・HCM市の美容外科病院での患者死亡事件
美しくありたい、は古今東西女性の願望かも知れません。日本の話題では最近、大学卒業とともに美容業界に入る医師が多いそうで、これは高給が望め、勤務が楽。休日は予定通りで、仕事が終われば緊急の患者も来る筈など無いから。
施術希望者は数千万円をかけて全身を改造する人も居るとかだが、何処の国や地域でも外面だけの美しさよりも、内面を磨いてこそ知的で教養があり、品と艶がにじみ出て来る方が良いのではないかと思うけれど、そうでもないらしい。
筆者のオフィスがあるビルの前に何時しかSBC湘南美容外科が進出しており、日本から遙々来たでホーチミン、なんて思っていたが結構盛況だったみたい。詳しくは分らないけれど、ベトナム人女性も所得が良くなると美への憧れは、ファッション、化粧品だけでなく、遂には美容整形に高額を投入するようです。
ところが現地報に拠ると、パリ顎顔面美容整形病院で複数の美容施術を受けた32歳の女性が手術中に死亡したとある。循環器不全と呼吸不全の兆候を発症して病院はトンニャット病院へ緊急搬送されたが、その後に亡くなった。通報を受けた警察は、この美容病院の医療スタッフ5人を逮捕したとあります。
警察の発表に拠ると、5名は(ニュース記事には全身の写真を掲載)健康診断・治療規則違反容疑で起訴されたと報じている。
この美容チームは、また医療免許に関して複数の違反があったともあり、2名は専門家の資格を持っていたけれど、この美容病院で勤務するための登録がされていなかった。また他の1名は医師免許がなく治療すること自体出来なかったとあります。捜査当局はチームの医療規則違反は患者の死亡の直接の原因であると結論付け、現在も責任を負う可能性のある個人や組織の特定に取り組んでいると報じているというものです。
・HCM市で複数の薬局、化粧品会社に罰金が科せられる
HCM市内の医薬品、化粧品、医療機器会社18社が様々な違反をしており、合計7億6000万VNDの罰金を科されたと市保健局が発表した。
これはHCM市保健当局の査察結果によるもので、1区のミンクオン貿易会社は、医薬品であるかのようにラベルを貼って宣伝、消費者を誤解させたとして1億3千万VNDの罰金。また同社は登録されていない配合を行って化粧品を販売もしているから如何にいい加減なのかだが、罰金で済ますのもおかしな話。
また10区のミンサン医薬品貿易有限公司は出所不明の医薬品20種類を発見、全量の破棄を命じたほか、有効なライセンスが無い、処方箋が無くても販売、仕入れ先が判明しない薬品類を販売したなどで摘発しているというのです。
検査官らは処方箋無しで薬品を販売するとか、出所が不明の製品を取引する事、有効な専門的証明書を持たずに薬局を運営する事、承認された文書と矛盾する化粧品を製造する事、などが犯罪であるとしています。また無許可で医薬品の販売と法律で義務付けられているとするコンピュータ化された薬品の流通管理システムの導入をしていない事も含まれる。
ベトナムの薬局も資格を持った人が必要。しかしこれまで名義借りが行われていて、必ずしも知識を持った人が医薬品を販売している訳でも無かったのです。
近年は日本などから大手が進出しているが、地方や小さい地域では町の薬局がまだ市民の相談にのっている。医者に行けばかなりの金が掛かるが、此処なら数日分の薬をくれるので安い。筆者もフエ、ダラットなどで症状を言って薬を貰ったけれど、日本の様に箱に入ったメーカーの薬ではなく、幾つかの錠剤を一回分ずつ袋に小分けしてある。信じるしかない。さらに家庭では民間療法的な方法で怪我の治療をすることもあるし、また西洋医薬とベトナム伝統的な薬を扱う薬局があるが、これは看板に書かれていて見分けがつきます。
・HCM市 偽造医薬品、偽医療機器の摘発を開始
何とも恐ろしいことだが、ベトナムでは偽物が結構あります。さらに流通する医薬品でも半分は効果がないと当局が報じていました。
HCM市保健局は、市内の全ての病院、医療施設、食品・医薬品・化粧品品質管理センター、製薬会社に対し、流通している偽医薬品、医療機器、栄養補助食品を直ちに審査し報告するよう求める緊急指令を発令しました。ベトナムでは健康食品も食べ物ではなく、直接人の口から入る薬品扱になるのです。
