ミャンマーでの支店・会社設立にあたっては、ミャンマーの商習慣や文化、法律を理解した上で、最適な設立プロセスや設立形態を選択していく必要があります。
また、それだけでなく、設立後も予期せぬトラブルを最小に抑えるために、ミャンマー特有のルールを理解し正しく従うことも求められます。
VACコンサルティングでは、ミャンマーでの支店・会社設立におけるご相談から、コンサルティング、ライセンス取得手続きなどの実務まで、ワンストップでご提供いたしております。
料金(弁護士費用・登記料含む)
支店設立 | 2,000ドル |
---|---|
現地法人設立 | 2,000ドル |
この料金は、大手と呼ばれるコンサルティングファームと比べると半額程度。
VACではグループ企業のVACヤンゴン会計事務所や現地のネットワークをフルに活用することができるので、この安心の料金設定が実現できるのです。
進出の形態・ミャンマー会社法概要
進出形態について
ミャンマーへの進出形態としては、現地法人、支店、駐在員事務所の3つがあります。
現地法人は、ミャンマー会社法により設立された法人で、新会社法が2018年8月1日より施行されます。会社設立が新法か旧法かにより、若干設立手続き、要件が異なる点、ご留意願います。
支店とは、例えば日本法人の支店をミャンマーに設置することであり、法人格としては本店(日本法人)と同様です。また駐在員事務所ですが、銀行や保険等の一定業種にしか認められておらず、それ以外の業種では支店設立となりますので、ミャンマーでの支店は、事業活動を前提とする支店とこれを前提としない駐在員事務所とが混在していることとなります。
ミャンマー会社法の概要
現地法人、支店設立に際しては新投資法が適用され、設立にあたりその営業活動の範囲について、DICAの認可を通じた外資規制が行われております。規制の典型は、トレーディング業務(小売り、卸売り)であり、一定の例外を除き、外資には認められておりません。 なお、新会社法の施行後は、外資の保有比率が35%を超える会社は外資会社とされ、外資規制の対象法人となりますが、35%以下の会社は、内資会社として規制の対象外とされます。もちろん支店は100%外資です。
会社法及び関連法律は以下通りです。
法律 | 備考 | |
---|---|---|
1 | The Myanmar Companies Law, 2017 ※新会社法 |
有限責任株式会社(Private Company limited by shares) |
公開会社(Public Company limited by shares) | ||
有限責任保証会社(Association as Company limited by guarantee) | ||
有限責任保証会社(Company limited by guarantee) | ||
無限責任会社(Unlimited company) | ||
海外法人(Overseas Corporation) | ||
2 | The Myanmar Companies Act, 1914 | 上記の旧法 |
3 | The Myanmar Investment Law, 2016 | MIC許可, 是認(Endorsement) 投資分野や投資金額による |
4 | The Special Economic Zone Law, 2014 | 経済特区にて進出する場合(ティラワー経済特区) |
5 | The Special Company Act, 1950 | 合弁相手が国営企業の場合 |
6 | The Partnership Act, 1932 | 企業形態ととらず合資する場合(現在実施無し) |
新会社法の留意点
- 現地法人
- 外資比率が35%以下の企業は、ミャンマー企業(内資企業)として認定
- 株式の額面および授権資本の廃止
- 最低資本金の廃止
- 取締役は1人以上で、最低1人はミャンマー居住者(年間183日以上滞在)であること
- 定款を作成又はモデル定款の採用
- 支店
- 代表者(支店長/General Manager)のうち最低1人はミャンマー居住者(年間183日以上滞在)の必要がある
- 海外会社の支店が当地で30日以上事業を行う場合には新会社法に基づき登録すること
- 会社登録は投資企業管理局のMYCO(Myanmar Companyの略(DICAの登記システムの名前))オンライン登録システムで行うこと
ミャンマー投資法概要
ミャンマー投資法が2016年10月に施行されました(旧外国投資法・旧ミャンマー投資法を中止し、一体の法律に)。
MIC(Myanmar Investment Commission)認可の取り扱い・製造業への認可多数
- MIC投資認可
最低資本金500万ドル
5年以上の土地・建物賃貸 - エンドスメント認可
最低資本金規定なし、500万ドル以下
5年以上の土地・建物賃貸
MIC投資認可・エンドスメント認可企業は以下の恩恵を受けられます。
- 不動産長期利用許可
初期契約期間50年+10年+10年(2回10年更新)で最長70年のリースが可能 - 免税許可(税優遇)(投資認可・エンドスメント申請者から申請)※最低資本金30万ドル
ミャンマーの全体を3つのゾーンに分離
ゾーン1・・・法人税7年間免税:最も開発が遅れた区域
ゾーン2・・・法人税5年間免税:一定程度開発が進んだ区域
ゾーン3・・・法人税3年間免税:開発が進んだ区域 (ヤンゴン)
商業税、関税免税・・・建設期間内の建設資材・機械・備品、製造材料に対して免税
ミャンマー経済特区法概要
