・中古物件に目を向ける人が増え始めた 注意が要る
この様な状況にあるため、中古物件に目を向ける人が急に増えたとあります。
新築物件を購入したいのは誰しも同じ気持ち。しかし幾ら探しても希望や条件に叶う物件など見つからない。価格はこの状況下では高く中古物件を選ぶのはやむを得ないけれど、ベトナムならではの問題があります。
実は法的に様々な問題があるけれど、無理矢理に建築している物件は実に多い。すなわち違法建築なのだが、これは後々面倒になるけれど、事情を知らないで購入してしまう場合が実際は多く、入居を目前にして業者が事業を放棄する、経営者が逮捕されたケースもしばしばある。こうなると支払った金員は絶対に戻って来ず、泣き寝入りするしかありません。
また注意しなければならないのは、建築に関して施工精度に問題がある場合が多く見受けられます。ベトナムでは完成後販売でないため、こういう問題意識と知識があって、不良個所や欠陥を見抜ける購入者など殆んどいないのが実情。後になって問題が次々と発覚する訳です。一応は保障で修理をするなど契約書に記載されているけれど、大手でさえ実際にどこまで誠実に綺麗にやってくれるのか分ったものではありません。
また工期が予定通りに進まず完成・引き渡しが遅れるのは頻繁なのだが、なんと数カ月にも及ぶことだってあるのが実情。
こういう状況にあるため、日本の不動産企業が分譲したアパートに人気が高く、特に高所得者は高くても信頼で選ぶと云われているほどです。
ある日本人が購入後に浴室に欠陥がありクレームを入れた。すると破損したのは入居者側の問題なので全く対処してくれなかったとか、上層階から水漏れがあって天井に染みやカビが出来で修理を依頼したが、この原因はもはや日本では行われていない古い建築方式が原因であった。区分所有であってもこうした概念は分譲側には全くないし、設計にしてもお粗末。これが実態です。
まして中古物件であれば設備にしろ、どこかに何処かに経年劣化が必ず起きているのだから慎重にならないといけません。
また仲介する業者もこういう建築上の知識などないし、もし契約後に問題が出て来ても頬かむりするだけ。要は何処でも同じだが、内装・設備は新しくやり替えるのが適切です。
何れにしても中古アパートへ購入をシフトするのは、新規供給が長きに渡って不足しているのが原因であり、こうした傾向は必然の流れとみています。
・人気の価格帯は中々望めない
特に価格が30億VND以下の物件に人気がある様で、ほぼ10年程度の経過、最近の特徴としてダウンタウンに近い物件が好まれるため、こうしたエリアでの価格を押し上げる要因になっていると不動産関係者が述べているとあります。
別のコンサルティング会社はこの流通市場での価格が、中心部から離れていても前年同期比で2~3%上昇したというが、さらに上昇する可能性は高い。
HCM市不動産協会では、市内の148プロジェクトが法的に調整中とかで、この問題が解決すれば今年の後半にも物件不足と価格高騰は改善される見通しがあるというのだが、問題は単に供給だけで解決するものではありません。
不動産開発企業がここぞとばかりにアパートを建築。市当局も開発がまだ進まなかった2区の都市計画を持ちながら、7区の様に明確な事業を推進するだけの能力が無かったことも考えなければなりません。7区は新都市として外国の有名コンサルティング会社の構想に基づく。充分な資金は無かったけれど徐々に形が整っていった経緯はよく分っているのだが、外部の経験豊富なノウハウと技術を持つ都市作りを学習しなかった。様々な理由や問題とか、資金負担があるにしても、巨大都市の将来あるべき形が市民にも見えて来なかったのです。
ただ単に経済が成長するに任せ、気が付けば外資企業が増え人の都市への集積が止まることがなく、これ以上は行政能力が耐えきれないとして新規案件を停止させたのでバランスが崩れ、混乱が生じたと考えるわけです。
まさに地方へどう振り分けるか、構造的な問題としてこれは国が正面から取り組まなければ解決の目途は立つ訳など全くありません。
高速道路の建設が進み、南北高速鉄道案件も復活しそうな状況。しかし課題が山積、やるべき順序が違っているのではと思えるのです。加えてこれまで若い労働力を売りにして来たけれど、こうした人口ボーナスにも陰りが出始めて、高齢化が始まろうとしているのです。徐々に国の経済が発展進化したのでなく、余りの急成長の結果として不動産市場での問題が切掛けになり、歪が一挙に出て来るような印象を受けるのだが、目先の事象にだけ囚われないで貰いたいと考えます。この所の中国との関係強化と急接近、この混乱に乗じて大国がどう出て来るのか?不気味と感じるのは筆者の考え過ぎなのでしょうか。
こうしている間に多くの開発業者は隣接省に用地を求める行動に移ったのです。西のロンアン省でも日系などが食指を動かしている。この動きは10年以上も前にタイル会社が開発するも、時期尚早。日本人スタッフが開発事業に経験のある筆者に助言を求めて来た。だが通勤に関して全く考えておらず、HCM市まで距離がある。分譲価格も決して安くない。これでは売れる筈がありません。
開発事業主は元国会議員でL社社長、住宅開発への理念や思想、経験は全くなかった。東のビンユン省のベカメックス社を意識した様だが間違っています。
株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生