ベトナム観光に関するニュース

2025年10月24日(金)

日本はオーバーツ―リズムで市民生活に悪影響が出ており、京都市などは対策として、外国人に特に有名な寺院へ特急バスを走らせるとか、地下鉄の利用を促進させるとあるけれど、ただでさえ狭い盆地、抜本的な解決策になりません。
また分散化を図り桂川より西のエリア、あるいは山科へ観光客を誘導する計画をしているとあります。やめてくれ~ それより如何に減らすかを考えろ。
しかしそれ以上に大きなスーツケースを街中ガラガラと引っ張り歩く、ゴミのポイ捨て、敷地内への無断侵入、追いかけて写真を撮るとか、また電車内では大声で話す、荷物を座席に置く、吊革にぶら下がるなど、慣習慣の違いというよりもマナーの醜悪、まさに厚顔無恥の破廉恥さだが文化の違いでは済まされない。さらに香水の臭さには閉口、私鉄にまでこんな状況になるのはSNSで得意気に情報を発信するからで、旅を静かに愉むという通の時代がなくなった。
日本政府観光局なんて来日外国人観光客を増やす事だけしか頭にない。観光地に住まいする人への迷惑など二の次。このままでは都市機能と地域の住民へのサービスが崩壊するだけで精神的にも、肉体的にも大損害を受けているのだがもはや観光立国なんて亡国論でしかないのに一向にお構いなし。情けない限り。
ベトナムでも観光客が増えているが、見識ある人の見解は日本、インドネシア・バリ、イタリア・ベネチェアにスペイン・バルセロナの例を挙げ、住民の不満がデモにまで発展。こうした状況を将来的に避けなければならないとしている。ベトナムは現段階では交通インフラの整備はまだまだで、経済発展のために、工業化やグリーン経済など進めているけれど、観光に関しても徐々に整備してきているのが実態。いずれは先進国の様に地域全体が不愉快になると予測し、有効な対策を講じなければならないのに、何処の国の行政でもやる事、なす事すべてが後手後手、自国民に及ぼす危機感がまるでありません。

こんな中、ベトナムへの観光客は今年1~7月、1220万人となったのです。
ベトナム政府観光客は今年度1~7月時点での外国人観光客は前年同期比で、22,5%増の1250万人となり、それまで最高だった2019年を上回ったと報じています。7月の単月度だけで150万人を超え前年同期比で35,5%増となりました。このアライバル客は、航空機に拠るのが130万人で、国境越えの陸路、海路が20万人。最大は中国人観光客で約39万人、韓国が続く。その他は日本、台湾、またインドが増えて来たけれど、ベルギーが278%、デンマーク249%、チェコ98%と欧州から最も大きく伸びたとあった。
国内観光客は1~7月は9300満員、7月単月は約550万人、このうち1030万人が宿泊。観光収入は616兆VND(235億ドル)と推定している。
今年度の国際旅行市場は好調で、5~7月はローシーズンだが順調に推移しているとあり、今年度の目標2300万人に達する可能性は極めて高いのです。

・ビザ緩和政策

ベトナムはこれまでビザを緩和してきており、現在日本は45日までノンビザとなっていて大きく改善されました。殆どのツアー客は機内泊を入れても数日なので大勢に影響は無いけれど、中には学生などこれまでの15日間は足りず、また観光ビザでも実は長期滞在やビジネスに近いのもあったが45日へ延長は何にしてもメリットがあります。こうなると多くの観光客を受け入れることになり、観光業だけでなく、経済全体への波及効果は大きな発展の機会となる。
さらに8月には政府は経済成長の促進になるとして科学者、投資家、大金持ちの人に対してビザ免除を承認したとあります。この策は長期滞在者、高所得者が開放的で親しみやすいベトナムで、ハイエンドで儲かる観光開拓としており、トップクラスの施設での最高度なサービスの提供を行うとしたと記事にある。
もはやバックパッカーなど要らないと言いたげ。するとハノイやHCM市の彼ら御用達の安宿なんて不要、不潔な貧乏旅行者などお呼びではない。大半を占める一般人までがホテル代に飲食費などが高騰するのを受け入れなければならない訳で、多くのベトナム通が感じる所のヘムやコビンザンの魅力が消えゆく可能性が高いうえに、上辺や形だけしか楽しめません。これで良いのだろうか。将来的にファンを失くすだけで、リピートは増えず長期的なメリットは無い。それどころか受け入れる施設、外国人への対応できるのかだがこれは分らない。

