(GDP成長率)
この先ベトナムの地場製造業や国内産業、投資国にはたまた輸出入国が変わりつつあるとの見方も出来ない訳ではないけれど、これまで記した通りだがこの国が抱えている諸問題、すなわち資源・素材が自国で生産できず輸入に頼る、精密部品が製造できない、高精度の加工機械の製造能力が低い、また科学技術・研究開発力が弱い、高度人材が少なく教育レベルが低い。など早い時期に根本から是正されるとは思えません。こうなると外資系に頼ってしまう。
こんな中で昨年のベトナム経済は浮いたり沈んだりと、世界の情勢をまともに受けていたにも拘わらず、昨年12月にアジア開発銀行が発表したところでは2022年のGDP成長率を7,5%と前回の7月時点での調査から1%上方修正したとの報道がありました。しかしベトナム産品に関して世界の需要低迷予測から今年は6,3%と若干の下方修正をしている。
国内メディアは昨年に幾つかの課題があったけれど、GDP成長率が8%に達するのはアジア主要国の中で最も高いと評し、政府は15目標のうち14が達成または上回ったとしています。
統計総局は昨年度の成長率は8,02%で前年から大幅に加速。HSBCは7,6%、世界銀行は7,2%とみています。
第3四半期の13,67%は2011年から期間中最大の増加であり、中でもサービス部門は10,6%近くとなり半分以上を占めたとあります。また産業・建設は約9,5%、農業・水産業は輸出が好調と伝えているけれど、3%には若干届かなかった模様です。
(輸出入額と貿易黒字)
輸出10,5%増の3715億ドル、輸入は8,5%増加し3605億ドル。
貿易収支は約110億ドル、7年連続(何れも推計)の黒字を達成。
例年通りだが、アメリカが最大の輸出国で、1015億ドルと前年比18%増。次いで中国が1090億ドル、前年比9%の増加となっています。
(FDI:推定値)
FDI認可額は前年比11%マイナスの277億1813万ドル。実行額は逆に13,5%増加して223億9600万ドルとなった。新規認可数は17,1%増、1107件、認可額は12,2%増えて101億1781万ドル。
国月では1位シンガポールが64億5501万ドル(23,3%)、韓国、日本、中国、香港となっている。また地域別で見ると、HCM市が1位で39億4044万ドル、2位ビンユン省、3位クアンニン省、4位バク認証となっている。
また産業別では、製造・加工業が150億ドルともっとも高く、これに続いて不動産、電力だったとあります。
昨年の特徴は、レゴが11億ドルを投じて新工場建設に着手。またアメリカのアップル社が3億ドルを投じて、3万人を雇用する工場を建設する予定であり、これは中国からの工場移転。インテルが半導体工場に10億ドルを投資する。
日本企業もこの企業が?とこれまでのイメージを払拭して高付加価値生産として半導体を製造。これからこの半導体がベトナムで各国企業が生産を増加させ、輸出割合は巨遅くに増えると思われます。また3ナノから2ナノへと技術革新も進むだろうし、こうなると研究施設も設置される可能性も高いのです。
この様に多国籍企業の進出があり、そのなかでもエレクトロニクス分野、ハイテク分野への進出がある。これからこの図式は続くだろうとみている。
(ハノイとHCM市の成長率)
ハノイ市の人民委員会は、今年の世界経済、政治の不安定要素や安全保障などの状況が続くであろうと分析。また社会や経済情勢も予測不可能な状況にあると推測。こうした状況から、金融、為替、エネルギーに少量問題は続くとみて大筋では今年は経済成長が若干鈍化する可能性が高いと判断。ハノイ市の今年のGDP成長率予想を7%にするとあります。また一人当たりGRDPは1億5000万VND(6250ドル)とする目標も人民委員会で設定しています。
公共投資は47兆円VNDとする一方、2026年までに公務員の人数を5%削減すると表明しました。
消費者物価指数は昨年同様に維持、投資に付いては10,5%増加する方針、また輸出高を6%増やすとする目標も設定しました。
国会はGDPを6,5%、一人当たり4,400ドルに目標を設定しているが、首都にあっては様々な環境に置かれてもそれ以上の成長を目指したい意向。
HCM市は第三四半期に前年同期比でGRDPを25%も縮小。過去35年間で最悪のマイナス6,7%となったと報じられています
この幾つかの成長目標が達成できなかった理由について、市はCOVID-19が蔓延するのを押えるために全勢力集中。このため6~9月までの間には殆どの経済活動が停止や減速したと分析。これが大きな要因だとしています。
現在はこれまでの普通の状況には戻っているけれど、しかしCOVID-19ハ完全に収束した訳ではなく、設定した目標達成はもちろん努力するが、またCOVID-19との闘いは終わってはいないため、経済活動を復活させてきたが、まだ幾つかの施設は閉鎖されたままであるとし、感染防止の手を抜くのは危険としている。
HCM市の書記は今年の成長目標を6~6,5%に置くとしています。
株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生