インドに魅力を感じ始めたベトナム

2024年9月18日(水)

インドの人口は約14億3千万人、昨年に中国を抜いて世界一となり悠に世界の人口の約20%にもなったのはまだ耳新しい出来事。平均年齢が28歳とかで、こうなると世界の先進国は鵜の目鷹の目、放っておけない超大国に虎視眈々。
2000年台初頭にベトナムがそうであったように、しかしそれ以上の期待が大きいけれど、立ちはだかる諸問題は並大抵でなさそう。なにしろ貧困や教育問題が蔓延り、英語が通用するのはビジネスにとって最も大きなメリットだが、公用語の他に、各地域で多くの言語、文化の差異、地理的要因など自然条件にも大きな違いがあると聞き及ぶので、一筋縄で行きそうな国ではありません。

ある日本人が留学。その経験では未だにカーストの規律は厳しいようで、だが一旦箍が外れるとこれまで積もり積もった鬱憤を晴らすが如く捌け口を求める。
飲酒をしながら女性の話も飛び交うとのことで、まあ若い人ならでは普通の事であるけれど、そうはいかない御法度の窮屈さがあると説く。何しろ外国人宅は治外法権と嘯いて憂さを紛らわした後、意気揚々と引き上げる若者がいる。さらに在住するには水と食事、時間に慣れるには、相応の覚悟も必要だとか。
こうした贅沢だけれど不自由な社会、貧富の格差が激しいことも見逃せない。ビジネスにあっても其処はインドタイム。遅れて来るのは当たり前、こうした社会に慣れるためベトナム以上の苦渋を経験するけれど、嵌れば戻られない。
現地事情を詳しく知るには在住経験が長く、現地とのコネクションが強い真の専門家に委ねなければならない。これから先、有望投資先として脚光を浴びて来るのに違いないけれど、選択する相手と方向性を間違ってはいけません。

モディ首相は今回の選挙で再任され、これまでの路線を継続することとなった。
こうなると世界各国はその市場性を求めて進出してくるし、投資も活発になり急加速するのは目に見えています。
日本にとって首相と言えばガンジーさん、象のネールさんの印象が強い。今のモディ氏も親日家とされ重要人物のようだが、国益優先の国家主義者だとか。これは対ロシアやアメリカへの外交姿勢を見ても主権を明確に主張できる態度が如実に伝わってくる。インドが国際化の中で世界各国とパートナーシップをどう構築、自由で対等の立場を世界に求め、渡り合えるのはやはり人口の多さという武器があるからか。何れにしても味方に付けておきたい国に違いない。
しかしこの国が中所得国に成るには2047年まで待たなければなりません。新興国、また新しい企業や組織も盤石では無いので安定するまで強いリーダーが必要とか。反発が強く、妨害などもあるけれど、国家観や外交センスがある人が居れば国民は心強い。問題は中所得国になってから一旦経済が停滞すると言われるため、ワナに陥らないよう予め準備を怠らないのが賢明とされます。
インドがGDP成長や技術革新、若い人の能力からしても重要な国であるのにはまた違いない。経済成長とインフラ整備を発展の基礎に置き、デジタル化と行政の簡素化など施策は集団合議性でなく強いリーダーシップが求められます。

今まさに日本で自民党の総裁選挙だし第二党も党首選。残念だが何も目新しさは無く、期待できそうな人物などおらず、ドングリか五十歩百歩、国民が納得できる人材など誰一人見当たらない。日本の国会議員なんて地元にとって金をばら撒いてくれそうな人が好まれます。口ではデモクラシーと叫んでも、その実情は旧態の利権の温床にまみれ、手垢が取れない保守権力トップが牛耳る。
選挙民が情実や地域の利得を考えず、国家の行く末を案じなければ変わらない。

インドが主要経済国に成るのは時間の問題。人口は現在以上に増えるだろうし、問題が急に解決するとは到底思えないが、反対に捉えれば大きなチャンスかもしれません。遅かれ早かれ世界で上位の経済大国の地位を獲得。世界で活躍する経済学者は多いし、女性の能力開発と躍進がそのキーになるのではと思える。
因みにベトナムが中所得国になるには2045年の様なので、それでも20年以上かかるとあるが、高齢化、自主経済の貧弱さから実現可能性はどうなのか。
さてこれから都市作りや交通網の整備がどのように進められるのか。これに関して各国から投資を呼び込むには、国土の広さと人口は余りある発展要素だが、現体制が何時まで続くのかが課題となってくる筈だが、長期政権には垢が付く。
既に多くのインド人の若者が来日して仕事をこなしており、数学や機械に強いそうでIT関係への就職が多い様だが、今に始まったのではなく大阪は昔からインド人が多く、本町辺りの繊維街や神戸でよく見かけました。こうした海外に居住する人達と母国に居る人的関係は重要な位置付けになるかも知れません。
この国で人気があり活躍する自動車はスズキ。現地特化マーケティングと販売努力の結果だとか。エアコンも売れているけれど、日本の様な静穏設計とかは売れなかった。この理由、喧しくてもガンガンと冷風を感じるのが良いそうで、余計な機能は現在のところ必要はないとか。要するに日本の技術は世界的に優れていると認められているけれど、可処分所得などから見て一般市民が導入するには価格が大事。また日本人が感じるモノの価値と、現地ユーザーが求めている価値判断とかけ離れているのなら単に企業の思い過ごし。現地化は大切な要素であり高品質とか差別化が求められるにはまだ時間が掛りそうな気配。
進出に在っては企業には国際市場へのアクセス、国際的地位の向上が認められる要素、国内では産業発展と雇用創出に大きな貢献があるのは大事な要件です。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生