現地のニュースに掲載されたのがこの話題。政府は2000年台に入ってから、国をIT立国にしたい、とのアイデアを思い付いた。
このためHCM市クチにITパークと呼ぶ、IT関連企業が入るクアンチュン(光中)なんて将来が如何にも輝いていそうな名称の工業団地を造りました。
此処にはアメリカ・シリコンバレーに働いているとするベトナム人に声を掛け、優遇策を講じ帰国させたという話もあるけれど、この真偽の程は確かではない。
当初はなかなか入居者が無かったみたいで、ある日本人社長が本社に居た若いベトナム人を帰国させ、いわばベトナムの拠点のような場所を借り仕事を始めたけれど、その後どうなったか音沙汰がなく今は定かではありません。
この頃、既に一部のベトナム人が経営する企業で、日本から依頼を受けて事業を開始した所があります。日本へ留学して情報処理1級の資格を持つなど優秀な技術者も居た。日本の企業のやり方も理解し、日本語でやり取りできるため、結構忙しくなってゆきました。この会社の売り上げの大半は日本の企業です。
また画像処理やチラシの修正、アニメ製作事業もしている会社もありました。
また近年、日本の大学に留学して、帰国後に起業して大成長。今ではベトナム政府機関の業務を行うとか、日本へ進出して支店をつくり、日本企業から業務を請け負っている会社もあるが、ますます拡大する可能性は高いと考えます。
この9月にバイデン大統領が初訪越。中国を睨みベトナムにIT関連の投資をするとか。またFPT社もアメリカに製造拠点を設け、半導体部門へ進出することになった模様。いずれも米・日・韓を始めとする中国包囲網であり、中国へはさらにオランダなども含め、半導体の製造機械設備、原材料、技術などを渡してはなるまいと、米中分断へのシナリオが進んでいるのです。
ベトナムの首相からすれば大陸のエゴに巻き込まれてはいけない。のはずだがベトナムもアメリカにはIT関連の先進先端技術を持つ企業の進出を要望するなど支離滅裂。かつての敵同士が必要以上にレベルを格上げし、都合優先の持ちつ持たれつでは、トップ同士の覚書なんて交わしたところで狐と狸の腹の内など読めない。社会主義国圏の付き合いも放っておけません。
ベトナムは先進工業国を目指していたけれど、この所様子が異なってきている。時代が変われば当然だが、世界標準でモノつくりをするだけの技術はもちろん、積年の伝統の継承とか、職人の育成や、その精神性など10年そこそこで完成できる訳などあり得ません。
さらに必要な原材料に製造ノウハウも及ばない、高精密・高品質部品の製造も、高度な工作機械が製造できないと工業国と言えません。R&Dも盛んでなく、それ以上に科学・化学も世界レベルに届かなければどうするか。
となれば、金を掛けず、施設は造らず、設備も要らず。三ずとは人海戦術。
これだ!ということで、IT、に目を付けた。
ところがこのほどの現地報。ITエンジニアの能力と市場が要求するレベルの間に大きなギャップが在るため、毎年15万~20万人ものエンジニアが職を失っている。とあります。
「2023年のベトナムIT市場レポート」に拠ると、殆どの採用担当が求めているのは、バックエンド、フロントエンド、フルタックの3種類の開発者。
求められているスキルとは、Javaスクリプト、Java、PHP、C#、またはNET、Pythonの5つであるという。
TopDevによると、ベトナムでは2025年までに、少なくても70万人のITエンジニアが必要になるという。しかし現在は約53万人しかいないのです。
IT関連を学習する人は増えているが、企業が要求する要件を満たしていない。
HCM市に本社を置く企業で長期間勤務する管理者は、市場に経験豊富な開発者が極めて少なく、新入生ばかり目立つと語った。年間57,000人の卒業生のうち企業が必要とするスキルと専門知識を持つ人材は30%に過ぎません。
これでも多いのでは?と思うのだが、残りの人達は3~6カ月間の企業に拠る追加訓練が要るとある。学校で襲えられた不十分な技術と経験者不足で、質の高い採用候補者は希少だが、何処の企業もこんな人材を望んでいるのは当然。
しかし教える側の人材や能力不足もこの背景にはきっとあるけれど、これにはなぜか触れていません。
ここに筆者がいつも言っている教育の質的向上の必要性が問われているのです。
技術専門学校で教える課程が世界から遅れているし、教員もこれに付いていけないのが実態。こういう実態があるけれどいまだにベトナム神話を信じている日本人が大勢います。
また入社した若手のホープは、実践できるだけの技量や経験が浅いのは当り前。企業独自の教育や訓練方法があり、これを指導するのが上の職務であり先輩やスタッフのはず。日本なら企業や職種にも拠るけれど、数カ月間は新人として企業理念や研修・OJTにより必要な実務能力を付けさせるのが一般的です。
地場企業は、採用=即戦力。この考え。ワーカーであろうが、事務スタッフにしても、常に自社の要望するスキルを持つ人を募集しているのです。
さらに多いのが縁故採用に、出世すれば出身地や卒業した学校から大量に採用を掛けて都会の向上へ送り込むケースが多くある。日本の様な新卒採用も無くはないが、中途採用が多い。彼らは企業カラーに染まらず、目先の賃金の多寡で直ぐに心変わりして即辞める。これを繰り返し、同業他社を渡り歩く風来坊もいるけれどこれが実に厄介。要するに自社の持つ技術をまともに教えると、スキルアップしただけでトンズラされる恐れがあるので懇切丁寧な指導は避けたい。鞍替えされると熟練工員の離職率が高くなり、技術力が向上しないし、ワーカーの質もあがらない。こういう実態もあることに注意すべきです。
実際に在住邦人経営のある企業。信頼していた社員が突然辞め、同じ事業を始めました。ところがまるっきり同じものを造るだけでなく得意先まで引抜いた。商道徳上の風上にも置けないあくどさがあって罷り通っている。
他にも同じ事例は沢山あるが、平気の平左。ガードが甘い地場企業も、外資系企業でも信義とは無縁と考えてもいい。尚更人に優しい日本人は嵌められる。要するに恥の文化はベトナムに存在しないのです。
連日報道される日本国内で犯罪を起すとか、加担するベトナム人も同じく恥じない国民性の露呈。ますます度が過ぎてきているけれど、もはや普通の日本人では考えも及ばないほどの危険極まる不法行為を繰り返す。周囲の人や支援者、同朋への迷惑など全く考えず、如何せん矜持がない我儘勝手な人物が増えた。此処まで来ると人権を擁護すると息巻く日本人も何ら抗弁できまい。
スキルもなく仕事への誇りなど無い、意欲も無く覚えようともしない。実習生のレベルは落ちている。また窃盗に偽造、詐欺的行為。こんな奴が増えるのは社会や教育に問題があるとか、現地事情等を知らない人が多すぎる。
情報通信技術はベトナムでも急成長している産業の一つです。2018年には1030億ドル、2021年に1361億5千万ドルに成長が加速。また世界イノベーション・インデックスでは世界の132国中44位にランクインした、今後の成長が最も期待されている分野なのです。
此の業界、景気後退にも拘わらず平均給与額は2020年以降増え、現在では新規採用者の70%以上が月額600~1000ドル、中堅レベルは1100~2000ドル、10%のトップレベルだと約2500ドルにもなるとあり、ベトナムでは高給取りの部類に属するのです。
HSBC・ベトナムの人事責任者は、将来仕事はAIや機械学習、情報セキュリティー、金融などIT分野に関連する。TopDevでも開発者は、こうした新しい技術、クラウドCP、批判的思考やソフトに理解を深める事を勧めている。
株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生