少額輸入品への課税 2

2024年11月7日(木)

中身を出して送って来た品物が何か確認する。この後、これがいくらなのかを確かめ、税率表を見ながら納付する税金額を提示されるのです。
即ち個人のプレゼントであっても形としては個人輸入。最近はよく分らないが恐らく変わりはなく、税金を支払わないと渡してもらえないので注意。
日本人にはまさに理不尽と思えるけれど、こうなるとやむを得ません。
随分前のことだが、日本で流行ったゲーム機タマゴッチ、高くは無いけれどベトナムでも大人気だった。知人が此処に受け取りに行くと、これは違法だとかイチャモンを付けて来る。要するに欲しいけれど表立っては出来ない。
で、彼はどうしたか。幾らかの個人手数料を払って受け取ったという。
もはや市民生活レベルまで賄賂が横行、役人が立場を利用し自分のポケットに品物を入れるか、小遣い稼ぎをしているふざけた実態が現実で止まらない。企業と税関、企業と行政など言うに及ばず、ワイロ社会は直りません。
因みについ9月に現地に在住する方がネットに上げた現地の賄賂事情だが、ベトナムで賄賂がなくならないとする理由。
先ず公務員にお願いごとをする時、お礼として必要。社会主義国では賄賂を悪と考えていない。党の上の人間もその地位を買っていて通例化している。
特権階級は賄賂を貰うのが当たり前と認識している。と問題点を挙げている。
賄賂を潤滑油という人も居るがそれ以上の社会悪を引き起こしている。時として公務員はこれで職務怠慢までやっている。となればこの国の経済衰退に繋がるとしています。市民は実際に大変困っており一刻も早く不安を解消し先進国の仲間入りをして欲しいと期待していらっしゃる。
これは現地の人も同じ気持ちなのだが体制に逆らえない。日本企業も政府に何とかしてくれと機会ある度に進言しても、改善する方向性にはありません。
今度のラム書記長も前書記長の遺志を継続し汚職撲滅に力を入れるとかだが、市民目線で物事を捉えるべきであり、単なる政治ショー、パフォーマンスであってはならないのだが、一向に収まる気配がないのは見せかけで、もしも本気で摘発するのなら膿は何処まで出さなければならないのか。
これまでにも書いたことがあるけれど、輸出加工区で外国企業がコンテナで出荷するとする。税関職員が工場まで来て検査するというのはお題目。コンテナの長さで支払い額が決まっていて不文律。これに応じなければ出すことができません。こうした費用?は当然経理上の処理など出来ないので担当者や現法社長のポケットから出るが、公安だって同じことをしている確信犯。こうした現地事情を全く知らないのが本社役員。ある筈がない?いやあってはならないけれど、毎夜あからさまに行われている慣例行事なのです。

・専門家と税務当局の考えとは

2024年の上半期、免罪とされている少額商品輸入額は一日平均5000万ドルにもなるとされ、この制度の見直しが声高に叫ばれているとあります。
要するに課税するべきという見解で、EUではイギリスが2021年度から135ポンド未満の商品にも課税しており、タイなどでも国境を出入りする全ての商品に一律7%の関税を課しているという。これが世界の趨勢なのでベトナムが実施すれば他国の見本になるとは自信過剰。
政府は2010年に通関検査を簡便化するため、100万VND未満の少額商品への課税をしていない。だがデジタル化経済では必要情報は即座に確認出来るので、これまでの非課税措置を講じる必要はないとしています。
税関が正確な情報を徴税するためのデータ処理ができるのなら、EC商品へ課税は出来るとするのです。
2023年度のECに関する税収は97兆VNDと前年から14兆VNDも増加。今年は7月時点で78兆VND、これ等はグーグル、アマゾンなどの世界的企業からもたらされており、税務当局は税務管理を強化しEC商品の管理と税金の徴収を効率化してゆくと目算している訳です。
こういう状況の中で税務当局長は、正規インボイスの発行をECサイトの各プラットフォームで行なうことを提案しているとされ、承認されると商品の出所が明らかになり、国内市場での競争力が増し、低品質な偽造品の流通を防ぐことができ、消費者の権利を守ることが出来ると自画自賛している。
これは敢えて正当化しようとするのが意図、苦し紛れの言い訳に過ぎない。
であれば未だに海外に広く出回っているベトナム産のブランド品の偽造問題だが、日本でも中国に次ぎ二番目に多く発見され水際でストップされている実態が頻発する。
かつては台湾でもツアーガイドが連れて行く先のひとつだったし、ベトナムでも土産物店で売られていた。だが国民の所得が上がってくると少なくなる。実際はベトナムから個人輸入とかの名目で、在住するベトナム人宛てに中身を偽装した郵便小包を頻繁に送られてきている実態もある。したがって消費者の権利を保護するなんて全くのお笑い種で滑稽すぎるお話。
先ずは自国の足許を見てこの様な偽造商品の製造場所を摘発して根絶する、これを世界に承認されて初めてベトナムが偽造大国という汚名を返上することが出来る訳で、やるべき順序を間違っています。
さらに政府にインボイスだけでなく、VAT(付加価値税)の修正と追加案を提出。この中で少額商品への免罪措置廃止を主張しているという。
余りにも急成長しているECへのやっかみか、結局はナンダカンダ宣うけれど、取りやすい所へ課税、取れるだけ取りたいだけの話でしかありません。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生