・好調だった2025年の乗客数
昨年ベトナムの航空産業は8,350万人の旅客数を記録、前年から10,3%の増加となり過去最高となったとあります。
主な乗客数は国際線で4,660万人となり、これは前年比12%の増加。また航空貨物も22%増加し130万トンとなったと現地ニュースが報じている。
筆者が初めて訪越した時は、ナショナルフラッグであるベトナム航空一社。
国際線と言っても乗客は多くはなく、もちろん国内線も当時は一般人が乗れるほどの所得はない。老齢化した両親が故郷へ墓参りに行くとき、これが最初で最後と家族親類が運賃を出し合い、搭乗日には一族郎党の全てが総出。バイクで見送りに行き、帰る際には花束を持って迎えに行き、そのままレストランへ直行して土産話を披露。なんて微笑無しい時代がありました。当然ながら筆者も駆り出されたのです。
ところが、わずか20年ほどでベトナムの航空業界は大きく変化し、航空会社が増え国際線も拡大したのです。そして今、ベトナムの航空会社は世界113の国際路線を運行。機体も大型化し綺麗になった感がある。
国際線が増えたのは、海外からベトナムへ来る人が多くなり、路線が増えたことがあげられるし、国内線も乗り継ぎで需要を押し上げたと考えられます。
国内線も飛行場の整備とともにジェット機化されほぼ半分の時間で行けるようになったけれど、プロペラ機の丸窓からは、雲の隙間より家や畑が見え、実にゆったりした時間を機内で過ごせました。当時ベトナム人乗客は少なく降りる際にはアオザイ姿のCAさんは気軽に写真に入ってくれたものです。
飛行場が整備されていない時期、滑走路は短くて施設も充分でもないので地方空港ではタラップを降りて歩かされた程。フーコックなど便数が少なく地元民がバイクを走らせ、牛が歩いていたので驚いた、なんて長閑な時を知っている。
しかしパイロットの腕は上手だったようで、この理由はかつて空軍に居た人がそのまま飛行機乗りになっていたという訳です。
いま国内の空港はハノイとHCM市を全国20空港と結び、55路線を運行中。
今年2026年の半ばにロンタン新空港が開港するとされ、タンソンニャット国際空港の混雑が解消されていると云われている。となれば歴史があり、日本が多大な資金を出して拡張してきた現タンソンニャット空港は、国内と貨物便が主体になるとされている。けれど交通面からみれば利用者にとって、かなり時間が掛かるし、不便になるのが見えています。
増大する旅客、だが飛行機は足りない。そこでリースで大型機を借りての運行が始まりフライトの安定化が出来るようになったのです。だがピーク時には、主要空港では混雑が発生し、遅延が多くて特有の天候不順。経験ではHCM市上空に戻って来たけれど雷が酷くてほぼ1時間旋回した。プロペラ機なので何とか下を見れば分かるなんてことがありました。だがアナウンスは一切なし。こういう所に充分な指導や教育ができていないと感じたものです。 今年の予測では総旅客数は9,500万人で13,6%の増加、貨物は160トン以上で9,3%増えるとしており、このため航空法の改正やビザ緩和も検討されることが期待される。また旅行者需要が回復する中で、サンフークオック航空が昨年11月に新規参入したというニュースが有るけれど、この会社は保有機が6機で、国内線オンリーでフ―クオック島~HCM市~ハノイビンのみだが、20機に増やし、国際線への参入を今年中にはあるかも知れないとしている。さらに航空業界は競争が激化し、サービスが多様化されて行くため乗客の選択肢は増えるであろうと考えられます。
・新規参入が続くベトナム航空業界
ここに来てまた新たな航空会社であるクリスタルベイ航空が参入。昨年11月設立、創設者はクリスタルベイ観光グループと個人株主が2名。ロシア留学組のリゾート観光事業者で、チャーター便を手配、カムランやフ―クオック島へ観光客を送っていた。目的は旅行企画を行い飛行機と組み合わせる、また国内エアーとコードシェアを行い、航空券の発券などの一般業務も取り扱わないで事業を行うと経済記事には書かれていた。考え方に無駄がなく便乗型か。