2014年1月に経済特区法が施行されました。
- 日本政府・ミャンマー政府共同で開発をしたティラワ経済特区が中心
その他 経済特区は未だ動いていない - 最低資本金:8 万、30万ドル*、50万ドル、75万ドル、200万ドル、500万ドル、1,000万ドル
(業種/ Zoneによる) - ●Free Zone投資 ●Promotion Zone投資の選択
経済特区法上の優遇措置
Free Zone
事業開始から7年間法人税の全額免除、翌5 年間法人税50%免除、次の5 年間も50%免除
製造の目的の原材料の輸入関税・その他の税金が全額免除
長期賃貸可:50年間(25年間の延長可能)
Promotion Zone
事業開始から5年間、所得税の全額免除、翌5 年間の50%免除、次の5 年間も50%免除
販売目的でない機械類の輸入関税その他の税金が全額免除(事業開始から5年間)
販売目的でない機械類の輸入関税その他の税金が50%免除(事業開始から6年目以降5年間)
長期賃貸可:50年間(25年間の延長可能)
ミャンマー支店設立
ミャンマー事業規制
ミャンマーで支店設立をするには以下のような事業の規制があります。
- 新投資法(2016.10.18施行)の42条(事業規制)
- 政府のみが行える事業
- 外国投資家の行えない事業
- 内資、外資の合弁で認められる事業
- 省庁からの承認により行える事業
- 投資法規則(計画財務省告示35・2017)
- MIC告示15・2017(ネガティブリスト)⇒42条(事業規制)の詳細
- 卸・小売り規制(商業省の告示の例)
- 告示No.20等⇒ 自動車・重機等の輸入販売(但し、ショウルームでの輸入・販売。合弁)
- 告示No.96等⇒ 肥料・種・殺虫剤・医療機器の輸入・販売(当初合弁、その後100%外資OK)
- 告示No.56等⇒ 建設資材の輸入・販売(当初合弁、その後100%外資OK)
- 告示No.25 ⇒ 「卸・小売り」一般の規制緩和
- 私立学校への投資規制(日本語学校との関連)
- MIC告示No.7 ⇒ 私立学校に100%外資で投資可能(DICAであって、教育省の告示でない)
別途、MICはその審査基準も公表。従来のYCDC許可との関係
- MIC告示No.7 ⇒ 私立学校に100%外資で投資可能(DICAであって、教育省の告示でない)
投資促進業種について
政府が投資を奨励している業種は以下のようになります。
No | 分野 | 項目数 | 内容 |
---|---|---|---|
1 | 農業 | 30 | 農作物の栽培、生産支援、検査サービス、農作物卸売市場のためのインフラ構築など |
2 | 森林プランテーション | 4 | プランテーション、チーク・天然ゴムの栽培など |
3 | 畜水産 | 10 | 家畜や水産資源の繁殖・生産など |
4 | 製造業 | 92 | 食肉・魚などの加工・包装、食用油の生産、加工食品の生産、アパレル・靴の生産、工業製品の生産など |
5 | 工業団地の開発 | 1 | |
6 | 新都心の開発 | 1 | |
7 | 都市開発活動 | 5 | 上下水道、ごみ収集、廉価住宅の建設・賃貸、公共交通機関など |
8 | 道路・橋・鉄道の建設 | 4 | 道路、鉄道、滑走路の建設など |
9 | 湾口・河川港・ドライポートの建設 | 1 | |
10 | 空港の運営・管理・メンテナンス | 1 | |
11 | 航空機のメンテナンス | 1 | |
12 | 輸送・移送サービス | 12 | 鉄道輸送、航空輸送、コールドチェーン構築など |
13 | 発電・変電・送電 | 1 | |
14 | 再生可能エネルギーの生産 | 2 | 自然エネルギーによる発電・変電・送電、エンジニアリングサービスなど |
15 | 通信事業 | 3 | 光ファイバー網の施設、通信塔の建設、通信サービスなど |
16 | 教育サービス | 7 | 私立学校、職業訓練学校など |
17 | 健康サービス | 5 | 病院・クリニックなど |
18 | ITサービス | 2 | ITインフラサービス、ソフトウエア開発 |
19 | ホテル・観光 | 3 | ホテル・リゾート、エコツーリズムなど |
20 | 科学研究・開発事業 | 7 | 農業・畜産業の研究・開発、工業開発・エンジニアリング・技術研究など |
支店設立・登記の流れ
必要書類準備
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Myanmar Companies Online (MyCO)にて申請手続き
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登記料支払・登記完了(申請から1週間以内)
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銀行口座開設・営業開始
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資本金送金※ 最低額は決まっていない(以前は5万ドル)
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印鑑作成
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登記完了後2カ月以内に年次報告提出
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毎年年次報告書提出、本社の年次財務諸表を提出 |
支店設立に必要な書類
