大阪難波に本店がある高島屋。学生時代にこの地下1階でチョコレートを販売するアルバイトをした。何時もあべ近(近鉄百貨店阿倍野本店)にいたけれど、高島屋に異動した人から来て欲しいと頼まれてのショートリリーフでした。
百貨店の社員にご馳走になったが、実はうちにこない?と誘われたリクルート。仕事への評価を頂いたからだし、マーケティング専攻だった事もご存じだったが、4回生の夏なので既に就職先は決まっていた。ゼミの友人が高島屋に内定しており、筆者も行けば人生は変ったかな、なんて懐かしい思い出があります。
堺東の高島屋は来年一月に閉店が決まっており、日本では他社も含めて地方の支店を撤退しているし、基幹店でもインバウンド効果で何とか売上を維持しているだけで、商業流通業界は様々に変化しており困難な時期を迎えています。
すでに高島屋はベトナムではHCM市の中心部に進出。日本から来ている店舗や商品にも人気があります。これまで進出したデパートやスーパー、モールと違って高級志向だが、ベトナムではこのところ投資家や国内外の高級ブランド品を製造する企業からの関心が急速に高まっている、と現地報が報じています。
HCM市の店舗は長く赤字だったようだが、ベトナムが経済成長を続け市民はこれまでよりも価格が高くても高品質で優良な製品を選ぶようになって来た。
電気製品もあれば良いというのではなく、直ぐに壊れるものよりも、耐久性に優れデザインが良く、機能があれこれ付いているのがいい。家庭でもテレビやエアコンは一家に一台、という時代ではなくなった訳で、日本の30年代から移行してきた昭和の時代を見れば分かるが、こんな状況へと変化しています。
東信開発とは高島屋グループの不動産開発会社。現地報に拠ると、公式発表は無いけれど、市場関係者は東信開発がハノイ市のタイホー区で大規模な事業なプロジェクトを準備しているという。これは高島屋が持っているハイエンドでユーザー中心の販売哲学を以って、ハノイという首都で新規に高級小売市場に旗艦店をオープンする予定とあります。
これは日本の経験豊富な開発者からのシグナルであり、この新しいハイエンドの商業施設は絶妙なデザイン、包括的なユーティリティーの統合から国際基準に拠る運営で、ハノイ市の小売市場において明確な競争上での優位性を持つと期待しているとある位のベタ褒めをしている。
現地の不動産専門家は起工式がこの8月にも行われると予想しており、高島屋の厳しい基準を以って、ハノイで新たな高級小売市場が幕開けすると言う重要な意味を持っていると評価しており、期待感は並大抵ではありません。
東信開発はベトナムで、サイゴンセンター、ABタワー、ランカスタールミネなど、幾つかのランドマークになる商業用不動産へ投資してきた実績があると現地紙は報じています。
東信開発は市場の嗜好の変化に合わせて新しい要素を追加でき、グリーンデザインを向上させ素材、自然光を取り入れるなどのエコシステムを全面的に導入。これらは消費者ニーズに対応し、顧客体験に重点を置いた販売スペースを創造するというビジョンを掲げ、戦略的に投資や合弁を行ってきた成果で、HCM市での強い存在感を築いてきた。さらに消費者のプレミアムな需要の高まりに応えるため、戦略を一新させ成長を加速すると評価しているのです。
不動産調査を行うサヴィルズ・ベトナムに拠れば、世界の投資家は徐々に小売りセクターに戻りつつあると言い、世界の投資シェアは2025年に12,4%に達する遅くがあるとしています。また世界銀行に拠るとベトナムの中産階級は年率で10~12%増加しており、2026年には人口の26%を占めると予測されている。こうした状況からプレミアム消費の拡大が小売市場で主要な原動力になるというのです。これは2024年以降に資本の流れが回復の兆しをしていることからも伺えるのです。ところがベトナムではこうした勢いがみられるのだが、ハノイの小売市場は限られたスペースしかなく、調査によればショッピングでセンターの稼働率は86%に達しているが、新規供給は依然として不足しているので国際基準を満たさないことが多いとしています。今年第2四半期ハノイでは、ディオール、プラダなどの進出があるが、ハノイの魅力を高め、高品質商品の小売スペース需要の増大を要求されている状況にある。
高島屋ハノイ店が、首都のタウンショップの一等地に進出するというけれど、専門家は建設地スターレイクが、戦略的立地であり強力なインフラ、国際的な住宅基盤であり、新興の小売ホットスポットである特定しています。また此処は国際的なブランドの戦略的目的地に徐々になりつつあり、多くの小売業者は専門的な運営を備えた統合モデルを好むようになっているが、こうした分野でのスペースを積極的に求めているとしています。ハノイが今後3年間で高品質な商品を販売できる賃貸可能追を加できる面積は僅かに10,500㎡に過ぎず要求する面積をはるかに下回っている。こうした意味でも高島屋の進出には大きないぎがあり、東信開発のベトナムでの不動産への見方は正しく、これまでの経験と戦略、実績の成果であり、明確なコンセプトと運用の専門的知識を持つ開発者だと評価。ベトナムでの新たな小売業の幕開けであるとしている。
HCM市の店舗で購入した日本ではポピュラーな洋菓子をベトナムでも食べられるが、ベトナム人の家庭にお土産に持って行って喜ばれたけれど、こうした新しい商品価値を創造する積み重ねが今に及んで大きな成果になっています。
株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生