・HCM市で4カ所の自由貿易地域を設立する計画があるというのだが
HCM市産業貿易局によると、市か所の自由貿易地域を設立し投資家に新たなビジネスチャンス創出する計画があるという。
これ等のゾーンは地域経済を活性化するだけでなく、世界の主要都市での地位を高めると期待される。産業貿易局では首相が承認した2050年を見据えた同市のマスタープランに基づき、最近実施された行政区域の拡大を受けて提案された自由貿易地域の課題などに報告したとあります。
なお今回の再編でHCM市はビンユン省とバリア・ブンタウ省を合併している。
計画によれば、市南部のカンザー地区、港湾関連ではカイメップハ、アンビン、バウバンの4つの地域がある。カンザー地区は1000~2000Hrになりカンザーの国際積み替え港にリンクする。このエリアは広大なジャンル地帯が残っており、既にVinグループが目を付けて住宅開発を行う予定。であればなおのこと投資に積極的なのはもっともだが、出来過ぎでキナ臭くて堪らない。
またカイメップ地区は3764Hrで3つのエリアと8つのサブゾーンになる。
アンビンは鉄道の計画路線のアンビン駅付近に計画されており、旧ビンユン省物流基地~カイメップ・チーバイ港~タイニン省モクバイ国境のゲートを結ぶことが目的。バウバンも同じくこのロクニン鉄道沿線にあるけれど、研究段階で見通しははっきりしておらず鉄道の完成次第となっていると、あやふやな話。
この4か所の自由貿易地域計画は国内外から関心を集めているという。これにはDP、VINグループなどから参加したいと手が上っているが、法的規制や具体的な政策が明確でないなど課題があるとされる。また今回の行政区域再編で合併前の経済規模や旧各省の産業形態の違いもあるため、物流、工業、金融にサプライチェーンなどの現状を再評価しなければ非効率とされます。
こうした現状から政府は、自由貿易地域の提案の承認、投資誘致に事業運営を促進するため多様な開放的で優遇政策、さらに成長するため戦略的な枠組みを策定する提案をしているとある。
また計画しているアンビンとバウバンは規模が100Hrと小さく、現HCM市政府は実施が難しいとしている。そこで旧ビンユン省は未だ地域意識が高く海外企業が多く操業する巨大な工業区が稼働しており、開発企業ベカメックス社に対して、500Hr規模の自由貿易地域の調査を委託したとあります。
要は旧HCM市が最も勢力がある訳で、省再編は何のためにやったのか。
・国際金融へ一歩前に踏み出す 55階建て複合ビルが落成
ベトナムの金融の中心でもあったHCM市。海外からの投資が多く経済中心地であったのは旧サイゴンからの伝統。かつて東洋一の貿易港であったDNAが引き継がれ今も健在だったのかも知れません。
このビルだがトンドゥォクタン通りの一等地に建設。HDバンクなどの出資で地上55階、地下5階というベトナムトップ3に入るビルと評されます。
HDバンクと言えば、ベトジェットエア グエン・ティ・フック・タオ女史が副会長を務めている訳で、今や飛ぶ鳥を落とす勢いの経営者という像が強いのだが、いよいよ金融にも進出かと考えられる。ビルの完成でHDバンク本社はビルの中に移転するというからまさにタオ帝国の象徴にもなることを意味する。
落成式には市共産党委員会からネオ書記、中央政府副首相、国家銀行の副総裁が参列なので関心と関与の深さが分ります。
トイチェ紙は、世界の金融の新たな目的地として記事を掲載。これまで数十年の育成期間を経てようやくHCM市に金融センターW建設としています。また財務省とHCM市人民委員会は国際金融センターに関する決議を行って、9月1日から発効。ベトナム国際金融の新たな地位を確固たるものにする戦略的な第一歩と捉えているともしている。
この決議はテクノロジーとイノベーションを応用した金融サービスに対する、実験的金融政策を想定。グリーンファイナンス、デジタル資産とフィンテック、商品市場とデリバティブに対する優遇政策も執行機関が発布できるようにしたとあります。エッ、商品市場ってあったっけかな。
この金融センターの設置とは魅力的で競争力のあるビジネス創出にあり、世界から金融業、投資ファンド、戦略投資家を誘致する一連の優遇政策がある。
優先産業分野に人気投資を行えば、その企業の収益は30年間法人税率10%、最長4年間の免税、その後9年間50%減額と大判振る舞い。
これはEPZ(工業区)を造ったときと同じく海外企業の進出を促進するために行った訳で、今回も不慣れな事業に関して知恵を授かるという意味がある。
個人所得税については、センターに勤務する者、専門家、科学者に高度人材に付き2030年まで免除。センターへ出資、株式などの利益に対しても同様の措置を講ずるとあって気前のいいこと。
外国為替政策については、会員は業務、取引、サービスにあって外貨を使用することができ、企業がセンターで資金の出し入れに関しては容易に行うことができるとしている。さらに金融政策と資本市場の発展も資本を誘致するために優先するとあるぇれど、何しろ外貨に関する管理は厳しいこの国、さて国際を自認するのであればこの機に自由にすれば良いだけ。此処まで成長し貿易黒字も相当なもの。だがその前に地場金融機関の能力を向上させる必要があります。
・質の高い人材が必要
世界の金融センターの傾向は、これまでの資本だけでなく、人材・技術も引き付ける岐南の構築が重点的課題であると、経済法科大学のカン准教授が指摘しています。さらにこうした資本に人材は国境を越えて移動しており、この金融センターはオ^分で柔軟性の高い性質をも多々ければならない。また金融センターはイノベーションに拠ってスタートアップ企業や、この国の97%と言われる中小企業の誘致を優先している点に注目するとした。
そこでインフラ整備と金融、銀行システム、グロックチェーン、AI、リスク管理など分野で質の高い国際基準を満たすだけの専門的知識人材育成が必要とされると述べたとあるが、実はHCM市のIT企業が高度人材を募集したが、採用できた人材は一人もいなかったと報じられている。真に役立つ人などいないのがこの国の実情であり、箱モノは造ったけれど、肝心のオペレーションが出来ないとなれば大問題。先行きが案じられます。
・HCM市 データエンター開設
市内サイゴンハイテクパーク管理委員会は、CMCコーポレーションにパーク内で大規模データ処理案件を承認したと発表。この投資額は2億5千万ドルであるとしました。
このセンターの容量は当初30MWで、将来は120MWにまで拡張する予定。
これに拠り、AI開発とデジタル経済に対する膨大なデータをコンピューターで処理できる。担当者はこのデータ保管と、計算、分析するために設計されているとし、ビッグデータ解析やサイバーセキュリティ―などのサービスを何百万人ものユーザーに提供する計画。さらに次世代ネットワーク技術と800G
高密度波長分割多重・システムを統合し安定した接続を保証するとある記事で注目する機能はデジタル・ツイン・テクノロジーの適用であり、リアルタイムのシミュレーション監視を可能にして、全体的な運用パフォーマンスを最適化することだとあります。
同社のCEOであるチン氏は、このセンターは地域のデジタルハブに発展するための基盤インフラでありデジタルとAIをサポートする中核インフラ。地場企業が海外にデータを送信することなく、最も強力なコンピュータリソースにアクセスできるようになるとした。
HCM市にとっては、このセンターは包括的なAIエコシステムの構築に貢献、研究開発センター、新興企業、投資ファンド、工科大学を誘致することが期待されるとし、またこうした成果でベトナムがAI都市への変革が加速、地域のデジタルハブの役割を担うとして歓迎しているという。しかし記事内容は理科系の人でないなら、よくよく理解するのは難し過ぎます。
株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生