農業・畜産分野で進化が①

2021年7月14日(水)

ベトナムは世界的農業国。輸出高一位の携帯電話は外資企業に依るものだが、二位の繊維・アパレル製品、次いで靴・カバンも好調とある。
またこれまで影に隠れて日の目を見なかったけれど、急速に進化しているのが農業分野。新たな海外市場を開拓し、輸出も年々増加しています。
前回のコラムでは、ベトナム農業近代化へ拍車として、主に南部メコン地域における状況と、オーガニック野菜に関連する事項、コメに関する話題にも触れました。
今回は海外への農産物輸出と、ハノイ市周辺の事情に関してまとめてみます。

2020年度の農業製品の輸出額は410億ドル、2,65%増となりました。
中でも米の輸出が好調で30億ドルを突破。果物は生のライチ(VN語でVai)が初めて日本へ、ランプータン(ChomChom)も台湾へ新規に輸出されている。このため国内生産地は活況、収入と生活水準の向上が期待されます。だがこれまでの国内出荷とはいかず海外向けはそのまま輸出することができない。害虫処理、糖度や選果など厳しい生産過程での管理や品質チェックが要求されます。
これ等は他の農産物や工業製品とも同じだが、造る側の意識を根本から変えなければ出来ないことで これが不可能なら先々の成功は期待できません。

今年は440億ドルを目標と設定したが、農業農村開発省の方針で、これからの農業に付いて小さな生産者集団から大規模事業への転換を図るとしています。
また目標達成のため持続可能な農業の構築のため、政府が目指す新農村作りを推進することで生活水準の改善を実行。産業構造の変化で若者の流出も多いが、低所得・重労働のため減少する一方の農村人口へ歯止めを掛けるとしています。
だが単に気候や市場ニーズに左右されない農産物栽培を促進するだけでなく、種々の未解決課題をどうするか。これが一番ベトナム農業で重要なことです。

行政はこのところ南部メコン地域で深刻になっている塩害。即ち原因と思われるのがメコン河上流で中国に拠る複数の大型ダム建設であり、これは水資源の独り占めを狙っているとみていいし、そして気候変動に対処すること。
また農業経済の再構築化とデジタル技術で栽培や加工方法、技術を開発するなどで、農産物への付加価値化を図り現代的農業を発展させるとしています。
これに対し農業に投資する企業に有利な条件を与えて促進すること。生産への支援、研究、指導、資金や資材などを安定して供給するため、生産協同組合の設立。さらに産品を早く市場に出すために販売ルートを明確にさせること。
さらに企業とこの新しい組合、生産者との連携を深める方針を打ち出すなどの施策を打つ出し、農業を発展進化させるとしています。
実際企業化が進み、農家が生産した作物を買い上げ加工する事業も増え、中には外資企業が行う委託生産のカタチのような、資金や種子・肥料を貸し付けて転作を行う地域もあり、幾分か収入は良くなったと直接聞いたが、実は儲かるのは企業。これを改善しなければベトナム農業の未来はありません。

・第一四半期の状況

COVID-19禍でも今年の出だしは好調で、2021年の1~3月期の果物輸出は9億5千万ドルとなり、前年同期比6%の増加。これには中国、オーストラリア向けが要因。さらに輸出額が増えるとの見方があり、新規輸出先も増えたため成長が期待できます。
特に中国へは輸出額の63%を占め、前年の18%も増えて断然トップ。例えば中国産と思っているライチ。楊貴妃が好んだと言われ、この高級なイメージがいつまでも残っていますが殆どがベトナム産というのが実態。さらに日本ではこれまで缶詰めか冷凍でしか味わえなかったが上品な甘さと香りです。
二位のアメリカ、タイ、日本、韓国と並びます。だが台湾が43%、オーストラリア31%、マレーシア32%増となっており、これらの国では実績が低いが、今後輸入の増加が続くとみています。
この先ベトナムが締結した経済連携協定締結国へは、ほぼゼロとなる優遇関税制度を利用するとか、アフリカ、中東、欧州市場とされる有望な新規輸出先が拡大できる、と農産物加工・市場開発局は期待している。

・果実生産の課題

南国の果物は珍しく、色も綺麗だし甘くて美味しいので人気は高く、一度口にすれば虜になる。このため輸出が増えているけれど日本の生産農家との違いは何処にあるのか。
初めて日本へ輸出が可能となったマンゴー(XOAI)、2015年9月からです。日本企業の視察で訪れたクチにあるHCM市のハイテク農業センター。当時の所長で旧知のティエンさんがこの生産農家を集めてくれ話を聞いた事がある。
まだ輸出がどんなものかとの意識がそれほどではなく、技術的なことも含めて日本と大きな差を感じました。
まずは土作り。ベトナムの土壌は友人の専門家に拠ると菌類、有機質が少ない。
加えて化学肥料を使うため有益な菌が無くならない様に少なくする事が肝要、有機肥料の使用が望ましい。また土中や空気の温度、湿度管理に無関心。これ等は最近日本の支援で機械を導入しハイテク技術を採用、機械化が進んでいる。
栽培するうえで摘花や摘果をしない。このため養分が行き渡らず旨さや甘さ、大きさと実なりがよくない事に気がいかない。結局は品質より多く収穫しようと欲張るが、実は反対なのに気が付かず指導しても聞かない模様。良品を生産してリピートを得るとの意識モードになっていません。
長くやってきて急に変えろと言われても難しい。ほって置いてもたわわに実る肥沃な大地と気候に恵まれすぎかもしれません。この他ドラゴン・フルーツ(ThanhLong)など美味しい果実をたくさん作って輸出して欲しい。

日本でも南国フルーツの人気は高く、ベトナムで口にして味の覚えが強く残る筆者としては、マーケットが要求する厳しい基準は安心できるが、生産農家で採れたての瑞々しい鈴なりの果実をたらふく味わったイメージとはかけ離れ、手が出ないほど高価なもの。おまけに小さくてどう見ても時間が経過したものとしか思えないのは残念な事。またバナナも種類があってそれぞれ特徴がある。輸入できる種類が増え価格も安くなるのを期待しています。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生

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