10月~11月はベトナム中部地方に台風が相次いで来襲。このため歴史的な最大雨量を記録するほどの大雨が続いて街中が水浸し、国道は山崩れで道路が塞がれ、ビニールハウスが破れて農作物も大被害と、お気の毒にもご難続き。
首都ハノイはただでさえ空気はきれいでないけれど、これは増える自動車と、バイクの排ガス。また冬場は寒いため石炭を燃やして暖を取るのが原因と言われているため、政府は市内のEV化を進めている。お陰で現地のホンダは前途多難な状況になると考えられます。さてどういう戦略を講じるのでしょうか。
だが11月に空気が急速に悪化しており、現地報で北ベトナムは最近、多くの日々の気温逆転、空気が淀み、霧に直面しているが、これは地表近くに汚染物質が閉じ込められた状況だとの記事を掲載しています。ハノイは11月~4月が空気汚染のピークに達すると云われ、これから本番を迎えるのだが、さてどのような危険な状況が待ち構えているのか。考えただけでもゾッとしてくる。
このため市は、住民に屋外活動を控えるように呼びかけ、特に高齢者、子供、呼吸器に問題がある人に対してマスク着用を促すように警鐘を鳴らしている。
また12月1日に市人民委員会のクエン副委員長は、市当局が長期にわたるスモッグへの対応を強化していると述べたとある。この日、ハノイの平均AQIは143に到達し、PM2,5値は77に上昇し、これはWHOの推奨する限度の5倍にもなったとありますから、余程の空気汚染の酷さが伺えます。
AQIは大気の質を0から300以上のスケールで測定。数値が高いほど健康へのリスクが高い事を示す。101~150は不健康、151以上は公衆衛生に害を及ぼす。200を超えると誰にとっても有害で危険と見なすといわれる。
ハノイの空気汚染は世界で5番目に入るくらい酷いと、グローバル追跡サイトIQAirが報じ、これはインド・デリー、パキスタン・コルカタ、ウズベキスタン・タシケント、イラン・バクダッドに次ぐランクを付けるという不名誉な記録となっているほどの酷い汚染状況となっています。
しかし行政は放置している訳でも無い。保健当局は特に早朝や夜間の空気の良くない時間帯を認識し、屋外に居ることを減らす指針を出し、市内の病院には汚染が酷い時には呼吸器感染疾患の患者に備える様に指示を出したという。
学校では毎日のAQI値を監視し、大気汚染レベルに応じた屋外活動を調整するとして、指数が悪いとの表示が出れば、生徒は屋外での運動を避けるべき。
また汚染がより危険なレベルに急増した場合、学校は子供たちの安全を守るために予定を変更することになるとしています。
建設現場では強制的な遮蔽、車両の洗浄、霧吹き、カメラ、センサー、AIによるリアルタイムでの監視をするなど、より厳しい粉塵規制をするための管理規則が導入される。
また幾つかの住宅地、公園、主要道路では微細粒子の濃度を下げることを目的とした霧散布システムの導入試験が行われるという。
この他、市の環境団体は夜間の街路清掃、水の散布を増やし、埃の拡散を防ぐ予定。また、ガスを排出する工場では埃の多い操業を天候の条件の良い時期に変更することを奨励するとしている。
市当局はまた大気汚染監視ネットワーク拡充を進めており、ベトナムのAQIデータは市のシステム上で継続して更新されており、専門家は衛星、ドローン、交通監視カメラ、その他アプリを活用して違法なゴミ焼却や稲わらを焼く行為を確認していると言うが、まだこの様な自分勝手なことをするものです。
・深刻化する空気汚染
12月の最初の日曜日、首都ハノイ始め北部ベトナムの多くの地域で大気汚染が非常に不健康の範囲に急上昇。これは今年の冬に入って初めての深刻で危険な汚染であり、スモッグに覆われたと報じ、市民の日常生活に困難をきたしているといます。裕福な家庭では日本製の空気清浄機を購入して部屋中で稼働させており、これは健康の安全のために好評だとあります。