この動きは公衆衛生に脅威を与えるとして、偽薬品などを迅速に発見して停止することが目的で、現時点で使用している医薬品等全てを検査する様にと通達しているのです。特に原産地が明確で当局の承認を得たもののみの使用や販売しか認めないという姿勢。さらに調達過程を調査し購入記録と照合するなどで不正を特定することも命じ、違反を迅速に通告するように求めている。これはヘルスケア製品の広告や販売も同様で、取引の明確化と監視を強化する責務を担っていると報じています。
5月ハノイでの違反事案で、7人を逮捕し100トン以上の偽造サプリメントを押収し、大規模な生産組織を解体したことが背景にあるのです。しかもこの事実を知りながら仕入れて一般顧客に販売したのだから、販売業者も同罪。
事実この製品はベトナムが定めた品質基準には程遠い粗悪品であったのです。この事実が報じられてから一般消費者の医薬品などへの信頼度は低下、実際に乳製品、ニュックマム、コーヒーなどの食品に至るまでベトナム国内には偽造品が多く横行しているという不安感があります。
・偽ガン治療薬事件と 日用品にまで横行する偽物
日本でも古くは熊笹が効くとか、TVで宣伝されたけれど訳の分らない物質があたかも特効薬として1カプセルが数千円もするけれど、保険は使えなくても藁をもすがる気持ちを逆なでして、販売していたことがあります。
ベトナムでは元保健副大臣クオン氏がVNファーマと関係したスキャンダルがあり、これはアメリ発の偽薬品だが製薬会社の人物数人も関係しており、規制から抜け穴を利用した事件として逮捕。
他にも最近の事例だが偽の駆虫薬、膣感染治療薬の製造販売で11人がHCM市人民法院で有罪判決。またハノイでも事もあろうに薬剤師でハノイ薬科大学卒の人物が偽医薬品製造と公文書偽造で5年8カ月懲役刑を科されている。
栄養補助食品の偽物だが基準の70%しか満たしていない製品を創った人物には4年6カ月の懲役刑。ドンナイ省では偽味の素に偽クノールを販売して罰金刑を科された。昨年だが、ご丁寧に偽の会社をでっちあげ、HPまで作成して高麗人参という触れ込みで偽の別の植物を販売。また除草剤は南部メコン地域で必要だが、偽物を作って罰金刑を科されたなど全国的に蔓延っているのです。
HCM市の弁護士会では罪状の重さによって、特に偽の食品や偽医薬品死刑、もしくは終身刑、肥料に飼料、植物に関する偽造は最高刑20年とあるけれど、違反は省や地域を超えて急増しているという。これに対する効果的な監視や公務執行は限られているので増えるばかりとするが、個人から組織的なネットワークになり大掛かりでもあるという現状が実情なのです。だが裁判では重刑ではなく罰金刑で済ますことが多いのが現実というのにも問題があります。
・薬品・医療器具・製品の流通の実態
先に保健相が事件に関わったとあるが、医薬品は病院(特に国・省)の仕入れ先が殆ど固定され入り込めない。日本の様に製薬会社のプロパーが病院や医師へ営業を掛けるのではなく、人脈の力関係で話が纏まるので新規に参入するのは事実上難しい。退職者が作った薬品卸会社、または退職後そこに行く流れが決まっており、価格も談合で決まり、利益を分け合うシステムが存在している。
また高度な医療機器は日本から輸入、これは現地代理店となっている所へ輸出される。規模は大きくないけれど製品は新しくて機能も最新型。安くはないがこの販売ルーにトは如何なる人脈を使っても、割り込む余地がなかったのです。
ある大手企業の現地開拓でこれらの会社・代理店を訪問して得られた事実だが、今も罷り通っているのが問題で、自由競争ではなく人脈で仕事が回っている。ベトナム社会の構造である人治主義に通じ、社会もこれで動かされている。
薬品販売会社は地方の薬屋へ卸す機能があって、此処は問題なかったが、社長に家族は辞めてアメリカに移住したいと言っていた程、楽ではなかったのです。
株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生