ベトナムEC戦国時代とベトナム人のECサイト選びのポイント

2019年5月18日(土)

アジアの中でも安定成長を続けるベトナム。2018年の経済成長も7%を超え、消費市場として世界中でも注目されているマーケットの一つです。
そんな中で、Eコマースは特に高い成長が期待される分野で、現在年率20%程度の成長を遂げており、2020年には100億ドル(約1.1兆円)市場になると言われております。そんな急成長市場の首位をひた走っていたのがアリババグループから出資を受けて東南アジア各地でECビジネスを展開するLAZADAで、2017年第4四半期ではECでは2位の携帯電話販売The Gioi Di Dongの1.2倍以上のビューを誇っておりました。
ところが、2018年第3四半期には一気に形勢逆転し、2017年第3四半期にはLAZADAの3分1程度だったShopeeが一気に首位に。Shopeeはシンガポール系のファンドより出資を受けて東南アジアでEC事業を展開しているのですが、一体何が。
先日、この件についてベトナムの中堅証券会社のアナリストより彼らの分析結果を聞いてみたところ、勝因はずばり「価格」とのこと。どういうことかというと、LAZADAは個別店のモール形式(楽天モデル)を採用しているのに対し、Shopeeは個人対個人販売(メルカリモデル)を取っています。法人やそれに近い組織が出店しているLAZADAの方が信頼性が高くなりやすいのに対し、個人間売買のShopeeは個人に依存するので信頼性も低くなりやすい中で、出展料を取らない(2019年春より徴収)上に、様々な形で販売補助金のようにディスカウント分をShopeeが負担するなどして手軽な価格にし、売主にも負担が少ない形にして取引を加速させているようです。もちろん、他社もディスカウントは行っているのですが、Shopeeの投下資本が遥かに多いとのこと。
ベトナム在住者でないと分かりにくいかと思いますが、ベトナムの小売店の対応はかなりばらつきがあり、サービスレベルが全体的に低いです。ECの場合、特に多いトラブルは写真で掲載されていたものと届いたものと違うというもので、返品等々、その後のトラブル処理で一苦労があるため、キャッシュオンデリバリーでないと購入しないという消費者も多いです。
そんな中、こうやって売買にShopeeが一枚噛むことで、そのメリットを享受したい売主、買主両方が誠実に対応することにもつながっているようです。同時にLazada出展者の質の低さも原因ではあるようです。
日本のように一定以上のクオリティが当たり前のように担保されていない中、失敗したくないという顧客心理を価格の安さで乗り越えてしまう仕組みをある意味作り上げているとも言えます。
ただ、たった1年でこれだけマーケット勢力図が変わるわけですし、Shopeeはじめ各社大赤字を出しながらシェア争いをしている中で、Shopeeがこのまま勝ち抜けていくという保証は全く無い状態です。今後ますます伸びることが予想されるベトナムのECマーケットがどのように変わっていくのか要注目です。

筆者:株式会社VIT Japan 代表取締役 猪谷太栄