2022年3月10日(木)

空から白いものが降ってくる季節になると、暖かい鍋が恋しくなります。
筆者が金沢に居た時、福井・石川・富山と新潟県の一部を管轄しました。
各地夫々に美味しい鍋があり、冬が近づくに連れその時の状況が浮かんでくる。越前のカニ鍋、白山麓の山の幸の鍋、宮崎海岸のタラ鍋などなど、話題に事欠きません。米処で水も綺麗なので日本酒も旨い。一軒宿の温泉でひと風呂浴び、囲炉裏をかこんで贅沢な至福の時を過ごせたのは地方ならでは特権。
転勤先(海外でも同様)でも如何に楽しく過ごせるか。何かを見つけ工夫次第。

大阪はてっちり-フグ鍋のこと-だが、今ではトラフグも養殖できるので安く食べることが出来ます。山口県出身の同級生が東京で就職するとき、いまは無くなったが新世界の「づぼらや」に連れて行ったことがあります。山口なのにフグを食べたことがない、と初体験。
また南の河豚店、ここにベトナム人の留学生がアルバイトで働いていたことがあります。もう帰国してしまったでしょう。世界各国でフグを食べられる国はそんなにありません。しかしひとくち味わうと淡泊な旨みが口中に広がります。
こんな魚はありません。最後の〆の雑炊もしめたもの。だがこれ意外と難しい。
残った具を綺麗に取り除き、余った出汁の量とご飯の量加減でオジヤになってしまうとか、やたら薄すぎて重湯状態になることもある。卵の硬さ加減も微妙。
鍋の大きさにもよるが、頃合いに蓋をして待つのは1分半。ラーメンとは違う。
饂飩すきは大阪が発祥の地。会社近くの本町に日本家屋の「美々卯」があり、時々行ったものです。
日本全国にこのような地元ならではの食材を使った鍋文化があり、夫々に個性があって面白いもの。まして海外に居ると無性に鍋が恋しくなります。

中国のサイト百度で、冬に日本へ行ったら、是非ちゃんこ鍋を食べるべきとの記事がありました。冷えた体にアツアツのちゃんこは美味しくて体が温まると言う。栄養も豊富で、肉や魚、野菜がたっぷり入っている。
またスープもバリュエーションが沢山あって店ごとの多種多様な味を楽しめる。だがどの店でも丁寧に出汁が採られているためあっさりしていてもコクがあるとあります。
これは東京へ行った人の感想なばら、だが全国には元力士が廃業してから始めたちゃんこ料理の店が多く、ほぼ何処でも食べることは可能です。
だが元々は相撲取りが体を大きくするために食べるもの。ご飯をたくさん食べるために料理店とは異なり味付けは濃い目だとか聞いた事があります。

・ベトナムの鍋

ほぼ年中暑いHCM市。だが街中のレストランにはいつも鍋があります。
ベトナムには中国料理店も多いし、日本レストランでも鍋が無い訳でもありません。また家庭でも鍋を作ることもあるし、ベトナム風ビーフシチューだってあるのです。このベトナムで食べる鍋の代表的なものを挙げてみます。

ヤギ鍋(lau de)
ベトナムを代表するもちろん山羊の肉を使った鍋。スープはやや茶色の濁りがあるけれど、これは薬膳風の体にいいとされるもの。慣れれば問題はないが、日本人が初めて食する際には、臭いが気になるのか恐る恐る口に運びます。
でも肉の嫌な臭みはなく比較的柔らかい。但しいい加減な店は冷凍肉を使っているので地元の評判に注意。生肉とは全く違い直ぐ分ります。
昔は専門店で炭火だったが今はガスコンロを使っています。大体は何処にでも店はありますが行きつけは空港近くのレ・バン・シー通りの店。数軒あったが、今は殆ど見かけません。
一緒に食べる山羊の炭火焼肉。専用のタレに付けるがこれメスのおっぱい。
因みにde qua!の意味はスケベ。何でヤギなのでしょうね。

ベトナム風しゃぶしゃぶ(bo nhung dam)
ベトナムの牛肉は脂肪分が無くて硬め。日本の様な超薄切りはしないので少々厚めに切ってある。出汁は、というと酢です。酢のツンとする臭いがあって始めは気になるが、そのうちに消えてしまう。これだから臭みが消えて柔らかくなると言う。以前レ・タン・トンとタイ・バン・ルン通りの角に専門店があったが現在はありません。
またココナツのジュースで肉をしゃぶしゃぶすることもあります。こうすれば同じ様に柔らかくなるといい、家庭でも簡単にできます。

ドジョウ鍋(lau ca keo)
ベトナムにもドジョウ鍋があります。集中するのは3区のチュン、ディン通り。
われわれの事務所から徒歩僅か、戦争博物館の近くです。今は少なくなったが以前は夜になればこれを目当ての客ばかり。泥臭さはなくあっさりしているので旨い。ただ開いていないので活きのいいのをそのまま鍋に放り込みます。

五目鍋(lau thap cam)
ほぼ何処のVNレストランにあります。文字通り何種類もの具が入っている。エビ・イカなど海産物が比較的多く、スープはほぼ色が付いておらずあっさりしていて万人向け。海産物は定番の塩・コショウ・ライム(muoi tieu chanh)で食べます。
家の近くにもこのような店があったので誰が来ても此処へは良く行きました。最後に入れる麺が美味しい。ベトナムでは鍋で煮ず、椀に入れスープを掛けますが、人間の考える事は何処でも一緒。

キノコ鍋
まだ20年にもならない鍋。HCM市内に幾つか店舗がある人気のASIMA。
何しろ栄養価は高いが太らない。マダムが気に入って集まり昼間から女子会。
あっという間に店が増えた。種類かキノコが入っているけれど、物知りに話を聞くとVN産キノコではなく中国産といいます。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生