労働力輸出 高額手数料に不適切手数料徴収が存在 ベトナム政府公式見解

2025年12月30日(火)

労働力輸出、即ち労働者の海外派遣のことを指す。一見正当な業務に思えるが、実はベトナム人の若者を海外へ出稼ぎさせ、投資をしないで外貨を稼ぐというもの。日本では彼らを実習生と称します。実際に彼らが母国に送金する金額は約70億ドルにも達するが、これは日本円換算では1兆1千億円近くにもなりベトナムの外貨収入に大きく貢献しているため政府はやめられない。
海外労働監理局の発表では、今年1~10月に海外へ派遣されたベトナム人は121,190人で年間計画の93,2%を達成、目標の13万人を上回る見通しとある。派遣先トップは日本で55,049人、2位は台湾の47,135人、韓国が9,996人とされ、最近の傾向ではドイツ、ルーマニア、ハンガリーにロシアも安定して派遣が推移していると云われる。
円安に拠り送金額が目減りする言われる日本、何故か相変わらず人気で45%を占めている。政府は12月に新しい通達を発する予定で、これは労働者派遣の登録手続を簡素化するというものだが、派遣元企業が新たな市場へ開拓し易くすると共に企業責任を明確化する方針とある。何処までやれるのかは疑問。

ベトナムの労働者海外派遣に関してはこれまで筆者は幾度となく触れており、この国が世界のサプライチェーンを名乗るのであれば、単純労働力が不足しているにも関わらず、また充分な日本語や生活マナーなどの学習を充分させずに海外に送り込んでいるのは、国家として責任を以って考えなければならない由々しき事態であるにも関らず、全く意に介さなかったのは言語道断。
政府は毎年海外へ派遣する若い人達の目標まで立てているが、彼らが帰国して、この国に何をもたらしたのか。海外企業で働いて、技術を付け生活体験を得て何らかの付加価値を地場企業に与えたのか。現地給与とか立場の格差を見れば自国企業で働こうなどという気はサラサラなくなり、何もせずに逃げている。こういう実態をHCM市の労働力派遣部署は分かっており、かつて筆者の事業パートナーの元には再教育プランを打診してきた。彼は以前この部署の部長級で担当、日本にも何度も来ていたので白羽の矢が立ったけれど事業が実施される事はなかったのです。
以前は確かに日本で3年間働いて家を建て替えたことは実際にあり、語学力と能力を活かして進出した日本企業に就職、成果を挙げている人もいるけれど、給与の低さを嘆き、自分で日本人を相手に水商売をして金を稼いだ人物もいる。
また大学卒業後に実習生に応募、帰国してから起業。海外での経験を活かして成功した人もいるし、看護を修得して外資系クリニックで勤務するなど全てがマイナスである訳ではありません。
派遣元には昔と違い実習生は簡単に来てくれない。そこでどんどん遠方に行き、現地の委員会にコネを付けて 先ずはHCM市のセンターに来てもらい、其処で暫く日本の言葉などを学習させる。一定期間たてば日本から受け入れ団体が、派遣先の企業責任者と来て品定め。気に入った人材を受け入れるというけれど、さて問題は、このタイトルにある通り、送り出し機関が高額な手数料や不適切な手数料の徴収を行っているのが事実だと政府が認めたことです。政府が現状を理解し、通達で以って派遣元の責任を明確にするというけれど、悪質な行為を行う地場企業があるのに目を瞑っていただけの責任逃れに過ぎない。筆者は兼ねてより指摘してきたが、日本政府にも責任があるのを自覚すべきです。

10月30日、ハノイで開催されたベトナム人労働者の契約に基づいた海外に派遣に関する事業を行う企業を呼んで開催された会議で、タン内務大臣が指摘した問題がある。
まずは今年の派遣目標に関する事と、2021年から2025年にかけて海外で働くベトナム人の総数が636,000人に達したことで、新たな市場拡大と人材の質向上、勤勉で規律あるベトナム人のイメージを広めていると報告した。
国内には許可された事業者が500以上あるとされ貢献しているけれど、だが客観的に見ても多くの困難と課題に直面していると指摘。それは一部の企業が高額な手数料を徴収、また選考には透明性欠いている。このため多くの困難やフラストレーションを引きおこすという状況がある。また国家の管理も弱く責任が欠如しているという。こうした状況から内務省は政令を改正する検討を行い、11月にも政府に提出する予定と表明したのです。
内務省はまた、経営に関して事後検査をするとし、不必要な条件や行政手続きも最大限に削減し簡素化する。寄付のメカニズムを排除して汚職を制限するとか、否定的な感情も規制するとしている。内容は良く判らないけれど、これはベトナムの送り出し機関が、相手国の受け入れ機関に過度な接待を行っている実態を指摘していること。あるいは国内送り出し機関が、若い人材を集める事がだんだん難しくなり、国内事情だが地元政府や下部組織の委員会に対しての様々な便益供与を指しているのではと推測します。
都市部周辺から人は集らなくなった。そこでどんどん地方に出向き地元公安や人民委員会のメンバーに依頼することもある訳で、これには事実金が掛かるし、派遣先が日本であれば彼らを日本へ観光に招待している実態があります。
だがいくら教育が発展、地方でも高校卒者が増えているけれど、海外どころか自国内の大都市も知らない、教育レベルが低く、マナーが全くなっていない人までHCM市の施設に来させて研修しなければならないが千差万別。これでは単なる員数合わせ、良い人材を選ぶなどもはや不可能に近いのが現実です。

