日本のメディアには、中国とベトナムが「3プラス3」初開催へ 外交・国防・公安で閣僚協議した、と短い文章で事実を報じているだけ。現地報では中国は王毅共産党政治局員兼外相、董軍国防省、王小洪公安相という重鎮、ベトナム側もチュン外相、ザン国防相、クアン公安相という顔ぶれが参加とある。
ベトナム外務省の発表では、両国の閣僚は、世界と地域における急速で複雑な情勢変化について意見を交換。両国の協力関係や安全保障の調整が喫緊課題との認識で合意したとある。
またベトナム側から両国の国境防衛や移民、犯罪防止の促進、エネルギーとかデータを巡る国家安全保障について情報や経験を共有する提案をした。
さらに双方の閣僚は南シナ海での領有権問題の解決し平和で安定した環境を作る重要性を指摘したとあります。
昨年4月に習主席が訪越し、ラム書記長と会談の結果この3+3閣僚級会議を立ち上げ、両国の戦略的協力を深まるとしたのだが、ラム氏は特に外交関係を重視する方針、今年一月の共産党大会に於いて外交を国防、安全保障と同列の重要任務に格上げ、わざわざチュン外相を政治局に加えたとの経緯がある。
ラム氏は中国との関係を殊に重視しており、習主席が訪越した形であるけれど、今回の会合に併せ、中国共産党中央委員会と習主席は先のベトナム共産党大会を強く支持しているとした。これは増々両首脳の意思が強くなっている証明で、今回の閣僚級会合も昨年の両首脳の見解の確認でもあります。また両国の建国目標を成功裏に達成し、新たな発展へ確固たる前進をする期待を表している。
ラム書記長は今回の会合で、中国との関係発展がベトナムの外交政策に於いて最優先事項であり、戦略的選択であることを再確認したと現地報にあり、両党が始動減速の体系を確立し、越中関係が合意された方向で発展し続ける強固な政治的基盤と築いていると強調したのです。
さらに互いに利益をもたらす具体的な成果を生み出すべきとし、前向きに習主席との緊密な交流を維持することを表明したともある。
そこで越中両国が外交、防衛、公安の各分野に対し協力と高レベルな共通認識で効果的な実施を行う主導権を握る様に呼びかけている。さらに昨年と同様に関連省庁が協力して鉄道の接続で協力を促進、経済と貿易の繋がり人的交流を風獄側も、これらの見解に満足し、ラム書記長の指導と方向性に強く同意し、中国もベトナムを近隣外交における最優先事項と見なし、新たな発展目標に対する目標の実現を支援することを表明しているのです。
現地報はこの会談の内容に関して詳細を書いているけれど、これらに付いては、昨年クオン主席が中国とベトナムの関係において、一貫して確認したことと同じ内容になっています。
昨年ベトナムは中国に高官を派遣し、二国間活動の80周年記念式典に出席して習主席と会談、習主席はベトナムの国情に沿った社会主義の推進と14回党大会への支持を早くも表明している。またラム書記長と習主席とは2024年、2025年と相互訪問を実現している関係もある。さらにこれまで両国の大臣級が訪問して経済・貿易に関しても緊密に連携しているのだが、これはラム氏になってから急速に関係が良好に発展してきた成果であるともいえます。
ベトナムとしては経済発展を維持してゆく、これまでの産業に成り代わって、科学技術、イノベーション、DX、グリーンビジネスと新たな産業を構築してゆきたい。さらに鉄道網を飛躍的、戦略的に発展させて中国と接続する計画。このために高度な人材を育成したいという考えがある。そこで両国の友好関係を整え、コミュニケーションを強化、特に若者世代が越中関係に関心を持ってもらい多くの人的交流を行いたいという訳です。
もっと言えば、ラム主席が社会主義国としてどのような位置付けを持っているのかだが、明らかにこれまでの政権の路線とは異なっている。これに注目しておかなければならないし、さらに強化されている感があるが、ラム氏の年齢を考えると、出来るだけ早く彼の描いた目標に近付けるために実行した訳です。
こういう状況に関して、皆さんはどのような感想を持っておいでなのでしょう。
このところベトナムの中国接近が、中国企業のベトナム進出という形で表れてきており、特に北部に集中している。このため中国企業に就職する人が増えているが、企業の周辺には中国語を学習する学校が増えているのです。
北部には韓国企業がこれまで多く進出、中でもサムスンは主に携帯電話などを製造してベトナムの貿易黒字に貢献してきました。この図式は急速に変わることはないと考えられるけれど、中国企業が地理的にも近いベトナム北部の省に進出してくることは、今のベトナムの政治体制を考えれば、これからも継続して増える可能性は極めて高いと考えられるのです。
こうなると、今のベトナム経済からすると、中国から原材料を輸入しなければベトナムの生産は成り立たない。物理的に鉄道が接続されると物流の形も変化する可能性もあるし、人的交流も増えれば増えるほど中国企業進出に伴って、ベトナムの輸出比率構造は変わってくることも考えられます。
だが貿易黒字の最大理由となっているアメリカへの輸出を失くしたくない、というシタタカな打算もある。国家として経済的実利を選択して発展、進化するのか、あるいは友好国として同じ社会主義国家を成し得るため、中国との関係強化を進めるのか。しかし国民を置いてけぼりの様な感も個人的しています。
株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生