・東南アジアのECサイト 10位以内にベトナムが5社
2020年度、東南アジアで最も訪問者が多かったサイトTOP10のうち、なんと半数の5社がベトナム企業を占めました。
これは東南アジア7か国に於いてECサイトの価格比較サイトを運営する企業が、COVID-19禍に拠るEコマース業界への影響を調査するため実施したもの。この報告によると、昨年度ベトナムはThe Gioi Di Dong(5位)、Tiki(6位)、Sendo(8位)、Bach Hoa Xanh(9位)、FPTShop(10位)という企業が入りました。だが他の5社の訪問者合計はベトナム5社合計を大きく引き離しギャップは大きいものがあります。
因みに1位はシンガポール企業で東南アジア最大のサイト、ほぼアジア全域や世界に進出し、282百万件もの訪問があったShoppee。2位は中国アリババ・グループに経営権を買収され、シンガポールに拠点を置いて東南アジア6ヵ国で越境ECを行うLazada。137百万件の訪問者数がありました。
インドネシアは3位Tokopedia、4位Bukalapak、7位にBlibliが入り圧倒的に強くこの3社で144百万件の訪問者があったのです。
ベトナムは5社と数は多いが訪問者合計は67百万強。インドネシア3社の47%にしか過ぎない。他島国であり利用可能機会と頻度は高く人口も3倍近くあるインドネシアに何とか善戦しています。
The Gioi Di Dongは携帯電話の販売チェーンで成功し、後発であるが急速に訪問者を増やしています。ベトナム国内で2860万件と2位。
Tikiは2250万件、この所振るわないSendoが1440万件、通信大手のFPT関連企業FPTShopは新参企業で720万件のみ。
昨年度は大きく躍進したといえ、これまで下位に甘んじていたベトナム企業の利用者は東南アジア2位で、マレーシアの4倍、フィッリッピンの3倍、タイの2倍となっており今後に大きな飛躍が期待できます。
グーグルの予測に拠ると、ベトナムは2025年までにEC市場の成長率はアジア最大とされ34%、その売上高は290億ドルに達すると推測されています。
では何故こうした予測が可能かと言えば、ベトナムEC企業はCOVID-19の影響下にあっても消費者のニーズやトレンドに追いつくための努力が見えるとされます。経済成長に伴い所得が上昇、これに拠り購買力がつき消費構造や購買行動の変化が急速に認められる。さらにこれまでに考えられなかった顧客志向に基くマーケティングが行われ、販促策に加えアプリケーションやプラットフォームに価値を創造する。優秀な人材確保を確保し市場の分析や戦略の立案など、経営力を急速に発展・進化させ、競争力を重視しているとレポートしています。
・商工省は格付け評価を行う方向に
商工省傘下の電子商取引デジタル経済局は、2021~25年の国内に於ける電子商取引の発展を促進する提案の中で、オンライン・ショッピングでの顧客の購買と決済に信頼度を高めるため、ECサイトの格付けを行うことになりました。
国家総合電子商取引発展計画は、企業や地域社会での電子商取引に於いて、大都市と地方の格差を縮小。健全で競争力のあるオンライン市場構築を目的としています。
また電子商取引を通じ、国内外での自国製品の市場を拡大することも目的にあげています。これは国境を越えた越境ECを促進し、東南アジアにおけるトップクラスを目指すワケです。
この目標達成には消費者の正当な利益保護が必要であり、その強化と達成への問題解決を研究し提案することも掲げています。
具体的にはECサイトの格付けを奨励するためのスキームを完成させ、法的検討、政策、プログラム、資源を総合してシステム開発を行い、格付けのためのプラットフォームを作成中。この評価は消費者が利用できるようになる予定とある。
これには評価の高い業者を支援しイベントも催行する計画の他、保証された支払い方法、紛争の解決、配送サービスなどの標準化なども行なうとされています。
・電子商取引は増加する予測だが
調査会社ニールセンによると、COVID-19禍のパンデミックが収束した後もベトナムのオンライン・ショッピングは引き続いて成長し、多くの消費者が利用するとしています。
確かにベトナムのECサイトは東南アジアで急速に発展。わずかの間に新規参入が続いてTOP10の内5社を占めるなど活躍しており、より一層の進化が期待できます。
小売業態でもオンライン形式でのショッピング参入が増えているが、総合的発展は見られず、決済方法や物流手段になどのサービス機能が不足している。このため変化している市場と消費者行動を確実に認識し、これに適応する能力が求められる。そのため新技術の採用、電子商取引プラットホーム、キャッシュレス決済をプロバイダーと提携するなど、より多くの利便性と新しいサービスを取り入れ、積極的かつ具体的に訴求してゆかなければ、若年層を中心に顧客離れが起きる可能性も出てくるほど時代。消費社会は急速に変化しています。
株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生