HCM市で日本人が殺害された?

2024年7月4日(木)

日本でも報じられ、現地のニュースでもかなり大きく伝えられたのがHCM市1区での日本人殺害。詳細は分からないけれど、現地報は6月4日昼頃だが、タイバンルン通りで36歳の外国人がベトナム人に鋭利な刃物で胸を刺され「タクシー」で病院に運ばれたが、死亡したとあります。
だが4日午後にはHCM市公安当局が逃走していた犯人を逮捕。しかし容疑者の身元や供述などの詳細は全く発表されていないとか。
事件はこの通りで2名の外国人がベトナム人とみられる男と争っていたことが目撃され、外国人男性が胸を押えて大量の血を流しながら途上に倒れたとある。
犯人はそのまま逃げたと書かれていたが、運ばれた近くのサイゴン病院では、首から左胸にかけて深く切り裂かれていたため、救命措置を受けたが死亡した。
敢えて「タクシー」としたけれど、これまでにも書いたが救急車などなく病院のドクターカーなどもない。だからタクシー。この場合は血まみれなので飛んだ迷惑、トバッチリを蒙ったということに外ならないが、運ぶだけ。此処ではまともな救急車などある訳がありません。さらに渋滞ともなれば全く動かない。

このところ日本国内でもベトナム人の犯罪が増えており、また凶器などで同胞まで殺害や傷害したとして逮捕される事件が目立って多くなっていたところに、本国では邦人が殺害された。これは今までなかった初めてのケースであるため驚きのほかありません。
しかし実は自殺と処理された有名企業の駐在員の事件が過去にあったけれど、在住者の間では、これは怪しいとされるもお蔵入りとなっている。何しろ証拠がないが、川に浮いていたけれど、そういう素振りは一切なかったと云う。
多くのベトナムに関する本・雑誌では、ベトナムの治安は比較的安全と書いてある。コソ泥や、スリに置き引き、詐欺紛いの小競り合い、スニーカーなのに靴磨きをせびるとか、タクシーの遠回り等々、結構多いのは誰もが納得する。殺人事件も無くはないが刃物に銃も使うけれど、捕まれば殆どが死刑となるので、これが効いているかもしれません。殺意があるか、なしかなど大した問題ではなく、しかも二審制で覆ることは珍しい。
日本のように状況にも拠るけれど、二人以上ならほぼ死刑というものでもなく、また10年前後の懲役とか無期ではありません。

この事件の仔細は分からないけれど、このタイバンルン通り、周辺部は日本人がよく来る所だし、ヘム(路地)に一歩足を入れると余り良い場所は言えない安アパートには日本人が住み、日本食レストランなどが急増した所なのです。
かつては街路樹が茂る比較的静かな通りだったけれど、観光客が増えてホテルが出来、日本人をカモにする若い女の子を置いたバーなど飲み屋も多くなり、日本に実習生として来た人物が日本語を活かして始めた所もあって、こうした所は日本人客が安心だと思っているけれど、そうはいかない。
夜になれば過去にはホンダガールと呼ばれる売春婦がいたし、ぺデ(おかま)がひっきりなしに声を掛けて来る。何とも猥雑な場所になってしまった。
ある時、日本から視察に来た方が誘われ、断った際に転んだ。現地の病院へ行ったけれど、治療の具合が良くなく帰国後に手術した事があります。居合わせていなかったので何とも言えないが、争った訳では無いにしろ、ふとした拍子に打ち所が悪かったための事故。こんな不幸もあります。
要は外国語が分からずに曖昧にするほど相手は付け込むので、はっきりと断ることが大切だし、君子危うきには絶対に近づくとか、話を聞いてもなりません。
手を出せば近くにいる仲間が集まって来て収拾できなくなるし、なにかに付け親分格が近くで見張っているのです。こういう何とかして金を巻き上げようとする輩は悪知恵には長けている。
また観光で街中を散策する時でさえ、ラフな格好で高級品は一切身に付けない。カードや高額な物品や、金銭をみだりに所持しない。数カ所に分散させるのは外国へ行く際の常識。日本と同じ気分でいるのなら能天気なだけです。
過去にはマフィアが居て、ナムカンという男。死刑になったけれど、マフィアが生き残っているとしても今回の事件、こうしたマフィアではなさそう。
日本のやくざがベトナムに入り込めない事情、これがこのマフィアの存在だと言うのです。
最近はシクロが無くなったが、過去には連なりたむろしていた。この運転手、ベトナム戦争で戦った南軍の元兵士が多かったというが映画の様には行かない。現地の人は彼らとは絶対にケンカしてはいけないと忠告するほど、いざとなれば強く、カッとなれば収まらない性格。どんな凶器を(身を護るのが本来だが)隠し持っているか分らない。外国人だけではなく、地方から来たベトナム人客も騙されるとか、妙な場所に連れて行かれ、金銭をすっかり盗られたなど悪質な人もいたのです。これは闇の白タクと同じで、ウーバーになっても健在する。
もちろん多くの一般人はそうではないし、普通の状況では考えられない事件。今ではむしろ若者の方が頭に来れば何をしでかすか分らない。路上でも簡単にサバイバルナイフが手に入る危険性があるのです。
ネットでは様々な見解があり、現地の事情を知らずに勝手な判断や解釈をしているけれど、これは危険。しかし推測だが、観光客ではなく、多分にC在住する人の線が濃いと思われるけれど、場所と状況から酒代を巡る金のトラブルかオンナしかないと思えるが、何処の世界や地域でも共通するとだけはいえます。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生