砂糖入り飲料消費量が14年間で420%増加

2024年12月16日(月)

現地有力新聞での一つ、トイチェ紙に掲載されたのがこのタイトル記事です。
市場調査会社ユーロモニターに拠ると、ベトナムにおける砂糖入り飲料の消費量が2009年の15,9億リットルから、2023年には420%に増加し、66,7億リットルに達したとあります。
また一人当たりの年間消費量も2009年の18リットルから、2023年には66リットルと350%に増えており、青少年の消費でも43%が週に2回以上、13,5%の人がほぼ毎日飲んでいるとある。
ベトナム人は甘いものが好き。緑茶も生産しており、ペットボトル入り緑茶を何処でも買えるのだが、何しろ甘い。初めはこれを知らなくて一口飲んでからナンジャ?コレ!と思った位。しかし流石に家で飲むベトナム茶にしろ、緑茶であっても砂糖を入れることは無いし、聞いたことがありません。
さらに数十年前の日本と同じように、一般家庭で食パンを食べるときのこと、塗ったバターの上に砂糖を振りかけていたのです。
菓子にしても緑豆を砂糖で固めたハノイ名物や、日本の神社の祭りでも売っていた生姜(ジンジャ)糖もあるし、街中のカフェでもヌック・ミア、すなわちトウキビを目の前で絞ってジュースにしてくれます。ベンタン市場にもあるけれどおばちゃんが作ってくれたのが何となく甘い気がするし、とにかく安い。
ミネラルたっぷり、HCM市の暑さにはこれが効く。
そしてベトナムコーヒー。ご存じの通り氷とコンデンスミルクがたっぷり入った冷たいカフェ・スア・ダーもそうだし、注文したカフェ・ダーにHCM市民はこれでもかと砂糖を何杯も入れている。因みにベトナム使っている砂糖とは日本の家庭で普通に使っている上白糖ではなくグラニュー糖です。
ところが11月に来日したVCCI等のメンバーと食事中。この話が出て来たけれど、最近では砂糖入りを敬遠する人が多いという。健康志向が明確になり、緑茶本来の旨さを味わうのだとか。
実はベトナムだけでなく日本人でも全く同じ傾向にある。子供が学校で水を飲めないなんて事態が起きていて学校側が困っているという報道があった。
これは家庭で水を飲むことが少なく、水分摂取をジュースなどにしているのが原因とか。薬が苦いからと言ってシロップで飲ませるなども親心かも知れないけれど、そうなるとただでさえ外で遊ぶことが少なくなった現在の子供達は、摂取したカロリーが燃焼できずオーバー気味になっている。だから肥満児が多い訳です。日本は水道からそのまま飲める数少ない国のひとつだし、市販されているペットボトル入りの殆どは何十年も地中で磨かれてきた軟水。この天恵を忘れていないのかと思います。
糖分摂取が急増して国民の健康意識に危機感を抱いた政府の親心か、人に健康被害があるとして砂糖入り飲料の消費性向と健康リスクへの調査、さらに消費を減らすため特別課税を検討。お役所の行動は何時の通りで甘くなかった。
栄養成分や包装を目立つようにし、表示される糖分量、砂糖の高摂取に拠るところの健康リスクの警告を表示する義務化など、食品表示に拠る規制の強化を保健省は提案していると言う。さらに販売広告、マーケティング、スポンサーに対する管理を強化するとあるが、日本は企業の勝手し放題、行政も甘い。
何故いまさらと思うのだが、これまで実施していなかったけれどこうした規制を行なってこなかった結果として、近年富に目立つのが太った人がなんと多いことか。このため成人病が急増し、高血圧患者や糖尿病、心臓血管疾患の増加に子供まで代謝障害が起きているとあります。さらに注意すべきは脳卒中などの合併症も認められるとされている。

そこで一般市民の間でサプリメントが人気、多くの人は薬局で購入しているが、筆者も過去に購入した経験があります。マルチビタミンとかEPAにDPAなどアメリカから輸入された物も多いけれど、価格は日本に比べてかなりリーズナブル。さらに結構詳しい通も居て日本のイチョウ葉由来とか海藻から抽出したフコダインが良いとかで、日本食レストランで出される茶わん蒸しの銀杏、味噌汁に入れてあるワカメも健康に良いと云い自宅でも食していました。
砂糖がタップリ入った飲料に拠るのが全ての原因だと云うのもどうかと思うが、この砂糖の消費量の増加とともに、考えられるのが食生活の西洋化にも理由があるのではと容易に推測できる。それにしても冷蔵設備などに拠る鮮度の問題があるけれど、此処でも魚を食べることが少なくなった感じがする。
若い人を中心に、脂っぽくてカロリーの高いファストフードが人気。フライドチキンにハンバーガー、ピザにアイスクリームなど、いままでバランスが取れていたとされる伝統的なベトナム家庭料理、朝食に買って食べる粥、昼の食事がこれら高脂質、高蛋白食に変わってきている。またクリスマスやパーティーにはケーキや揚げ物が大人気。これまで縁がなかったケチャップや多くの人が口にした事の無かったマヨネーズ。これらは食生活にあってはまた塩分の過剰摂取の犯人である可能性もあるし、成人病の原因を食品摂取に調理法の変化として解釈すればこれらも同罪なのかも知れません。
太った人はお金持ち、映画にも出て来るのだがこんなのは過去の話。かつては食生活がひもじかった。あのアオザイは体にピッタリ。線が須らく現れるので細身の女性はさらに美しくみえるのです。だが肝心のふくらみが出せなければパットを入れて補正していたくらい、可哀そうなくらいに気を使っていた。
ところが今ではこんな事は少ない。というよりしなくてもよくなったのです。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生