フランス植民地時代にエッフェルが設計したロンビエン橋も、昇る太陽がぼんやりしたシルエット。ずいぶん前にTV番組の撮影で河の下からカメラマンがアップで構えていたほど美しい橋。またハノイ市で2番目に高い336mの超高層ビルも灰色のスモッグに包まれたままとあり、この記事を読むと急速に市の大気汚染度合いが増している様に感じて残念です。
ハノイ科学技術大学の監視所ではAQI値が前夜の150から、午前7時までに210にまで上昇。その他の監視所での数値も160~197を示し、北部の省でもタンロン工業団地は170、バクザン省154、ハイズン省153、タイビンでは189となった。
農業環境省は大気汚染抑制のため複数の分野で緊急措置を命じており、発電所、鉄鋼、化学、肥料工場などで排ガス制御システムが最大の効率で稼働していることを確認、AQIが200を超えると排出を削減し、未処理の排ガスを厳格に管理するように通達した。
交通警察は、露出した資材運送車両や黒煙を出す老朽化したトラックの取り締まり強化を指示しているという。
・ハノイを逃げ出す外国人
記事にはイギリス人でベトナム人の妻を持つ人の例を挙げ、8年間ハノイで暮らしたが年々酷くなる空気汚染に耐えかねてホイアンへ引っ越しをしたとある。
彼の言に拠れば、濃厚な排気ガスと焼け付くプラスチックの臭いが鼻についたのが原因、これはゴミを焼くときの臭いだと分った。妻はハノイ出身だが常に呼吸器感染症と咳に苦しんでいたともある。
また毎日はラッシュアワーでの通勤だが、ある時ハドン区の橋上で渋滞に巻き込まれ排気ガスの中で30分も立ち往生。息苦しさを覚えたという。
市内の住居からザラムの新興都市へ新鮮な空気を求めて移ったけれど、此処も汚染は変わらず熟慮の末にハノイを離れる決意をした。仕事で月に数回ハノイに行くけれど、ホイアンでは新鮮な空気と松の香りで目が覚めるという。
市の人口の40%以上が安全とされるPM2,5の数値の2倍以上の濃度に晒され、これに拠る死者は1990年の26,000人から、2015年には42,000人以上と増加したのです。
しかし空気が汚いと言われても、多くの人が引っ越しを望んだとしても経済的、社会的な障壁のため出来ない。この経済紙の調査によると、実際に読者の27%が汚染のために移住したことがあるとし、また58%は移りたいけれど手段がないと回答したとある。
こうした汚染が続くと市外へ出る人が増え、外国投資や経済発展に悪影響が出るとの調査もあり、早く政府や行政は手を打つべきとしている。
また別の外国人は昨年に2回も肺炎と診断され、医師からその原因が空気汚染によるものだと云われ即時に移住を決めたとしている。実は中国でも同じ経験をしてベトナムに来たけれど、また同じ理由で会社を辞めなければならなかったというが、同じ理由で親しい外国人も子供を汚染から守るためにHCM市へ移転したが一年も掛かったという。
だがこれらのことができる外国人は限られている。自分で会社を経営するとか、自由業。企業に勤務していれば自分の考えだけで他市へ行ける訳がありません。自宅に仕方なく空気清浄機を設置したり、危険レベルに達した時は屋内に留まったり、郊外の緑豊かな地域に行ったりするのがせきの山。
厳格な廃棄物処理や先進工区で稼働するクリーンなごみ処理施設が必要であり、もっと市民が自主的に環境保全と法を意識して行動することが求められるし、リアルタイムのモニタリング、原因を監視して追跡できるようにし、公共警報や市民レベルで化学プログラムの導入。さらに求められるのは自らクリーンなエネルギーを使用する努力が要ります。この辺り、ベトナム人の感覚はモラルに欠け、自分のことしか考えず公共意識は低いのです。
株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生