大阪・関西万博の取り組みのひとつから

2023年9月27日(水)

盛り上がりに全く欠ける2025年の大阪・関西万博。もはや65%もの人は関心が無いと冷め切っている。地方の人は他人事、何それ?状態は無理もない。
建設の遅れはかねてから指摘されているが、建設会社が受けたくない理由とは建築工事費と資材高騰。だがそれにもまして埋立て地ゆえの超軟弱地盤、こんな所の地中はズボズボ。事務局が想定していなかっただけで、関空を観れば分るが圧密と言って沈下は完全に止まらず、改良工事に幾ら掛るか予測できない。
半年経てば壊すのは無駄の骨頂だが、それでも傾きやひび割れなど問題は絶対に出て来る。加えて職人の高齢化と不足、労働時間短縮で何処もやりたくない。
筆者の勤務したゼネコンは地盤改良の特殊工法で世界的。前回はオイルマネー国の受注なので儲かった。今は状況が全く違うのに協会は分かっていない。
気を吐いているのは松井氏と吉村市長だが、見通しの甘さと事業計画の無謀さは以前から言われていた。こんな事も前から分かっていたが今さら知らないとも言えない。忠告する者が居なかったのか、首に鈴をつける人もおらずに独走。
しかし此処に来て費用の持ち分で国との責任のなすり合い。彼らはビジネスと建設には全くのズブ×2の素人。松井は火をつけただけで消そうとせず、吉村も乗っかったけれど、最近は顔色なさそうな気配。結局はツケが国民に回ってくるだけで後始末の責任をどうとる積り。

オマケに強いリーダーが居ない。前回は役人ながらも堺屋太一氏が居て、強烈なパワーとアイデア、実行力があったし、時が味方した。三波春雄の万博音頭「1970年のこんにちわ」は日本国中総出で万雷の拍手。簡易宿泊所とかが会場から遠く離れた所にも出来、安普請なのに高額。それでも遠くから来て、目玉だった月の石を見るのに数時間も並んで感激に咽た。所詮単なる石なのに。
オリンピックと同じく戦後復旧の象徴、まさに日本が世界のひのき舞台に立つという事で沸き立った時代ではもはやなくなったし、世界的に経済が混迷している中、こんな祭をやっている場合ではなかろう。中止か延期でも各国は有難い筈だが、恥じる文化を持つ日本はそうはいかない。決断する勇気を持つべき。
日本も豊かになり今や飽食の国、科学技術に興味を持ち、貪欲に吸収するとか、国を発展させる情熱や意欲、当時の燃えていた頃とは比べ物になりません。
出展予定も人間洗濯機などアホくさい限り。サンヨーが前回出したので機能は進んでも二番煎じ。銭湯か秘湯を巡る方が外国人だって喜ぶ。漫才のネタと同じで二度使うのはいけない。結局は企画力が貧弱ということでしかない。

ボヤキ漫才みたいだが、これはどうでも良いとして、それでも今回で目を引くのは脱炭素の実践程度か。日本古来の木組みで建てた会場となる施設の冷房には再生可能エネルギーを使うなど、CO2削減など温室効果ガス削減の具体的提案があるようで、実質的に排出量をゼロにすることを目指すという。
省エネ性能の高い技術を積極的に導入し、温室効果ガスを減らす一方で、他の企業などが押さえた分を買いとるカーボンクレジットも活用するという仕掛けがあるけれど、これは特にどうこう言う問題ではありません。
目玉としている技術が人工島夢洲での帯水層蓄熱技術という代物。小石や砂利に砂が混じった地下水が溜まる層にまでウエルポイント工法で水をくみ上げ、冷房と暖房に利用するという。要するに夏は冷たい水、冬は暖かい水を使うが、冷暖房に使用した後は地中に戻す仕組み。既に市の施設で実験済だが計算上は消費エネルギーを43%、CO2削減効果は58%もあって良好な結果と広報。
こうして得たエネルギーをAIで、施設内の温度や湿度、人の流れなどを分析し最大効果を発揮できるようにシステムで制御するとなっている。さらに会場内に発生したCO2を回収してドライアイスを造り食品に再利用するときた。
しかし地下水には様々な物質が含まれているため、事前に調査してそのための特殊パイプや除去装置などが必要とされる。まさしく世界に拡大すれば効果が見込める訳で事業化も見込める。考え方としてはヒートポンプ式のエアコンと同じ原理だし、水を使った空調も以前からある訳で、特に目新しいと言えないけれど、実施に至るのは初めてかもしれないので取り敢えず好とすべきか。
また日本が以前から研究して来た水素を利用して電気を造って動く船を国内で初めて旅客用に運行するとある。計画では大型船の動力源としても近い将来に建造が出来るとのこと。場内はEVバスを運行とあるが、どうして水素で動くバスを開発して利用、世界へPRするまでになかったのか疑問が残ります。
こうした情報を積極的に発信すべきで、けったいな(奇妙な・訳の分からん)キャラクターを使ってハシャグ以前の問題。こうした軽薄短慮さと、ロマンに溢れ夢を語れるリーダーシップを執れる人材が居ない協会のレベルの低さと、経年劣化が露呈したのは政府の責任であるが、今の政権に求めるのは無理か。
さらにテーマを、理解しているならば、医学生理学分野にもスポットを当てるべきで、本来大阪万博を、関西を入れた名称で呼ぶのなら、日本が世界に誇る京大・山中教授がノーベル賞を受賞したiPS細胞の研究や成果を取り上げるべきであったと考えるのが当然です。だから市民の共感と支持が得られない。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生