設計事務所のベトナム進出

ベトナム事業支援

ベトナム現地法人設立6年目を振り返って

DELTA ARCHI TECTS VIETNAM CO.,LTD.
代表取締役 三角照夫
27B/6 NGYEN DINH CHIEU .P, DA KAOQUAN1,HCMC
www.deltaarchi.com
2011年10月設立
著書 : AutoCADのコツ ( 2006年 エクスナレッジ )

1 . 会社概略

弊社は大阪で20年間以上、建築設計、特に建築施工図の分野で各ゼネコンと取引をしており、特に図面作図の分野ではCADを使った作図が主な作業です。作図については安い人件費を求めて中国などに進出している企業が多数ありましたが、人件費の高騰に伴い他のアジア圏へ各社がシフトする傾向にありました。

2 . ベトナム進出の経緯

弊社がベトナムへ進出するきっかけとなったのは、弊社の取引先の一つがベトナムにも作図を依頼しているとのことで、一度現地を確認・調査に行って欲しいと依頼があり、私自身ベトナムに興味がありましたので是非と言うことで訪問したのがきっかけです。
ベトナムの作図会社を訪れたことでその会社から1ヶ月間、日本の建築知識とCADをスタッフに教育して欲しいと依頼があり、1ヶ月間講師としてベトナムへ行くこととなりました。
そこで実際に現地のスタッフたちを教育していくうちに、ベトナム人の能力、仕事に対する姿勢、人柄に惹かれるようになり、帰国後すぐベトナムへの現地法人設立を計画するようになりました。
VAC迫川社長の献身的なサポートもあり、なんとか設立できたものの、これからスタッフの募集、備品の購入など、やらなければならないことは山積みです。また一つの事柄を行うのに、ものすごく時間が掛かりますので肝に銘じておいて下さい。
多くの日系事務所が日本の物件をベトナムでアウトソーシングすると言う形を取っているのに対して、弊社はベトナム ホーチミンをハブに、アジア各国の施工図を作図することを目標としていました。日本で20年間以上培ったノウハウが、果たして世界で通用するのか?チャレンジしたい気持ちが大きかったのです。

3 . 進出後の状況

ベトナムでの初めての仕事はTERUMOのハノイ工場、そのあとブリジストンの工場建設の施工図作図でした。ハノイ北部のハイフォンという都市に建設します。敷地約102ha , 総床面積約124,800平方メートルの巨大な工場でした。TERUMOは無塵室など、精密な施工が必要となり、まさに日本で培ったノウハウが生かせました。
その後シンガポールのYISHUN CENTRAL HOSPITAL , CHANGI GENERAL HOSPITAL , マレーシアの工場など、考えていた通りの経験と実績を得ることが出来ました。

またベトナム国内では昨年から今年にかけてHoi An市の世界遺産区域内にある来遠橋(通称日本橋)の下を流れる川の汚染を解消するため、ODAにて下水処理場を建設するPJの設計と現場監理の依頼を受注し、現場のほうは先日起工式が行われ、参加させていただきました。
ODA物件につきましては、もう一つラオス ビエンチャン空港の新築・改修工事の図面にも携わらせていただいております。
ただ製造業のように取引先が出店するので一緒に、と言う形ではなかったので、現地法人を設立して、全て一から飛び込み営業などで仕事を受注するしかなく、まだまだ仕事量が安定している訳ではございません。しかし、VAC 迫川社長にアドバイスされた「赤字でも3年間は頑張って下さい」と言う言葉を信じ、なんとか今年で6年目になります。ベトナムでもそれなりに人脈もでき、弊社のうわさを聞いた、と仕事の依頼を受けることも、ここ最近では多くなって参りました。

BRIGESTONE HAI PHONG FACTORY

HOI AN 日本橋下水処理場建設工事起工式

4 . 今後の現地法人の展開予定

ただ人数が多いだけの会社にはしたくありません。弊社に2等兵は必要ない。SWAT やNAVYSEALDS のように少人数のスペシャリスト集団を作るべく、社員の教育・実務経験を積んで行きたいと考えています。

5 . これから進出する企業へひとこと

ベトナム現地法人を立ち上げるにあたり、まず第一に優秀な通訳が必要です、これは事務所を借りるとき、スタッフの面接のときなど、重要な役割を果たしてもらわないといけないので、日本語が上手なだけではダメです、専門用語を理解している事。その次は事務手続きや会計書類などを処理してくれる事務所を探すこと。社員の離職率の高さも気になります。弊社のように母体が小さい会社では、いかに固定費を抑えるかが重要になってきます。