必要書類 | 言語 | 部数 | 備考 |
---|---|---|---|
本社定款(コピー可) | 日本語 | 1 | 英語・ミャンマー語の翻訳が必要 |
本社登記簿謄本(原本) | 日本語 | 1 | 英語・ミャンマー語の翻訳が必要 |
支店代表者の任命書 | 英語 | 1 | 代表取締役の署名が必要 |
支店代表者パスポート(コピー可) | 1 |
ポイント
2018年8月により本社の直近2年分の決算書、取締役会決議書の提出、及び日本のミャンマー大使館と公証場による公証認証の必要がなくなった。
支店閉鎖の流れ
取締役会(Board of Directors)で会社清算の決議を行う
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清算人(liquidator)の任命
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清算日まで決算・税務申告
|
清算人は、負債の清算、税金の支払い等、所用の手続き
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MyCO を通じて、E-9Form を提出する
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会社の純資産の清算(海外送金)
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MyCO を通じて、E-12 Form を提出する |
※約6カ月間~掛かります。
ミャンマー現地法人(有限責任株式会社)設立
外資の設立する会社のほとんどが、有限責任株式会社(companies limited by shares)です。
会社法には、最低資本金額の定めはありませんが、 DICA(投資企業管理局)が運用上、最低資本金額を指定しております(例えば、サービス業:5万米ドル、製造業、建設業及びホテル業:15万米ドル。2018年3月現在)。
有限責任株式会社(Company limited by shares)の形態
形態 | 外資比率 | 備考 |
---|---|---|
100%外資会社 | 100% | |
合併会社 | 35%超100%未満 | 外資比率は当事者間で自由に決定。 業種によって省庁へ確認 |
100%内資会社 | 35%以下 * | 新会社法施行後より適用 |
* 2017年12月制定新会社法により、外資35%まではミャンマー企業として認められる。
会社(現地法人)設立・登記の流れ
必要書類準備
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Myanmar Companies Online (MyCO)にて申請手続き
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登記料支払・登記完了(申請から1週間以内)
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銀行口座開設・営業開始
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資本金送金※ 最低額は決まっていない(以前は5万ドル)
|
印鑑作成
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登記完了後2カ月以内に年次報告提出
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毎年年次報告書提出 |
現地法人設立に必要な書類
必要書類 | 言語 | 部数 | 備考 |
---|---|---|---|
ヒアリングシート (会社情報・出資者・資本金・取締役情報) |
日本語・英語 | 1 | Excelファイルに記載 |
取締役・出資者のパスポート | 1 | ミャンマー人の場合N.R.C | |
登記簿謄本 | 英語 | 1 | 出資者が法人の場合にのみ |
定款 | 日本語・英語 | 1 | 独自定款を使用する場合、またはモデル定款を採用 |
会社(現地法人)閉鎖の流れ
取締役会(Board of Directors)で会社清算の決議を行う
|
株主総会における会社清算の特別決議を行い、清算人を使命
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清算日まで決算・税務申告
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取締役による裁判所における宣誓を行う
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債権者に対する新聞公告(Gazett 及びNewspaper)をおこなう
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清算人は、負債の清算、税金の支払い等、所用の手続き
|
MyCO を通じて、J-4 Form を提出する
|
最後の株主総会開催に関する新聞公告をおこなう
|
最後の株主総会を開催する
|
会社の純資産の清算(海外送金)
|
MyCO を通じて、J-5(A) Form を提出する |
現地法人閉鎖に必要な書類
必要書類 | 言語 | 部数 | 備考 |
---|---|---|---|
申請書類一式 | 英語 | 1 | |
