日本のボールペンが世界で人気

2022年9月16日(金)

日本製文具は海外で人気が高い。その中でもアジアを中心として広まっているのが高性能ボールペン。滑らかな書き味とか、消せるフリクションなども人気商品となっている
何と2021年度の輸出額が過去2位になったとあります。税関に拠ると全国のボールペンの輸出は本数で11億300万本と前年比26,8%の増加。金額では557億円で同33,2%増加したという。
最大の輸出港は横浜、この港が日本一。ほぼ40%の4億2500万本、金額では200億円にもなっている。
このデータには出てこないが、2013年からは輸出量よりも、一本当たりの平均単価が上昇しているのです。この理由は研究を重ねて同様の他国産よりも付加価値のあるモノに変わっていったからなのです。また世界各地域やアジア新興国にも拡がったのは日本に来て使って良かったので持ち帰ったとか、日本人が土産に渡したことがその要因に挙げられている。
こうして現在世界106ヵ国に輸出され、一番多いのがアメリカ、次いで中国が圧倒的で、かつての輸出大国にも送られるほど人気。
これまでの最高は2000年。しかしこの後にアメリカ経済が弱く景気後退の影響から減少。一旦盛り返したのだが、再びリーマンショックで暫く落ち込んでしまった経緯がある。そこへきて今度は2009年から202年迄はCOVID-19の世界的蔓延で減少した。世の趨勢で輸出が増えたり減ったりだが、ある意味世界経済を背景にバロメータになっているのは面白いものです。

・ペーパーレス社会になったというけれど

オンラインでの授業に在宅勤務。この時節、やむを得ないし若い人には人気とかだが、実際は多くの人が渇望しているのが対面での授業やビジネス。
当初は良かったが最近のデータでは僅かに16,2%。期間が長くなるにつれ、会話もなく疎外感でストレスが生じてきたり、家人には煙たがられたりして情け容赦なくお荷物扱いされる始末。企業はコミュニケーションが不足するから、議論を通じてアイデアの創出が出来ないとか、ブレーンストーミングが出来ず若手社員の育成に難がある。三現主義が有効とするなら工場や研究所勤務には無理がある。必要に応じ制度を柔軟に合うるのがよさそう。

デジタル化社会に移行。確かに海外とのやり取りも増えてきたけれど、地球の裏と表では昼と夜、季節も違うし、全く面識が無ければ何ともし難い感は歪めない。然るべき環境の下で相手の体温を感じ、表情や感情を確かめるのが基本。テスラの社長の考え方は一見すれば現代ビジネスの趨勢の真逆みたいで、無駄の様にも思う人が居るけれど、決してそうでなく、人間の根本原理からすれば集まることが基本。人間だから明確な意思があり、同じ空気間の中でこそ顔を合わせて激論し、共有するべきことがある筈。失敗してナンボが人生です。
画面を見ていても絶対に「気」は読めない。これは言葉の違いとは関係が無い。
ITの世界になったと思いきやしっかり根を張っている算盤、完全にアナログだが世界から驚愕の目で見られ導入する国もあるとか。カシオの方が便利だと思っているなら暗算能力は身に付かない。
人間の能力を開発し、得意分野を活性化させるのはこうした人と人との関係と、競争社会。機械はあくまでも道具に過ぎず本来は脇役、支配されてはならないと知るべし。

電子書籍も便利とかだが、ある大学の教授の研究に拠ると、紙の本を読む人と電子書籍を読んだ人と比較すると、紙の本を読む人の方が圧倒的に理解力に優れ、感情表現が豊かである事が証明されたとある。また文章力も付くし文脈も正しく、文字(漢字)を覚えることも早いようだが、何がその要因になるのか。
誰しも経験がある、良いとは言えないが赤鉛筆でアンダーラインを引くとか、傍線を入れることをした。また読み掛けのページに折を入れることもあった筈。
簡単に分るが、タブレットではこうはいかない。電気が無くては動かない。

また古本屋で絶版になった本を発見した時の喜び、少々紙の色も褪せていて、活版印刷などは文字が掠れているが、手作り感があって優しく味わいがある。
愛読書などは数十年経っていても本棚の何処になるか今でも分かっています。
因みにシミは紙魚と書くのは、確かに語源として歴史的なものがある。
無類の本好きでは無くても、ふとあの本が欲しいと思っていると、気が通じたかと思うくらいまさに目の前にという経験もある。また知人の大学教授の研究室でのこと、ふと見ると母校の先生のテキストが並べてあった事がありました。その旨を告げると同じ経営学の研究者。気脈は相通じるのです。

こうしたアナログ人間からすれば、世界の流れである情報通信社会とは相まみえないが、だからこそ遅れていると判断するのは違っているのでは?

初めて見たボールペン、文房具屋にあったのは木製軸で30円と記憶している。
だがこの時分60年前は万年筆が主流で、中学生になった証。胸のポケットに挿すのが一般的。当時流行ったコマーシャルは、僕の日記プラチナ、であり、パイロットでスタート!まさに人生のひとつの起点の象徴でもありました。
海外製万年筆のひとつペリカン。ドイツ製だったか当時は高級で一般の文具店には殆ど置いてない。父親は滑らかだというが、その通り横文字を筆記体で書くのだから当然かも。父親の会社はこのような顔料を製造していました。

・ベトナムでは

20年以上前に仕事で訪越。この時宿泊した有名ホテルのドアボーイに世話になるからと持参したボールペンを土産に渡した。すると彼は翌日にお礼だと言って細やかなものをくれたのです。この当時は日本製のボールペンは高級品。よほど気に入ったのか嬉しかったのでしょう。
ベトナム製ボールペンもある。だが途中でインクがダマになるとか、まだ残っているのに出てこない。多分鉄球の品質が良くないのも原因。これだから日本製は人気があるけれど、文具店(書店)には手の届くところには置いていない。カウンター越しのガラスケースに鍵をかけて入れてあるのです。万引き防止なのだが、そのままならあっという間になくなってしまうほどの人気。必要なら店員に言ってカギを開けてもらうしかありません。

ベトナムにこれを土産に持って行くのなら、青色です。学校でもビジネスでも日本の様に黒は使いません。赤色も良いし、インクはジェルが書き易くていいかも知れません。MADE IN JAPANの記載があればなおのこと嬉しい。
以前ベトナム人留学生に就職の世話をした。老舗有名文具企業で丁度ベトナム工場を建設中だったので運も良かった。輸入しなくても国内で日本企業の製品が買える様になります。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生