・事件が多くなったのは残念な事
この所ほぼ連日のようにYAHOOニュースに載っているのはベトナム人が起こした事件事故。これ等、実習生・留学生など若い人達の全国に渡る窃盗、傷害、詐欺、誘拐、無免許運転でのひき逃げ等々、犯罪のオンパレードは嘆かわしい。
原因として長引くCOVID-19禍に拠る企業の倒産や廃業、また雇止めなどに求めて同情すべき面も確かに一部はある。だが記事を読めばCOVID-19に関係なく、自らが直接関わった不法行為に拠ると思われるものが相当数あり、これは誰であったとしても言語道断。どんな理由にしても庇い切れるものではありません。
事件を起こす大半の人は社会規範を無視。文化の違いからの勘違いでは決してなく精神的貧困に拠る我儘、甘えた考えが根底にあるかも知れません。しかし到底是認できるものでは決してありません。
長く現地で彼らの様な若い世代の人と一緒に仕事をしてきた経験から、敢えて厳しく言えば、外国に住まいしてその国の法を順守する気持ちなどまるで無く自国に居る時と同じで善悪を考えずヤッチャッタ。何らかの障りでふと魔が差した、と言えるものでは無い。増え続ける件数の多さと被害額の増大化などから、もはや確信犯であるという風に考えざるを得ません。
現地にしても日常繰り返されている、例えば置き引き、引たくり、詐欺、スリなども単なる悪戯けで済まされるほど甘くない犯罪行為で処罰はむしろ厳しい。
殆どの現地実習生送り出し機関は日本での生活に関して時間を割き、教科書を基にして(日本人が)教えています。外務省でも日本での生活を詳細に日本語・ベトナム語で説明した要項をネットで公開している。社会風土や慣習は短期間に習得できるものではなく、慣れるのに時間が掛るにしても真摯に取り組むか否かは当人の教養レベル、知性、自覚や意欲に求めるしかありません。
この様な事件、2020年の国籍別でみた検挙率はベトナム人が4,219人で35,9%を占めてトップ。しかし一見際立っている犯罪だが、2021年4月現在の在住ベトナム人数は448,053人。このうち実習生・留学生は前年比で減少していて274,532人。その他の仕事などでの在住者が増えており、彼ら大半の人は真面目に生活しているのが実態であり、民族の誇りを持たない一部の不心得者のため印象が悪くなり迷惑を被っていると言えます。
警察庁統計に拠ると在留ベトナム人に拠る犯罪は悪質化の傾向にあり、刑法犯の検挙数がほぼ横ばいに対して特別法犯の検挙は5年間で3,8倍に増加。2018年以降は刑法犯を上回る状況が続いている。入管法違反、即ち、不法残留の急激な増加(5年間で4,1倍)はその主な要因だが、薬物に関する事件が特に増えており深く懸念される所で、21年は前年同期比2,31倍とあります。
一方で自ら地域社会に入り込み消防団などの社会活動を積極的に行おうとする人も多いとされ、彼らが思う以上にこうした自助努力と地域に参加することで、高齢化が進むなかでの大切な担い手として評価。全幅の信頼を得ている事例もあると報じられています。
外国の若い人たちの力で経済が安定的に保たれている事が今回のCOVID-19禍でいみじくも明確になった事でもあり、今度は受け入れ側にとって誠意が試され、悪質企業が排除される方向に向かうようであれば結構なことです。
・実習生を描いた映画が評判 だがお涙頂戴では済まない
5月に公開されたひとつの映画が話題になっています。大阪の大学を卒業した藤元監督が制作した「海辺の彼女たち」。
この映画、日本に憧れて来たベトナム人実習生・女性3人の物語。家族の幸せのため、幸せな将来を夢に見て一生懸命働いたが、待っていたのは過酷な現実と向き合う辛い日々。一日15時間の労働、土日も厭わずに働かされ、十分な睡眠や食事も与えられない。それに増して給料は天引きされたうえ滞ったため、ベトナム人ブローカーの手引きで雪深い北の地へ逃亡。監督は実際に失踪した人物から聞きとって自らが脚本を書き、ベトナムに行ってまで出演者を決めたほど。彼女達は未経験ながらも真迫の演技で応えたとある。日本の闇の部分に焦点を当てたと評価され、これまでの如何なる取材記事や書物より画像が目に飛び込んでくるのでインパクトがあり説得力も強い。だが一方で一つの側面、実習生事情を知る人にとっては違法行為の是非、妊娠問題など現実との乖離に違和感が残るとされ 観る人の主観に拠って誤解が生じる恐れもあると指摘。
殆どのベトナム人は寒さを経験した事がありません。初めての冬、雪の白さには感嘆するけれど厳寒の中での生活は耐え難い。おまけに慣れない方言や地域の習慣など若い彼女らに相談できる人は居ません。
今ではこの様な状況は日々刻々とリアルタイムに発信されるSNSで先刻承知。良い話は伝わらず、一部の人の悪行でも噂は千里を掛けるが如く自己流に解釈された状況(噂)が独り歩きして増幅する例も多くみられる。こうして日本はかつての憧れの対象ではなくなり、いつしか忌避されて、条件が良い他の国を選ぶ可能性に繋がることだってあり得ます。
英語が堪能であれば資格を取り、アメリカで看護師として長く働く仕事を選択する人も実際にいる。また大学を卒業、日本語能力もN1の元同僚。やりたい事があって日本語の先生だった知人を頼りに来日。学校でその単位を取得しても日本での就業は不可能。どうしても超えられない壁があり、考えた挙句彼女が採った行動はカナダ留学。何のため日本語を猛勉強?と折角の逸材を殺している。留学生30万人計画推進より、するべき大切なことがあるはずです。
株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生