ディエン・ビエン・フーの戦い フランスの圧政と収奪

2020年4月16日(木)

インドシナでの産物はフランスの貿易額の実に70%を占め、帝国の宝石と呼ばれます。ゴムの輸出は1911年に僅か200トンであったのが30年後には7万6千トンまで拡大します。この背景には過酷な労働と収奪が行なわれ、実に年にゴム園労働者の半数が亡くなるくらいとも言われる程であったのです。農園を所有していた農民はあまりの重税のため税金を払えず、結局土地を手離さざるを得えなくなり、かつて自分の土地であったところで小作人として働く隷属の理不尽を味わいます。だがこれはフランス人の予定通りの罠。ベトナム人地主の持つ広大な農園を奪い取るために使った巧妙な手口であったのです。
しかも少しでも反抗すれば逮捕監禁に重労動を強制。挙句の果てに彼らは非業の死が待ち構える非人間的扱いを受けたのです。

ミシュランは当時巨大なゴム園を南部(現在のHCM市の北部やタイニン省)で経営していました。
映画「インドシナ」はカトリーヌ・ド・ヌーブがゴム園の女経営者。その養女と若きフランス兵士の恋愛から物語は端を発しますが、女学生を助けたことから恋に落ちて脱走。周囲が匿うなどで全国を逃げ回り、それを憲兵が探し回るというもの。まさにこの仏植民地時代を象徴する映画ですが地方の文化や食事、美しい農村や自然の景色が映し出され、素敵な銀幕となっています。
またベトナム北部ホンガイに産する無煙炭は今でも製鉄には欠かせませんが、1900年の25万トンから40年間で250万トンにまで産出量が伸びましたし、農産物の主力である米はベトナムから輸出額の70%近くを占めていて、まさに濡れ手に米。当時の金額で10億フランと言う巨額の暴利をむさぼり、本国に送られています。
反対に近隣諸国からベトナムへ輸入する安い工業製品には、法外な関税をかけて買えないようにし、ワザワザ本国から高額な生活用品を取り寄せて無理やり使わせ、全ての金品を収奪せしめる国家的搾取政策を採っていました。

ベトナムの伝統文化を否定し、現地のベトナム人にはフランス語を強制、出生、結婚、就職、死亡。農民には農作物の栽培から販売、家畜の売買などあらゆる日常の生活行事にまで課税し、農民など年間収入の実に3分の2ほどが税金と称し取り上げました。地方役人は悪代官。また塩、米、茶、胡椒、タバコに酒、アヘンまた薬草や象牙などは専売品として、フランスの思うままに値が決められましたが、塩は10年の間に5倍にも上がり、ベトナム人の食卓には欠かせないニュクマムでさえ不足する羽目になったのです。
奴隷的強制労働に、酒の消費は村々に割り当てて飲酒を無理やり義務付ける。アヘン屈をもフランスが実質的に経営、多くの人から根こそぎ搾り取ると共に、終には廃人にして遺棄しまうほどの差別と圧制と過酷な支配ぶりでした。
「東洋のパリ」「極東の真珠」と言われたサイゴンやプノンペンはフランス人のためのもの、広大な土地はフランス人が独占しました。

「ラマン」は塩害で作物が全く出来ないドンタップ・モイの荒地を買わされたフランス人女性教師とその家族を描いていますが、これはその娘の自伝小説。
中国人の大金持ちの青年に一目惚れされ、性を買われたサイゴンのリセに寄宿するフランス人女学生が、中国人街・チョ・ロンの青年の隠れ家で密会を重ねますが所詮は火遊び、捨てられます。
家族共々次第に没落してゆく淫らな裏の私生活を描いたものですが、この映画の中にアヘン屈の様子が映し出されてきます。綺麗な映画になっています。

フランス提督はベトナム人の漢字使用を禁止し、宣教師アレクサンドル・ドゥロードが考案し、現在使われているクオック・グーを使わせます。また儒教は否定され教育は低下の一途を辿ることになります。これもフランスの目論見で、迂闊に能力を付けさせると一層思想に目覚め反逆行為に出ると考えたのです。
出版も言論や結社の自由はもちろんなく情報を遮断。旅行や移民も一切出来なかったほどで、当時学校より牢獄のほうが多かったのですが、監獄に入る囚人を収容できないほどあふれたと言われます。

サイゴンからミトーへの鉄道はメコンの農産物を運ぶため、ダラットへの鉄道もフランス人が保養に行くためのもの、全ての道路や鉄道は搾取収奪の手段であり全てがフランス人のため。民生インフラ整備はおろそかだったのです。
こうしてみると、日本が侵攻した相手国との違いは歴然。学校を創って全ての子供に等しく就学させて文盲を無くし、病院を建て、かんがい用水などを整備して農作物を生産、一般人を飢えから解放してきた過程は明らかな事実です。
フランス文化の香りとして現在でもベトナムに残っているのは、カソリック、バケット(バィン・ミー)にコーヒー、ロータリー交差点、水道施設に水洗式トイレと下水道。ベトナム社会への貢献は殆どありませんでした。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生

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