取締役会決算書 | 英語 | 1 | |
決算書 | 英語 | 1 | |
納税証明書 | ミャンマー語 | 1 | |
株主総会 | 英語 | 1 | |
宣誓書 | 1 | ||
申請フォーム J4、J5 | 英語 | 1 | |
納送金依頼書 | 英語 | 1 |
ミャンマー合弁会社設立・株式譲渡に関する実務
合弁会社設立・登記の流れ
必要書類準備
|
Myanmar Companies Online (MyCO)にて申請手続き
|
登記料支払・登記完了(申請から1週間以内)
|
銀行口座開設・営業開始
|
資本金送金※ 最低額は決まっていない(以前は5万ドル)
|
印鑑作成
|
登記完了後2カ月以内に年次報告提出
|
毎年年次報告書提出 |
合弁会社設立に必要な書類
必要書類 | 言語 | 部数 | 備考 |
---|---|---|---|
ヒアリングシート (会社情報・出資者・資本金・取締役情報) |
日本語・英語 | 1 | Excelファイルに記載 |
取締役・出資者のパスポート | 1 | ミャンマー人の場合N.R.C | |
合弁契約書 | 英語 | 1 | |
登記簿謄本 | 英語 | 1 | 出資者が法人の場合にのみ |
定款 | 日本語・英語 | 1 | 独自定款を使用する場合、またはモデル定款を採用 |
株式譲渡の流れ
取締役決議書
|
株主譲渡契約書・印紙税0.5%納付
|
株主譲渡に対して所得が発生する場合所得税10%納付
|
MyCO を通じて、C3 Form を提出する |
株式譲渡に必要な書類
必要書類 | 言語 | 部数 | 備考 |
---|---|---|---|
取締役決議書 | 英語 | 1 | |
株主譲渡契約書 | 英語 | 1 | |
申請書C3 Form | 英語 | 1 |
会社設立における留意点
MYCO (Myanmar Companies Onlineについて)
- 2018年8月により会社登録局(DICA)が実施したシステム
- 会社登記に関して従来の書類提出制度が無くなった
- MYCOアカウントを開設し、オンラインにて会社登記が簡単化に
https://www.myco.dica.gov.mm - MYCOシステムで税務局は登記企業を簡単に把握できるようになった
- 規制されていない業務を行う企業はMYCOの登記のみでOK
(例:コンサル業務、ITサービス業務等) - 各部署からライセンス入手が必要な場合はMYCO登記以外に各種ライセンス取得が必要(例:レストラン、語学学校)
- 2019年2月現在ミャンマーで登録されている会社数:58,616社
MYCOの手続き
MYCO用アカウント開設(ID・パスワード)入手
https://www.myco.dica.gov.mm/public/setupaccount.aspx

- ID入手後にMYCOにログインし、必要情報の記入・添付
- 登記料の支払・完了(250,000チャット)
- 会社登記証明書(Certificate of Incorporation)をダウンロード
- 会社登記簿(Company Extract)をダウンロード
会社登記期間と費用(実費のみ)
会社登記費用は以下のように推移しています。
2019年 | 2017年 | 2015年 | 2012年 | |
---|---|---|---|---|
会社設立期間 | 2週間~1ヶ月 | 2ヶ月~4ヶ月 | 3ヶ月~6ヶ月 | 8ヶ月~1年 |
会社登記料 (実費) |
166ドル | 635ドル | 1,175ドル | 2,500ドル |
ミャンマー会社設立に関するよくある質問
A | 返金可能です。銀行によって請求書・契約書等を要求されます。 また、本社向けの売上で相殺する場合も多くみられます。 |
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A | 決算・監査業務の完了後に、配当金の海外送金は可能です。 |
---|
A | 中央銀行の許可が必要です。 中央銀行でローン金額・返済スケジュール・利子について事前相談必要です。 |
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A | 増資手続きは容易に出来ます。 |
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A | 出来ません。 支店/駐在員事務所(海外法人)を一旦閉鎖し、新たに新会社(現地法人)を設立する必要があります。 |
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A | 休眠会社の扱いはございません。 閉鎖しない限り、毎年決算・監査・税務申告をする必要があります。 |
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未だ決まってない場合どうしたら良いですか?
A | 会社設立時にオフィスの住所は必要です。 まだ決まっていない場合、仮の住所で登記可能です。 しかし、近いうちに決まった住所で住所変更手続きをする必要があります。 |
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A | ミャンマーに行く必要がありません。メールやり取りで足ります。 投資法・経済特区による申請の場合はミャンマーに来て、当局と直接会談する必要があります。 |
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