これまでの現金を使った対面型の支払いからカード利用。またさらに電子決済非接触型決済へと進行中のベトナム。COVID-19に拠る感染拡大がひとつの理由として大きく加速しようとしています。国がデジタル化を促進しようとする政策にとっても、この電子決済方法は重要な要素となり得るもので、政府がデジタル政府と名付けるくらい国全体の手続きを、IT技術を使って変えようとしている中、この様な動きは極めて大きな援軍となるのです。
当初は街中、或いはマンションや地域ごと、しかも長期の封鎖。買い物も制限されて急速に進んだのがネットを利用したECサイト。非接触で消費者は商品を注文でき、配達してもらえるので安心。支払いはスマホでしており、これが拍車をかけたとも言えます。
またグラブのタクシーやバイク・タクシーでもすでに数年前から実施。呼び出しも、支払いもスマホ。指定した停車場所と行き先をインプットすれば、待ち時間、運転者名、料金も予め示されるので安心、納得。だがどんな車種が来るのか分らず、当りはずれは大きい。COVID-19発生前に例年の如くHCM市へ行き、古くからの友人宅で食事をして、帰りに用意してくれたのがグラブでの配車だった。もう支払ったから、と念を押されたけれど、どの道を通ろうが、仮に道に不案内で遠回りしたとしても、料金は変わらず問題ないと言うメリットがあります。これは二度三度ではない。
実際に夜道に慣れていなかった素人。回るべき道を通り越し次の交差点で左折を運転手に指示したほどで、自分の車を使った個人アルバイトのようなもの。
日本では認められてないけれど、HCM市ではもはやタクシーは減車の憂き目。
こんな状況がありました。便利は便利だが、高いのか適正なのか、それまでの乗車経験が無ければ判断はできません。
これに比べて日本ではまだ発達せず、現金での支払いが多い。
現金決済に拠らない方法に変るためには、決済方法のシステム化を構築しなければなりません。ベトナムの統計で2021年に行われたキャッシュレス決済は約19億回で、24兆VNDとあります。これは前年比で回数が170%、
金額だと164%がったと言う。もはや一般家庭で学校の授業料も銀行振り込みではなく、電子マネー決済になったと保護者が驚くほどになった。
いつも私が利用していたご近所のサイゴンコープ、ここでも感染拡大の結果、キャッシュレス決済が40%増えた店もあると言うほど。現在来店者の32%が現金以外となった模様。さらに17%が調査では今後利用するとある。
即ち人と接触しないから安全なのだが、それ以上に便利ということの様です。
ベトナムはアジアでも急速に電子決済が進んでいると金融機関が話している位。国がさらに促進するには、情報技術の進化、インフラ整備、国家規模でデータベースを共有しなければ成し得ないと述べているが、IT関係の若い技術者や企業が発展しているので、これはそれほど時間が掛らないと考えます。
これまで携帯電話の会社、モビフォン(ベトナム郵政グループ)、ベトテル(軍隊系通信企業)の2社は国の許可を得て独自のデジタル通貨を発行して、運営を開始したとあり、こうした動きもキャッシュレス化を促進すると考えられる。
実はベトナム国民のほぼ半数が銀行口座を持っていないために、10万VND(約500円)以下の少額決済は現金だと言うのです。当たり前だが日本ならば現金を出します。更に山岳地域や辺境の地など、銀行すらない所は使いたくても使えないし、使いたくもなく、使い方も知らない人は当然多い。こうなるとキャッシュレス決済をより使いやすくする方法にしなければならない。
実際の所、ベトナムでは2025年までにキャッシュレス決済の発展を目指すプロジェクトが進行中とあります。中央銀行ではこれを促進するために、法的枠組みを整理して、金融サービスと情報処理技術を結び付けるフィンテック、不正防止を防止するセキュリティー機構の技術を促進すると、何やら難しい課題を推進するとあります。さらにインフラの整備を強化、銀行や決済仲介者(企業)と、商品やサービスを提供する企業との間で連携を改善し、決済処理を即時にする運用も確立してゆくとしています。およそ日本では考えられないのがこの国の中央銀行の力。
さて、ベトナムの通貨VND、ドン。これは銅を意味するけれど、実は日本はこれを大量にベトナムに朱印貿易で輸出していました。これがそのまま紙幣になっても残っている訳です。単位をギンとか北部ではガンと言うけど、これも銀から来ており、当時日本の世界的な大産地。此処から来ているという。
しかし、今は無いが過去には100万VND札が使用された一時期があるほど、桁の多さに日本人は換算には付いていけない。それこそ不動産の決済などもう大変で気が狂う程。私がアパートを売った時はVNDでの決済。ベトナム人がこれ程のドルを持つ事は先ずない。銀行で決済したけれど、リュックサックに札束を詰め込むほど。勘定するのも面倒臭くい。小切手などやドルでの銀行振り込みも無かったのだが、簡単に銀行で両替などしてくれません。
VND札はとんでもなく汚い。中には文字や数字などを書き込んであり、余り酷ければ支払い時に受け取ってくれなかったのです。それだけ価値が低かった証明かも知れません。
また偽造が頻繁にあって、稚拙なのだが大量の札束に紛れるともう分らない。
これもキャッシュレスの理由なのかと考えます。この紙幣?今ではオーストラリアのポリマー製。だが熱に弱く縮んでしまうし、擦り切れると汚いし文字も見えない。
株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生