ベトナム人実習生のレベルが劣化した

2024年12月9日(月)

・労働者海外派遣の現況から

ベトナム労働傷病兵社会省労働局とは海外にベトナム人労働者を派遣する所管であり、同局の発表に拠ると今年10カ月間で海外に送り出した労働者総数が130,640人になったと現地ニュースが最新の海外派遣数を報じています。
これは年間の目標125,000人を早くも4%上回ったとしており、このうち日本が62,722人を受け入れ相変わらずトップを継続している。円安だから日本への派遣者数は減少しているとの報道もあったけれど、実はそうではなかったのです。続いて台湾48,533人、韓国が10,877人となり、中国、シンガポール、ルーマニアとなっており、このところ東欧諸国が伸びて来た。
要するに海外で研修し、自国でその修得した技術を活かすなんて思考は頭の隅にも無く単なる人集めのスローガンに過ぎません。コストのかからない単なる外貨稼ぎの手段でしかないわけで、送り出し国にしろ、受け入れ国にしても、彼らの大半は単なる単純労働者の役割でしかないのは周知の事実。

この海外派遣労働者から少々飛躍した論理を述べるのだが、先ずこれで世界の部品工場、サプライチェーンに成長する、なんて理屈など通らない。おまけに何時まで経っても海外に投資を求めるだけで、自助努力できないままに成長は何れ減速してゆくだけ。ベトナム企業はR&Dが何時まで経っても不得手だし、M&Aが増え、一部を除いて企業の成長、進化は見込めない。
こうなると外国に経済を委ねることになって、下請けのアッセンブリー国家の呪縛から抜け出せないし、自国ではワーカーでさえ育成教育ができていない。これは労働集約産業から脱することなどできないという意味なのです。
さらにここに来て、此のところこの国の課題となっているのは高齢化が急速に進んできたこと。これまでのように若くて手先が器用な労働力が豊富で、容易に調達できるという神話が通用しなくなったわけです。
さらに経済成長の結果、所得の向上、すなわち労働コストの上昇が顕著になり、海外企業にしてメリットの一角が崩れてきた。また中所得国の罠、これに陥る可能性もこれらの経済状況や社会環境から観て現実味が出て来たと考えます。
国はグリーンビジネスとか、脱炭素社会実現などこれまでの工業化社会からの転身を促進する目標に掲げているが、それにしても自国技術など期待できないこんな状況で、海外労働者派遣が目標を上回ったと喜んでいいのだろうか。

しかしながら我が国だって相変わらず人手不足。何としてでも、何処の外国人であっても受け入れたい。一部の企業の本音だが、労働者としか捉えていない。
ところが労働者不足を煽るような施策が次々とあらわれ、これには中小や自営業者は頭を抱えているのが実態で、もはやエッセンシャルワーカーの調達が、スキマスイッチやタイミーでは根本的な課題解決には何ともなりません。
労働時間短縮、最低賃金上昇に加え今の所地域差はあるとしても1500円に持って行こうと各政党は声高に叫んでいる。おまけに今回の選挙で103万円の壁どころか178万円まで引き上げが究極の政策目標になっており、これを支持する国民の意思の表れが、当選者数として明らかになったのは周知のこと。
どのような結果になるのか全く分からないけれど、民意が通らないとすれば益々人手が足りなくなるのは目に見えている。何としてでも避けたい総務省、また地方自治体と、これを主張する政党や支持する勤労者との対立構造が出て来るのははっきりしているけれど、劣化するのは日本国と国民の労働力です。
要するに現場の実態が分からない、分かろうとしない、いや分らなくてもいい、机上の論理が得意な官庁。国民の懐事情や生活実態、個人事業者などどうでもよく、国民そっちのけで数字をもてあそんでいるだけでしかありません。
仮にこの構想が通らないとすれば、ますますパートで働こうとする人や主婦層が居なくなり、もしかすると倒産に追い込まれる所も出て来るのは自明の理。
次の参議院選挙で国民がこぞって落とせばいいのだが、其処は日本人。一定のバランス感覚が働いて、究極の転換など出来ない国民性の弱さが露呈します。

それどころか何時まで経っても日本人の賃金は上がらないまま、先進諸国にはもはや抜かれているけれど、何れは新興国にも抜かれるなんて現象に繋がり、更なる貧困化が顕著になってゆきます。もはや日本の経済・研究技術の衰退がより明確になると言えます。こういう事態を考えないで、上級官庁のシナリオに沿った反対意見をだすより、経済効果がそれ以上にでてくるという事を何故考えないのか。ただでさえ人口減少がこれから先大幅に大きくなってくる可能性の方が高い。当然税収にしても思う以上に減るのが見えており国は先細る。
ではどうするのか。地域経済活性化しかありません。これを真正面から捉える自治体の首長、あるいは国家の大問題として考えている政治家がどれほどいるのだろうか。いみじくも普段からの言動からして稚拙なアイドル出身者を複数政務官に持ってくるなどアホの限り。政権も此処までくれば世の末、異常事態。
緊縮財政派というつまらないケチが多過ぎて、積極投資は危険とみているのだろうか。だが国が国民に勧めるNISAの方がよほど博打性が強すぎて危険、外資を儲けさせるだけ。万博以後のカジノを助長するなど、どうも整合性は見られない。何時まで経っても日本経済は失墜のまま復活の試しは期待できない。
経済は心理。一般国民の想い、簡単に言えばヤル気、国への信頼。これが真理で、政府に行政、政治家が国民の気持ちを萎縮させてどうするのでしょうか。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生