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ベトナム税務・会計レポート

ベトナム税務・会計レポート

ベトナム会計・監査制度

会計制度の概要

ベトナムでは、2015年制定の会計法に基づき、ベトナム会計基準とベトナム会計システムを適用しなければなりません。

1)会計基準

ベトナムの会計基準は、国際会計基準をベースとしつつ、金融商品会計や減損会計など公正価値に関する基準を除外するなど、ベトナム独自のアレンジを加えて作成されています。
公表されている会計基準以外にも、財務省が発行する通達などで会計ルールの変更が実施されるため、会計基準に準拠しているだけでは適切な財務諸表の作成をすることはできません。
財務諸表作成のために順守すべき法規制、会計慣行を総称して、ベトナム会計基準(Vietnam Accounting Standard「VAS」)と呼んでいます。

2)会計システム

財務諸表様式、会計帳簿様式、勘定コード体系、証憑書類の作成・管理法などをまとめたもので、この規定に従う必要があります。

財務諸表の構成

貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書、財務諸表の注記で構成されており、様式等規定に従って作成します。その他の包括利益計算書は財務諸表に含まれません。
すべての外資法人は、決算日から90日以内に財務省、税務局、統計局、投資ライセンス発行機関等に、監査済の財務諸表を提出する必要があります。

会計期間

原則として、1月1日から12月31日までの暦年を使用しますが、事前に財務省に登録すれば3月、6月、9月末を決算日とすることも可能です。会計年度は原則1年(12ヶ月)です。設立初年度、最終年度(法人清算時)に限り、最大15ヶ月を会計期間とすることが可能となります。

会計帳簿

会計法により、法人は会計帳簿を作成し、会計年度末から10年間、証憑書類とともに保存する義務があります。(帳簿や財務諸表の作成に直接使用しない書類については5年間保存する必要があります。)
勘定科目は、財務省の勘定コード表の中で、勘定科目名と勘定コード(大項目3桁、中項目4桁)が決められており、この勘定科目と勘定コードを使用しなければいけません。
会計帳簿はベトナム語で記帳します。外国語を使用することも可能ですが、その場合ベトナム語も併記します。
通貨単位は、原則ベトナムドンを使用します。
輸出加工企業など、取引の多くが外国通貨で行われている場合、外国通貨を使用することも可能ですが、事前に申請が必要です。
ただし、当局提出用の財務諸表は、一定のルールに従いベトナムドンに換算して表示する必要があります。

証憑書類

作成・管理・保存方法など法令によって詳しく規定されており、不備がある場合には罰金が科せられることになります。

創立費・開業費

創立費(ライセンス取得までの費用)および開業費(ライセンス取得後営業開始までの費用)は、前払費用として計上し、創立費、開業費とも営業開始から3年間にわたり償却することが可能です。

棚卸資産の評価法

個別法、先入先出法、加重平均法が認められていますが、総平均法が一般的です。

固定資産

耐用年数が1年以上で取得価額が3,000万ドン以上、将来にわたって経済的便益が見込まれる資産は、固定資産として計上されます。ただし、取得価額が3,000万ドン未満もしくは、使用期間が1年未満であっても、ある程度の期間使用される資産については、短期前払費用もしくは長期前払費用として資産計上し、耐用期間で均等に償却します。
減価償却は、定額法、定率法、生産高比例法が認められています。定率法、生産高比例法の使用は一定の要件を満たす必要があり、定額法が用いられることがほとんどです。

財務損益

日本では、営業外損益の一つとして営業損益の後に表示されますが、ベトナムでは、営業損益内に表示されます。

チーフアカウンタント(会計主任)制度

企業は、設立初年度は会計責任者を任命すれば会計主任を置く必要はありませんが、設立2年度からチーフアカウンタントという資格を持つ会計主任を任命する必要があります。
この会計主任は、会計責任者として会計部門を管理し、決算書類等に署名します。財務諸表に対し、会社経営者とともに責任を負うことになります。
チーフアカウントは直接雇用せず、会計事務所に委託することも可能です。
ただ、チーフアカウント資格は、会計の専門学校や大学卒業後、実務経験2、3年で受験可能な資格で、合格率も高いため、すべての有資格者が十分な会計税務の知識を持っているということではありません。

会計監査

外資系企業は、独立会計監査法人により、年次財務諸表の監査を受ける必要があります。監査報告書は、決算日から90日以内に税務省、統計局、投資ライセンス発行機関などに提出しなければなりません。