新聞記事にはビザ緩和のお陰で2026年までには最大3000万人の外国人観光客を誘致できる可能性があると旅行業関係者は話している。
こういう所がベトナムの良くないところで、全てが付焼刃的思考で中身が無い。旅の真の本質や本当の旅行者の意向など分かっておらず、目先の利益しか考えない国民性が顕著に表れており、そこには哲学や精神性など見当たらずもはや素人の領域。だから何時まで経っても新興国状態のままで一歩も抜け出せない、これは何十年間と何も変わっていません。
かつてリゾート開発を行うという広大な土地を持っている女性経営者に会ったが何の夢も語れず、経営思想やノウハウもなかった。手持ちの土地を切り売り、金に換えるだけが希望だがこれでは売れません。
8月8日に決議に基づき欧州12ヵ国に対し45日間のビザ免除を行なった。この結果ビザ免除は39ヵ国に拡大されたとある。殆ど閉鎖状態から、20年程前でさえ日本でもビザは必要、大使館・領事館に出向いて申請、1週間ほど経ってから発効された時期を考えると隔世の感がします。
・旅行業界が考えるメリットとは欧州への大幅なビザ免除で業界では各国旅富裕行者向けにターゲットを絞って商品企画を立てているとある。確かに文化の違いは大きな魅力で、気候風土、食べ物に宗教も歴史も未知の分野、新鮮に映ります。
旅行業界は先進国のタイ、マレーシア、シンガポールに肩を並べられるとするけれど、では格差を埋められるかに関しては悲観的。何しろ歴史が違うわけで、足許に目を落とすと、インフラ整備、サービスの質、マーケティングなど全てに劣っている。これではリピートどころか失意を感じさせる可能性もあります。
単なるプロモーションをしたからと言って満足度を得られるものではなく実は暗中模索というのが本音。こうした考えのまともな業者もいるのだが。
本当の金持ちは何を望んでいるのか、経済成長をして来てようやく多くの人が海外ドラマを観て望んでいた家財家電を得て、物質的に豊かな生活じゃ可能になったが大半は家も持てない、国内旅行もやっとで、海外旅行は近隣国を主に、日本へも増えて来た。しかしおよそ海外のインフラとか生活、精神の豊かさを見たインテリ層は別として、一般の観光業者が企画なんてできる訳がない。

・トリップアドバイザー

2025年度のアワードで、トリップアドバイザーから、ハノイ、ニンビンを世界最高の旅行体験に挙げ、観光スポットとして表彰を行ったとあります。
これにはハノイが7位に挙げられ、その歴史、ビアホイ、バンミーなどの食品をお勧めとあるが、これでは単なる異文化体験に終始するだけ。
ホテルでは、サービス、快適さ、ゲスト満足度を最高度の基準を満たすと市の2施設がリストアップ。スパ、フィットネスなどの施設の併設を挙げており、市内の旧市街の散策とホアンキエム湖での魅力を組み合わせが良いと評価だが、結局はホテルなど金持ちが普段通りのルーテンであって、本来の異文化体験とは街歩きだけ?
それよりもホアルーの日帰り観光を最高の体験にクランクインとしているのが面白い。いわば大人の冒険、洞窟をカバーし、川でのボート遊びハイキングとあるのだが、知らない場所を組み合わせただけの団体旅行でしかなく、お任せの楽しみを享受するだけ。先進国の観光地などはもはやツアー客から、個人のリピート客に変換、都会や観光ゴールデンルートから、地方の文化と地域市民との融合を考えている訳だが、これが高度に文化として考えるところ旅行資源。
結局はリッチ層なんて金の成る木、これをどれだけ絞りと取るのかだけが彼ら観光業者の話であり、年齢を考えると何回もリピートできる道理がない。金を掛ければ良いものは出来るがそれだけ。持続性を何処に求め、何を開発するのか、どの層を開拓するのか、確かにビジネスは金儲けだが、何かを忘れている。

・エコツーリズムの開発

この様な状況の中で、北部のザライ省はコンカキン国立公園の生態系の豊かな価値を強調し、国際的なエコツーリズムとして計画していると地元紙が報告。
この所、北部の山里などで民家逗留とか、古くからHCM市近郊の国立公園で山小屋に宿泊するエコツアーもあったけれど、万人向きではなく、旅慣れた人や在住外国人が好んで参加したことがある。
ザライ省人民委員会は公園関係者との会合で、同省の観光開発の目玉として、コンカキン国立公園の世界に認められている生物の多様性を主な資源を活用し、自然保護と地元住民の生活双方に利益がある持続可能な開発に取り組むことを求めたのです。中央高地にあるこの国立公園は42000Hrのうち、その9割以上が自然林で、其処には1754種類の植物と876種の動物が生息していることが分っており、中には貴重な絶滅危惧種も棲息。冒険活動を主にした多様な観光開発を計画しているアセアンによって認定された27の遺産公園のひとつ。生態系を完全に維持して観光の可能性を追求する。

・メコン地域の黄金の田んぼが観光客に魅力

トイチェ紙に拠ると、アンザン省のタバ湖周辺に旅行者が集まり、収穫期を迎えて豊かな黄金色に輝く絵に描いたような光景にうっとりする人を見たとある。
地元の人たちはフレンドリーで食べ物もおいしいと評価。
今年上半期にこのエリアには60万人もの観光客が訪れたが、当局は思ってもみなかった田んぼが観光資源。さらに神聖な山など観光資源が豊富、委員会では旅行業者と連携して魅力的なスケジュールを開発するという。

メコンの田舎へディープなツアー。外国人観光客には不便かつ少々辛い体験であったのは事実。HCM市から幾つかのメコンツアーはあったが深部まで行くには2~3泊必要でした。
しかし素朴なままの庶民の生活が市場に在り、宿泊先も豪華な施設などは無い。バスに乗りっぱなしも疲れるのだが、組み合わせによってはクリーズも一部にあるし、カンボジア国境にまで迫るともはや英語も通じないのも面白い。
身振り手ぶりで真骨頂を発揮。何とか思うことや言いたいことは通じるもの。
筆者は30年近くになるが、初めてミニバスのツアーに参加した。暑いので夜に市場が開かれ、其処で子供が手伝っている麺屋台で食べたけれどまさに庶民テイスト。山の上から国境周辺を見渡すと、モザイク模様の田んぼが目の目に現れるが、青に黄金色、土の色とこんな広大なコントラストを見る事はない。映画、スピルバーグ監督の「天と地」を思い出した。喜太郎の音楽が馴染んでいて誠に素晴らしかった。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生