ベトナムでは、2014年から電子通関システムを導入し、通関手続きの効率化を図っています。このシステムは、日本の技術支援により開発されました。
そこで今回は、ベトナムの通関手続きについてご紹介します。
新たな通関システムの構築が急務だった
ベトナムでは、2005年ごろから、通関手続きに、国内で開発したシステムを使用していましたが、ITによる自動化が進んでいなかったことにより、情報の共有や現場の税関職員の業務が煩雑になるなどの不都合が生じていました。
また、2007年1月のWTO加盟以降、海外からの直接投資の急増に比例して、輸出入量も伸び続けていました。
さらに、ASEAN の枠組みにおいては、国内の一元的な電子通関システムの整備が必要となっていました。
こうしたことから、通関手続きの迅速化・効率化のための新たなシステムの構築は、急務の課題でした。
通関手続きの簡素化に電子通関システムを導入
ベトナムでは、複数国の通関システムを検討し、日本のODA(政府開発援助)による無償資金協力のもと、日本のNACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)を採用。これをベースとして、ベトナム税関が、自動貨物通関情報システム(VNACCS)の構築を進めてきました。VNACCS は、2014年4月に、ハノイ、ハイフォンで稼動した後、同年6月には、ホーチミンを含む全国に展開を完了しました。
VNACCS では、通関事務行政手続きの電子申告が可能であり、関税の自動計算と自動納付、輸出入申告後の通関審査処理も自動化します。輸出入申告以外の官庁への申請手続きを一元化し、さらに、貨物管理機能として、税関管理区域内の貨物搬入から搬出までの状態を管理し、リアルタイムでの照会も可能です。
手続きにかかる時間、コストが大きく改善
VNACCS は、稼働から4年以上経過していますが、大きなトラブルは報告されていません。ベトナムでは、多くの企業が利用しているとされ、製造業や物流業などの日系企業からは、VNACCS の稼働による、通関手続きにかかる時間やコストの大幅な削減などが高く評価されています。企業の利便性も高まっているといえるでしょう。
また、世界銀行が発表した報告書「Doing Buisiness」2018年版によれば、貿易手続きに関するランキングで、ベトナムがマレーシアに次いでASEAN加盟国の中で4位となっています。これも、VNACCS の導入による貢献があるものと考えられます。