10%成長率目標への意欲

2026年4月23日(木)

第14回共産党大会が終わったが、中央政策・戦略部門長であるギー氏によると新しい時代における発展のビジョンと志の確立が重要だとした。しかし現在の状況を考えると、多くの課題と問題がある事に言及し、これに触れています。
これまでベトナムは成長を続けており、海外からの投資は引き続き好調であり、国内での起業も多く、貿易も増え外貨準備額は1000億ドルを超えたなど、世界的パンミックも乗り越えて順調に発展していると報じて来ました。
しかしギー氏は長い論文を現地紙に掲載。ベトナム経済に関して苦言を呈する格好で記事を書いていたが多くの部分で合っている。
これには、経済成長は設定された目標に達しておらず、マクロ経済安定は確固たるものではない。また経済構造や成長モデルは大きく変化せず、生産性、質、効率、回復力、競争力は高くないと分析しています。
経済成長の質が定められた要件を満たしておらず、地方自治体の可能性や利点が効果的に活用できていない。また海洋経済分野の発展、海洋空間の非効率な活用が目立つとなかなか手厳しい。
開発期間は依然としてボトルネックで完成が遅く不十分。開発のため資源利用の最大化、最適化が出来ていない。人材の質は伸びず人材不足が続いているけれど、科学技術、イノベーション、工業近代化の原動力になっていない。
またインフラ整備は遅れており近代的でないと政権の主要人物が語っている。
教育と訓練の根本的、包括的改革が出来ず、文化は真の意味で資源や内生的な強みになっておらず、文化スポーツ開発の仕組みと政策は不十分かつ一貫性に欠けるが、これは投資が高くなく要件に見合っていないからと怒り千万。
天然資源の管理、開発、利用に関する仕組みや政策が社会と経済の発展の要求に追い付いていない。また土地に関して大起の都市開発、工業団地、河川流域、生産拠点での汚染が制御されず野放し状態にあると断言する。
一部の分野での腐敗や否定的な態度は未だに複雑で深刻。おまけに国の発展と国家防衛、安全保障との結合が多くの分野で不十分であると言い切っている。
これら、2021年~2030年の戦略実施から5年を経て、党は業績や限界、弱点を客観的また主観的に認識し、評価し、その原因を特定したとあります。
2030年に拘る理由とは党創立100周年を迎えるからであり、是が非でも目標を成功させなければラム書記長の立場が沽券に関わるという次第。
なるほど政府の中央政策・戦略部門長として、現場の状況が良く判っていると感心するけれど、これらの問題点に関して筆者は常にビジネスの現場から実態をコラムにして来た、まさにその通りのことを語っているではないか。なのに、全く改善されていないという真の現状が浮き彫りにされた格好です、

・多くの新しい課題 さらに要求が増えた

2026年から2030年までの社会経済開発計画に関して、世界は画期的な変化を迎えている。だがこれは大きな困難、機会、利点もありベトナムは新たな課題と要求を生み、また国家建設、発展と国防に大きな転換期であるとした。
この大会では、初めて「発展を安定にして国の迅速かつ持続可能な発展を促進する」という視点が掲げられ、戦略的自立性と開発モデルの革新が要求された。
また環境保護は国の発展と並行して中心的課題とされ、同時に外交と国際統合も重要かつ定期的なものとして提起された、としています。
この多くの新しい視点とは、文化と人との融合で内生的な資源と発展の強力な原動力へ促進する事であり、これには新たな成長モデル確立、工業化と近代化の推進、科学技術、イノベーション、国家DXを主要な推進力とし、民間経済の発展を最も重要な推進力と据えること。各省経済の主導的役割を促進する。グリーントランスフォーメーション、エネルギートランスフォーメーション、DX、構造変革、人材の質、新たな生産力の育成促進と変革を並行して実施をする事。
また国家の強さと今の時代の強さを以って、主権、統一、領土保全を断固として行い祖国を守る。環境保護と国家防衛、安全保障の強化、対外活動の効率化で国家の利益を確保し保護する。
党と政治体制の建設、整備の強化を明確にし、党の役割、指導力、統治能力、戦闘力、そして国家の管理、行政、発展能力を向上させること。
であるとするが、一般的なベトナム進出に関するセミナーやコンサルタントへの相談にしても、この様な政府の見解を話す事は無いし、担当者もよく理解できていない。まして国家の発展は全て党と政治体制によるもので、社会経済に関してもこうした枠から離れるものではなく、国家の発展とは社会主義の発展に帰結する訳です。