最も話題になるのはベトジェット。現在保有機は100機以上となり、この内20機は昨年末に導入された最新鋭機です。女性経営者であるグエン・ティ・フォン・タオ氏は才媛で、この会社の他HD銀行を保有し国内有数の億万長者とも称され、その資産は48億ドルだが夫々の株価が上昇。さらに資産を増やしており事業拡大意欲は旺盛で国内航空業界をリードする可能性もあり得る。
会社はCAにオレンジ色の制服で、ミニスカートを穿かせるとなどのアイデアで人気を博したが、流石に物議を交わした。それ以上に路線を拡大。現在国内40路線とVNと変わらない。国際便はアジア、オーストラリアへ100路線。
バンブー航空は昨年に不動産開発企業のFLCに買い戻され、8機を保有する。
ハノイ~ダナン、HCM市~ダナンの路線で、国際線はない。ほぼゼロスタートに戻ったけれど、この先に新たなてこ入れでどのように変われるかがミソ。
保有機を2030年までに10機に増やし、国際線への参入も視野に入れているとされるが機会を捉えられるか。
ヴィエットトラベル航空はわずか3機の保有。10機の計画だったが、T&Tグループが支援。ハノイ~ダナン~HCM市の国内線とタイへの2路線だけ。
ナショナルフラッグVN航空は100機以上を保有、国内22空港へ40路線、海外は21ヵ国へ72路線を運行している。日本へのフライトは東京、大阪、福岡、名古屋の4路線あり、大阪は関空開港と同時に日本へ初就航している。
この2年間で東北アジア、インド、オーストラリアへ運行を追加、ヨーロッパへも長距離便を開設した。かつてインドから知り合いが来た時はシンガポールでトランジットしたが、インドとの経済関係が深くなったためでしょうか。
国内線もこのテトに併せて4路線を開設、ピーク時には約300便、約6万席を用意するが中々チケットが取れないのが現状。
こういう風に現在のベトナム航空業界の状況からみると活性化しており将来は明るい、と思うけれど、IATAは過去10年間でベトナムは地域で成長が最も早い航空市場10位に入っているとするが、まだまだ成長の余地があるとしている。例えば国際路線、ベトナムは30か国への直行便を持っているけれど、タイは50か国へ飛ばしていることからも、その可能性を認めています。
しかし燃料価格や国際線ネットワークに影響を与える地政学的要因、異常気象による主要空港での混雑渋滞は各航空会社にとって課題となる可能性も高いし、保険や整備費などもコストアップしているとしています。
需要が旺盛な状況で航空会社は積極的に機材、パイロット、客室乗務員などの人的資源を増やしており、国内国際旅客数が増え、並行して人の移動のニーズが増える。こうなると人材教育にかなり力を入れなければならないが、充分に追い付けるだけの員数が揃うのか。
昨年末から今年度初頭にかけ、一カ月足らずの期間でベトジェットは史上最大である最新鋭機を22機導入し、さらに3機を復活させている。またバンブー航空も政府が認可した30機を2030年までにするとなれば、業界内部での競争と人材争奪が行われる可能性が無いとは言えません。そうすると今度は彼らの給料や福利厚生費などの経費が収支を圧迫することになります。
さらに新空港の開業も予定されているので、これらに要する人材の確保も大切や要件になってきます。経済が成長している中で、政府は産業の構造転換を行う計画で、AIやIT、脱炭素社会を目指している。また海外企業が進出を増やしており、ますます高度人材が求められている。だがこれに必要な高等教育や外国語が話せる職員の採用は遅れています。外国人観光客が増えるとなれば、
これに対応できるだけの語学力にマナーなど素養が必要とされるけれど、この辺り充分に充足されていないと考えるのです。
株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生