年のHCM市は特に暑くて例年より1~2度高いため、エアコンが良く売れているとのこと。こんな中、最近急激に成長している地場メーカーが中国製なのにベトナム製とタグを付け替え販売。さらにカンボジアにも輸出するというとんでもない不正行為をしていたとして、現地大手新聞ThuoiTre誌が極秘取材を敢行、証拠を掴み紙面で告発したのです。この新聞、比較的自由な取材姿勢で中立的な批判もするので人気があり、日本語を話す親しい記者もいて日本の新聞社とも提携しています。
件のメーカーASANZO社は2017年の高品質ベトナム製品賞を受賞。政府の、国民はベトナム製品を使おう!とChat Luong Cao(高品質)シールを貼り推奨、購入を呼びかけている最中。2014年からペーパーカンパニーを通じて完成品を輸入、国内で偽装工作をしていたことが判明。大手家電量販店は早速取り扱いを中止したという次第。ただでさえ国産品に信用が薄い所へ、昨年の高級絹製品店のカイシルクに次いで目先の利益に目が眩み恥の上塗りをしました。
年初来の累計販売台数は16万台とかで、今年は目標の30万台に達する見込みで意気軒高。この要因は価格を400万程度に押さえ、一般市民でも買えるのが魅力。それもその筈、安さには秘密の仕掛けがあったのです。これに中国メディアも早速反応。社名を出して揶揄しています。
首相直々に調査を指示。他の製品まで信頼性を疑われますが、この種の問題は尽きる事が無い。露呈する地場企業の経営基盤の脆さ。歴史が浅く企業理念やCSRの欠如がコンプライアンス不毛の落とし穴に嵌ります。
2002年に日本人で初めてHCM市で電気店を開業、多くのエアコンを扱ってきました。ベトナムにもエアコンメーカーはいくつかあり、各社が日本の技術とか日本製コンプレッサー使用を謳っています。すなわち技術がなく部品を集めて組み立てるだけ。製品力が無いため顧客に信用が無いのです。
FUNIKIと日本語か何だか分からない会社名、日本人幹部が居るとの事でしたが電話してみるとこれはウソ。日本製コンプレッサーも一定のメーカーではなく適当にかき集めたもので新品かさえも疑わしく他の部品も安い外国製。価格がリーズナブルな道理です。殆どの人は中を見ても分からない。こうした欺瞞が不正を助長すると思えるがやめられない。
日本のメーカーでは旧サンヨーがビエンホアに一早く工場を作り、1995年頃から冷蔵庫にエアコンを製造。東芝、パナソニック、シャープ、三菱などがそろい踏み。さらにダイキンは此処でも人気で品薄、価格が高くても売れます。
中国製はTCLなどが早くに進出。韓国はサムスン、LGが根を張っていますが、各社とも在住の同国人が自国製品を買うというのが通り相場になっています。
エアコンに纏わる話は枚挙に暇がないが、此処での注意点を挙げてみます。
・機種を選ぶ際はメーカーによって特色があるので事前にチェック。富裕層は空気清浄機能、イオン消臭の有無とかアクセサリーを詳しく調べます。
・ベトナムの家は天井が高く、サッシュの気密性も低いため、適用の広さを参考にすると能力が不足します。
・アパート、戸建もスリーブを入れていない。壁中に配管するため、壁を斫りますが、補修をすれば手間が掛り汚い。怖いのは配管が長いこと。配管時に確かな工事をしなければ水漏れや冷媒が抜ける可能性が高い。
・年中使用するので清掃はこまめにするのが良い。土埃が多く湿気が高いため、カビが多い室内機、汚れの酷いファン、室外機も必ず洗浄する。日本の様に高くありません。
これで電気代や風量はずいぶん違ってきます。放置したままであれば、故障やコンプレッサーが壊れる事もあります。
驚く事に室外機内に鳥が巣をつくっていた事例も実際にあります。また清掃時には必ずガス圧をチェック、足りなければチャージすること。
・万一、修理をする際はその場で行い、作業を確認する事。持って帰って修理すると言い、純正部品を取り替えられたことも実際にありました。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生