・犯罪が急増 より悪質化するベトナム人の犯罪 人材劣化が原因

日本に滞在するベトナム人は年々増加しているけれど、これに並行して犯罪も急増、悪質化していることが分るニュースが連日YAHOOに掲載されおり、検索すれば直ぐに出てきます。
同国人同士の喧嘩に殺人事件も増えた。日本人が考えも及ばないほど平気で法を無視、ポドイという悪の犯罪集団まで組織化して日本に蔓延っているのです。
もはや人権団体でも擁護が出来ない位に悪質度は深くなっており、留まらない異常事態にあるけれど、人格と能力レベルが下がっている事情が浮かび上る。
確かに殆どの人は真面目に仕事をこなすし職場環境も悪くない。かつては大学卒者でも実習生として技術を学び、現場を経験するために来日したことがある。
だがこの所は彼らが主張する擁護する団体でも、本当に困窮している人を選ばないことにはならない状況となっており、無法行為をする連中は組織に団体に相談することはありません。悪の連鎖に嵌って、悪の組織から抜け出せず犯罪に加担し利用されるだけ。これがエスカレートしてしまうけれど辞められない。
また11月4日の福岡高裁判決。昨年2月に交際する男性宅で死産したという赤子の遺体をビニール袋に入れ、ゴミ箱に遺棄したとして、一審で死体遺棄罪が認められた事件。被告は無罪と主張、遺棄の故意はなく、妊娠が分かれば帰国させられると弁護側は控訴した。現地に18年近く在住した筆者からすればベトナム国内でも認められず、言い分には倫理的にも無理がある。無罪と主張する団体があるが感情でなく論理的に事態を捉えるべきです。
先の会議でも問題になっているのは、この様な実態を上げてはいないけれども、知らない訳でもない。むしろ海外労働管理局はベトナム人材に対して世界各国の需要を満たしていると誇らしげ。この自画自賛は如何にも滑稽で笑止千万。
少なくとも20年ほど前に比べて、来日する実習生の劣化は年々酷くなる一方。

現地の人材派遣先業者と事情、日本の受け入れ組合、実習生の生活現場を知る筆者としては、ようやく政府が重い腰をあげたか、という外ありません。だが徹底的に国内派遣業者の指導管理をやる気が無く、ゼスチャーであればなおのこと無責任と捉えるべきであり、優良業者が損を見るだけで悪徳業者は一向に減らない。元来は善良で無垢な地方出身者、言葉巧みに業者を信じて疑わず、かき集めた高額の金を拠出して、何の教育も受けられずに騙され、憧れの海外に行けば簡単に金が稼げると錯覚してしまう。この実態を日本のメディアは、逃亡や不法滞在の理由が無理な借金に起因するとしている。これは錯誤であり相手任せの無防備。教養に知識の無さは本人の責任だが、悪徳業者をのさばらしていた相手国政府にこそ問題があり、非難すべき重要な欠陥だが現地の実態を知らず責任を転嫁しているだけの無責任の骨頂さは非難されるべきことです。

・労働力輸出に関する手続きの変更

海外で働くベトナム人の、国家としての管理と手続きは海外労務管理部という役所が行っていた。だが実際に外地で何をしているかというと、何もしない。
しかし数ある派遣企業の中で、ベトナムから直に社長や役員などが年に何度か来日して、各地の現場を訪れ、実習生と共に食事をするとか、仕事にまつわる悩みなどの話を聞いていたところがあります。
実際に愛知県の実習生、彼らが製造している特産の海老煎餅を貰ったけれど、彼らは帰国して、そのノウハウをもとにベトナムでもふんだんに採れる海老を使い、同じような菓子を造るという計画を聞いたことがある。事業規模の大小、仕事の中身は別として、このような人も居る。もしかすると、ベトナムで製造を委託され、日本に輸出することも考えられる。となれば本来の実習生派遣の本来目的とする意義は出て来るけれど、地味な仕事は大きな話題にならない。
要するに自国の若者が海外で疎外感を持たないように努力している所もあり、此処は時おり受け入れ側の組合にも顔を出しており、出来る限りの配慮を行っているわけで、格差は大きくなっている実態もあります。

この度の変更とは、中央機関に依存するのではなく海外で働く労働者の管理に関して行政手続きが省レベルの人民委員会に地方移譲されるという点で、ある意味ではラム主席の行政の改革合理化に繋がる一環となります。
省管轄であれば、地域の労働資源をどの様に有効活用できるか分かるし、権限移譲後は省が承認を行って許可書を発行することが可能になるのです。
付して状況に関しての報告を行い、労働者のリストを作成にて、訓練や資格、スキルの向上のために企業に登録を求めて承認するとあります。併せて記載はないけれど、省は事業者に対して派遣までの語学研修や派遣国の生活に関する全般的な教育も行なわなければならないと考えるのだが、報じられる所では、此処まで書かれていません。しかし海外へ仕事に行くが少なくなる一方の中で、これからは省単位での差別化が行われるべきで、如何に優秀な人材が派遣できるのか問われるのが本来的に道理であり、ラム氏の目指すところでもある。
だが一歩間違えると、縁と上下関係の厳しい地方ゆえ、都合のいい解釈を上層部が行い、上意下達するという事態になる可能性が無いとは言えない。これは即ち省の担当者と地場派遣元企業との癒着が起こりえるという可能性もあると考えなければなりません。
政令第2条 第10項128項に拠れば、労働者が永住する地域のコミューンレベルの人民委員会は、直接締結された契約に基づいて海外で働く労働者の、労働契約の登録に関しては、書面で証明する業務が生じる訳で、派遣事業を省が実施するが、それなりの責任と負担が出て来て然るべき事を弁えるべき。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生