野菜果物の輸出 9月に過去最高に達した

2025年11月27日(木)

現地メディアが報じるところ、8月に野菜と果物の輸出は13億ドルとなり、前年比41%も大幅に増え過去最高の数字を達成したとあります。
ベトナム青果協会によると、年初来9カ月間の野菜果物の輸出総額は前年比8,3%増加し、約61億ドルと推定されると発表。9月単月では急回復に転じたけれど、これは中国向け輸出が8億ドルで全輸出額の60%占めたことに起因するのです。何故急増したのかだが、ドリアン需要は中秋と建国記念日のお陰としている。ドリアンは月餅の餡に使用されるのだが、ベトナム産の価格が最もリーズナブル、中国人はドリアンを好むため多く消費されるわけです。
一時はマレーシア産が高級で良く売れ、ベトナム産は輸出が減少したのだが、ここにきて巻き返しを図った。
ドリアンのメインシーズンは10月までだが、13が地までは供給可能と協会では語っている。この時期には競合する他国は在庫切れとなるため、ベトナムの農産物は優位になり価格を支えるという訳です。
冬になると他国では収穫できない果物が多く、ベトナム産品はこの点で秀でており恩恵を受けるとするが、特に中国への輸出は道路と鉄道で結ばれ、港とも接続されているので輸送コストと時間の節約になっている。こうした中国からの需要はベトナムの農産物の輸出を加速し、今年の予想値では80億ドルに達する可能性が高いとされている。

・高級品種ムサンキングドリアンは価格が2倍

最高級品種のドリアンはムサンキングと呼ばれ、1キログラム当り220,000~280,000VNDで売られているが、今年の価格は前年比で2倍になっていると報じています。
生産地であるメコンデルタ・カントー市、ティエンザン省、また中部ダクラク省の生産農家では140,000VNDで卸している。生産農家は今年の収穫は20%増えたが、選別すると最高級品質の果実、グレード1は逆に不足している。
人気の理由は、ほのかな苦みはあるが農濃な甘さ。ゆえにドリアンの王様と言われ、形は楕円形で、大きなスパイクに濃い緑色をした果皮、下部に5つの星も模様がある。しかし品質が悪ければこれは1キログラム100,000VNDしかならない。
生産農家はこの品種は手入れが難しく、手間がかかるので儲けが出るまで何年も掛かるが樹齢は4~7年、収穫のピークは10年だというから賭けのよう。ベトナムでも中秋には需要がピークになるけれど、高級品種は供給が枯渇して取り合いになるというから人気の程が分ります。
因みにドリアンの輸出業者に拠ると、中国への出荷を6月初旬から再開したとあります。この所は農薬などの残留物検査が激しくなり、特にオーラミン0とカドミウムの残留物が通関検査で品質検査とともにチェックされたが、国内での事前の放射線照射で改善され、通関はスムーズになったという。

・メコンデルタ産のマンゴー価格が50%高騰

メコンデルタ産のホアロク・マンゴーの販売価格は、需要が供給を上回ったとされ7月以降50%上昇している。アンザン省はメコンデルタで最もマンゴーの生産が多い省で、12,000Hrのマンゴーの農地があり、これは全国で114,000Hrと言われる農地の11%強を占めています。
アンザン省の生産協同組合では1キログラム当たり40,000~60,000VNDで仲買人に売っていたが、大雨と結実率の減少により収穫量が20%も減少、品質も低下したとしている。しかし多くの生産者はテト期に収穫をするために開花を調整しているため販売できるマンゴーは無い状況。そのため需要はあるけれど供給が無く価格が上昇している訳です。さらに儲けが少ないのでジャックフルーツやドリアンに転作している事情もあるとされている。
HCM市の果物店では、この4マンゴーの小売価格が1キログラム当たり80,000~140,000VNDとなっており、今年の最高価格の水準という。
取り分けオーガニック・マンゴーは市場の小売価格が1キログラム当たり180,000~200,000VNDというから事前註文しか受けないが、筆者にしてもビックリ価格、今HCM市の果物の価格で最も高いという。これは一つには9月6日の先祖代々の供物として買う果物としての需要増も原因。

・アメリカへの野菜果物の輸出

アメリカへの輸出も今年8カ月間で3億1600万ドルと、前年比で67%増加したとしています。
協会によると、バナナ、グアバ、ドラゴンフルーツ、ココナツとその加工品はアメリカの消費者から人気を博しており、今年初めには減少傾向にあったけれど回復したとしている。この最大の原動力はドリアンで最も輸出シェアが高く、中国市場と同じく品質基準を厳格化した結果としています。
またマンゴーの輸出も安定しているとされるが、今年は高品質マンゴーの入手が難しく価格が上昇している。その上に保存が難しいため品質を維持するために空輸しているのでコストが上がり、現地の小売価格も上昇しているので10月以降のシーズンに供給が増えることを期待しているという。
今年7カ月間でベトナムからアメリカへの新鮮なマンゴー果実の輸出は約1億9千万ドルであり、前年比で12,2%増加している。

・中国企業はベトナム産ドリアンの輸入を増やそうとしている

中国経済は良くないと言われているけれど、ドリアンは中国人が好む最も好む果物のひとつ。市場では需要が急増しているとされ、中国側の輸入業者は特にベトナムからドリアンの買い付けを増やそうとする動きをしているとベトナムの国内ニュースで報じられています。

事実ベトナム側の輸入業者である李氏にベトナム通信の北京駐在員が取材した所では、2025年度上半期のベトナムから中国への農産物輸出は13億ドルに達し、前年比で46,8%増えたという。
ベトナムにとって中国は巨大消費市場であり、輸出は地理的に近いので、輸送時間が短く、また一年中を通してドリアンは収穫があり、独特の風味はあるが品質と安定して長期的に輸入できる可能性もあるため高評価されているとある。

ここ数年来、ベトナムと中国との関係は、両首脳に閣僚、ビジネス団体が相互に訪問しており、最も良好な関係にあって、輸出入に関しても協力関係が強化され、ベトナムに有利な条件で国境ゲートでの通関手続きが改善されて簡素化、処理時間の短縮を行い直接ビジネスが促進できるようになってきました。
この結果、新鮮で品質を保ったまま中国に入るわけで、越中ビジネスでの企業間が密接に関係する重要性を強調したとあります。
ベトナム産農作物の輸入を行っている李氏の企業は、中国でトップ500に入る企業のひとつであり、他事業部門ではケータリングサービスも行っているが、そのリーディングカンパニーとされる。ベトナム企業との協力関係を拡大し、ベトナム産農産物を国内市場に提供する考えは明確。
ドリアンは他の企業でもタイ産やマレーシア産ドリアンに比べてもベトナム産の競争力が高くなってきたとされ、今後マーケットが拡大してゆくことを期待しているのです。
現地記事には最近のベトナムと中国の貿易促進イベントでは、品質基準、食品の安全性をカバーする協定が結ばれており、これがベトナム産農産物の輸出増を後押ししていることを強調している。
これはドリアン好きの中国人にとっても朗報だが、現在の市場シェアが高くなるのはベトナムにとっても13億人の消費市場は有利に作用し、拡大するものだと見ているのです。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生