・目標

大会で示されたのは、2030年までに近代的な工業と高い中所得を持つ発展途上国に成る目標を成功させることを目指すことで、また2045年を見据えてのビジョンを実現、平和で独立、民主的に繁栄し、文明的で幸福な安定した社会主義国家を建設する道に進み、高所得国になる高レベルの設定をした。
そのため党は2030年までに、平均GDPを年率換算で8%成長以上を達成すると決定したのです。
それには党の指導のもと、先に掲げた通り社会主義を志向する市場経済の新たな経済モデルを確立、経済の再編、科学技術、革新とDXの促進を主な推進力とすると述べています。

・ベトナム企業が世界のトップクラスになること

財務省によると、決議79号は具体的で野心的な目標を設定しているという。
2030年までに国内企業500社のうち、約50社が大規模企業に成長し、内1~3社が世界のトップ500社に入るとしている。
さらに2045年までには60社、グローバルグループ企業500のうち5社を目標にしているというのです。
これは単なる資本規模や収益目標だけでなく、技術力、ガバナンス、バリューチェーンの統率力、国際競争力を含んでいるとあります。
この目標を実現するために、14の主要ソリューショングループの提案をしており、主要分野をリードできる強力で大規模な経済グループや国有企業の発展のための投資に焦点を当てるとしている。目標を立てるのは一向に構わないが思いつくままの絵空事は程々にして貰いたい。

・政治局決議79号は国家の発展をさらに拡大する

先にある主要分野とは、国防:安全保障、エネルギー、輸送物流。金融:銀行、科学技術:電子、通信、デジタルインフラ、戦略鉱物資源:採掘と処理、建設、農業と林業で、これらは全てが国家の安全保障、経済的安全保障、社会保障に関連する生命線であるとしています。
まず国有企業が道を開いて初期の基盤を築き、競争力を持つ中核企業を育てる計画。幾ら政府が選定しても民間企業が参加したくないが、国家発展のために戦略的意義があるという原則に基づいて実施する。
そこにベトナム電力公社はグループが強力な経済グループになる事を目指し、全ての開発案件の見直しに着手。企業経営に於いて、権限と責任の管理に伴う分権化とガバナンスの改善に注力し厳格な執行を行うとした。加えて現代的な経営基準に基づき透明性のある内部統制システムの構築を図り、報酬に関しては人材の質的向上と専門的な職場環境を作るが、これはハイテクや原子力分野で優秀な専門家を惹きつけ、定着させる重要な要因だとしている。
このEVNリーダーの反応は、DXが2030年までに世界のトップ500に入るため重要な原動力になるとし、これをスマートEVNと名付け、意思決定、能力向上、効果的企業運営、エネルギー確保の約束を果たすと考えている。
いち早く反応した形だが続く企業は増える可能性が高く、経済成長に並行して民間企業も発展と改革が行われ近代化しようとしている。これに対して政府は、決議79号では国家が投資する基金の設立と再編問題を取り上げるが、企業は党、国家、政府の高い期待に応える様、自己的に自ら再評価することを求めるとした。民間企業の経営活動など自由奔放にさせれば成果は上がる。そこまで深く関与し縛り上げる必要などなく、社会主義の恐ろしい断面を見せつけます。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生