ベトナムの農業 まとめ 5

2023年12月12日(火)

物流に必要なのは倉庫。昨年だったか住友倉庫がベトナムに進出。これから先の需要を見込んでの事だろうが、取り分け区分け自動化、冷蔵・冷凍設備がある倉庫は少ない。農産品を扱うこの倉庫は国内に50弱とあると言われるが、生鮮品の保存と輸出向け加工品の需要には対応が難しいとされています。
先ほどのダラットの事例で、ラムドン省の農業生産量のうち加工されるのは約15%と言われるが、この中でコールドチェーンに拠る保存が現在ほぼ半分というレベル。残り多くは保存が出来ないため、廃棄されるか大きなダメージを受けているとあります。
これは設備と輸送という物的流通段階での未整備が問題。従って消費者に届く前段階ですでにロスが生じているのは勿体ないこと。このところスーパーでは冷凍食品を多く扱う様になったが、ライフスタイルが大きく変化して来ている時代なのに、全く対応できていない訳で、商圏は極めて限られた狭いエリア。言わば社会的機会損失でしかなく行政が主導する早期対策が必要です。

・品質向上とブランド化が遅れている

かつて大阪で開催されたアジアフードショウ。此処に参加したベトナム企業はベトナム産の加工食品の展示と試食を行ないました。まだ珍しかったベトナム産チョコレートやジャム、ココナツ、ジュースなど。毎日放送TVでブースが放映されたが、他には参加企業が無かったので試食はかなり人気がありました。
商談に進むことはありませんでしたが、この加工食品を製造したのはHCM市にある工場。アメリカへ留学した若い後継ぎが行ったのです。
新しい芽は出てきているが、ビジネスに結び付けるのには時間がかかる。またAEONの様に現地に進出、小売り事業を展開しており、しかもPBブランドを幅広く開拓していて日本に逆輸入している企業が採用して、PBとして販売することに納得できればいい。だがそこは自社で開発して、独自ブランドで売って行きたいという希望がある。途上国の製品であるがゆえに、安定はするが、大手に飲み込まれ、品質管理は厳しいうえに儲けは少ない。これでは単なる下請け的企業であり、目指すところではありません。だが問題は資金が少ない。
会って話を聞いたことがあるのだが、考え方はしっかりしていたのは印象的。
これまでの経営者から脱皮し、新しい企画で商品開発。品質管理も海外仕込みだし、機械もノウハウもこれまでとは違う。こういう企業が大手だけではなく事実出てきているのです。
枝豆などは日本企業がダラットなどで生産し、冷凍状態で日本へ輸出している。
このようにこの先にチャンスはまだ多くあると考えて良い。
ブランド化は商品価値を高めるために重要なもの。最近は意識が高くなった。
日本の大手広告会社のような企業もあり、こうした所がマーケティングを行なうし、大学でもこの様なクラスがあります。
先の外国人の企業はこれに明るく、ロゴやカラーまで如何にも美味しそう!と思えるものだが、実は社長の娘さんが考案し、自分でも海外に駐在し販売しているとの話をしていました。
だが幾つかの加工食品の事業所の事は前に触れたが、外国への輸出と言うだけで腰が引けているとか、面倒くさいという地場企業の経営者もいるのも事実。
宝の持ち腐れでしかない優良製品。これをブランド化して、マーケティングをしっかり行う。このためにはストーリーを経営者が持ち、生産段階から加工、販売の流れを把握するべき。商品には理念とロマンが無ければ訴求力はない。
だが現地農産物栽培・輸出する会社の要請で、ある若い元留学組の女性経営者に会った。この時、こうした話をして、日本人の好意で日本の農場や加工施設、販売先の視察を提案した。また指導を現地の日本人農業指導者に依頼があった。だが話を詰めると結局費用の面で難色。こういう吝嗇、利益が確定した段階で費用を払うというベトナム方式は、グローバル展開をする積りとはかけ離れた卑しい、社長として恥ずべき能力の無さを露呈。これでは成功しない。
先覚者や専門家の意見を尊重し、然るべき費用を払う。この経営観が無ければまともな製品など出来る訳がありません。事業家としての精神性の弱さがある。

・スマート農業

新しい高度な技術を駆使した農業。機械化、自動化、IT利用、バイオテクノロジーに新農業モデル、こういったものがスマート農業とか、ハイテク農業といわれるものです。
ベトナムはカントー大学を中心、日本が支援した実証実験で成果が出ている。
またハノイ、ラムドン省などの地域で企業や組合が導入して成果を上げている。
この動きはますます加速してゆくが、やはり農業従事者の高齢化、人材不足が背景にあります。
実際には、ハウスでの栽培で自動での温度と湿度管理、水と養分の供給、陽光と風をシステム的に利用。米作りでは稲の状況に合わせた灌漑設備に利用し、ドローンを使い薬剤散布などに応用している。さらに進化すれば人手はもっと少なくて済むようになるとある。
もう一つは2030年までの温室効果ガス排出量削減。有機農法とエコロジー農業の発展で環境に優しい農業、資材などの効果的利用で経済性を高めること。
あらゆる方策を用いて、ベトナムはこれまで以上の農業生産国に成長してゆく、これが最大の命題です。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生