ベトナムでの性教育を考える

2020年10月9日(金)

ある在住者のブログを見て驚いた。エ~嘘、こんなに性教育が進んでいる。と言っても勿論学校が始めたのではなく、記事に拠ると健康教育スタートアッププログラム「We Are Grown Up」による安全なセックスの授業があって、これを立ち上げたのが20歳台の若い女性ホアンさん他3名。動機は大人が安全な性について話したがらず、社会も性教育向き合い方が分かっていない疑問から。自身も生物の授業で教師が性行為に一言も触れず生殖の説明をするのに違和感を覚えたという訳。日本の宗教系K院大学。聖母マリアがキリストを処女受胎したとする1回生の必須授業で、アホラシと声を上げたのと似ており、宗教心が無いと虚仮にされる。ともあれ日本より真剣に向き合っていると思え、その勇気には敬服と同時に考えさせられます。
すでにハノイ市内の20校では詳しく教えたが、受け入れた学校もエライ。というか教育関係者は出来ないから託しただけなのだが、そこまでモラルが低下して状況が逼迫、追い詰められているのが現状です。
彼女たちが行う授業、WeGrow Eduでは性の基本やコンドームの使い方といった若者にとって大切な情報や擬態的な知識を提供しているというのだから、世は大きく変化したものとビックリ。
また同様に性教育に携わる活動を行ったコン医師は、これまで数千人の若者へセーフセックスと避妊についての情報を提供しているとあります。

実はこの背景にはベトナムが抱える大きな問題があります。コン医師にしてもホアンさんも憂慮するのは、中絶の処置が意思に拠らずに行われる危険があると捉えているからです。
日本では考えられないのだが、特に地方へ行くと男子の出生を尊ぶ風潮が強く、女児と分かれば堕胎させられる悪弊が現在も生きています。地域によって差があるが実に男児100:女児120にもなる歪なもの。
中絶手術は必ずしも安全でなく不衛生。妊婦の死亡率は高く以前の記事では年に5万人に及ぶとの記憶があるが、これは必ずしも正確な数字ではなく闇の中。もっと多いかもしれないが調査は不可能。避妊を拒否され、知識が無く一度、二度ではなく慢性的に続けば危険この上ない。こうなると人権蹂躙だが村意識には勝てない。
また中絶数は新生児出生数を遥かに上回るという報道もあり、年間100万件以上に及ぶとされますが、届は正しくはないため不明と言わざるを得ません。
問題はこれだけではない。日本と同じく親や教師から性について教えてもらう機会はなく、友人なども正確な知識が無いと言うのがまだ実態。
日本人は笑い転げるかもしれないが、随分前のこと、私の友人など生理用品のCMが流れると彼は子供の目に手を当て、良くないと話すのです。当時は良い製品は無く、田舎の店など陽が当り埃を被った商品が売られていました。
また地方都市の超有名高校・国立大学を出て英語・日本語も話せる女性。この様な能力の高い人でさえキスすると子供が出来ると真顔で話すので困惑。これって100年前の日本。と思うほどピュアと言うか、無知で恐ろしい話が実際にあって、こういう事情故に正しい教育が必要です。
では何処で知識を仕入れるのか。日本と同じく友人が多い様です。また相談先は以前ラジオ番組に相談コーナーの様なものがあって、質問に答えていたのですが、最近はスマホが普及しているためSNS。これも危ない。
日本人の奥様の話。T病院へ行ったときに見かけたのは10代と思しき女性。結構多いという。また彼らの家は7区ロッテマートに近いが何と隣がラブホ。ベトナムではNhaNghiと言うが、これまた腹の立つことに今どきの若い連中が堂々と入って行くと歯ぎしり。時代は変わってしまった。
記事に拠ると、ベトナムの現代の若者が持つ性に対する価値観が変化。容易にアクセスできる出会い系アプリやコンドーム、経口中絶薬が簡単に手に入る。社会主義の保守的な壁を軽々と超え、地下に潜るとあります。
昔と比べて貞操観念が落ちてきているベトナム、婚前交渉も普通になっている。実際に小学生からケアしていた娘。留学した同級生とデキ婚。式の予定決まらずに妊娠3か月。この他に地方出身の独居学生が妊娠とか、専門学校の18歳の生徒が妊娠して大きな腹で通学とか、結婚まで体を許してはいけないという社会通念など過去の遺物。嘆かわしい。ベトナムは儒教の教えで純潔を・・・なんて遠い昔の話。純白のアオザイの中は純潔と限らない。これは立場のある女性の話。騙されるな!です。

ベトナムはポルノ禁止、しかし実際はサイトに素人投稿の多い事。かつて有名女優のセックスシーンが流出。これをさる会誌で男に騙されたなど好意的に書いてあるがそれは嘘。自然体、どう見ても好きものの行為としか映らない。
かつては1区のビリヤード。扉の奥の方、屋上の隠し小部屋などがはけ口に使われていました。さらにもっと驚くべきは公安関係者の置屋。中には地方から出てきたが仕事が無いとか、能力が無くて行きつくところ、これしかない。という訳で一糸乱れずというか、纏わずか、露わにも小娘がズラ―と並んで客の指名を待っている。こんな役得を悪徳商売にする輩も居ました。なので、此処は絶対安全。何が安全と言えば摘発が無いと聞き及ぶが、まかり間違えばとんでもない仕置きが待っている。高額の罰金と当分入国できない処分を受けますから、君子危うきに近寄ってはいけないのが鉄則です。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生