少々怖い話 海外危険情報① 誘拐、人身売買の実態

2019年6月5日(水)

平和な日本で人身売買の話など聞くことはありませんが、歴史の上では宣教師がポルトガル商人の手先となり、日本女性をかどわかし遠くヨーロッパにまで売った実態がある様です。時代小説にもメコン河を遡り、クメール王朝が支配した柬埔寨に売られて来た女性の話が出てきます。日本女性は淑やかで温和なため高く売れたそうで、悪徳日本人が誘拐し外国人業者が好んで買いました。
現在でも拉致だけでなく、海外で行方不明になった人は相当数いることを耳にします。

日本大使館・総領事館の危険情報に注意喚起としてよく出るのがイカサマ賭博。解放感一杯の気侭な旅人を狙うのが常套手段。かつて日本語を話す女から巧みに誘われた事もあるが、女性は隙をみせては絶対にだめ。金銭だけで済むならまだマシだが、睡眠剤を飲まされ身包み剥がされたうえに乱暴。一歩間違えば売られる可能性もあり一生帰れない。親切ごかしは金目当て、危険度が高く、変だと感じると「虎穴に入らずんば虎子を得ず」より「君子危うきに近寄らず」。海外では自己責任と心得、安全・安心を金で買えるなら迷わず実行すべきです。話を鵜呑みにするとドツボに嵌り、恐ろしい事が起きると知るべきだが警戒心は希薄。声を掛けられても知らない人に近づかない、相手にしないのが鉄則。

ベトナム女性の人身売買に関する記事が時々掲載されます。THANH・NIEN(青年)誌には、高給の仕事を紹介すると騙し越中国境の街ラオカイで200万VND(9千円)の少額で売り飛ばした同国人を公安が逮捕。女性は娼婦を強いられたものの運よく逃げ出し公安に駆け込んだという顛末の記事が。小遣い欲しさに友人や恋人さえも売るケチな話は結構あり、嘆かわしい精神的貧困が背景だと思えます。

ベトナムでは婦女子が誘拐、売られて性的搾取や結婚・労働を強制されており、この種の犯罪は5年間で12%上昇、4500人もの被害者を救出したという有様です。中国では妊娠3ヶ月の妊婦が言葉を話せないのを不審に思った病院が公安に通報。調べるとベトナム北部の省で誘拐された12歳の少女と判明。20歳と偽り連れてきた男女が逮捕されたとんでもない実態があるほど。
公安省は中国の公安当局と協定を締結。国境地域での誘拐・人身売買事件摘発を進めているもののイタチゴッコ。依然増加している傾向にあると述べます。
越中のネットには5年間で摘発した事件1543件、容疑者として拘束したのが2340人、救出した被害者は3146人。通牒により売られる寸前の少女109人を保護したとの事。だが年間数千人ものベトナム女性が中国へ送られるとの実態があらわになり、これにはVNのブローカーや中国の組織が介在。ウェブサイトまで作って広告を出す厚顔さには驚くばかりです。

過去にハノイで日本人の子供が金目当ての男に誘拐されて大騒ぎ。公安は威信をかけて間抜けな犯人を早期逮捕、無事解決した事件がありました。
海外でも日本の生活をそのまま持ち込んでいるのも一因。こういう所に日本人の海外不慣れと、他人に迷惑をかけない、むやみに人を疑わない性善説を垣間見ますが、これでは無防備さを暴露。
ベトナム人は親や家族などが子弟をバイクで送り迎え。学校周辺の道路が渋滞するほど猜疑心は強いのです。
日本人学校や幼稚園では安全のためバスでの送迎。日本人が住む所から遠いのも理由だが、途中で何が起きるか分りません。
危機管理意識は個人でしっかり持つことが大切です。

筆者:IBPC大阪 ベトナムアドバイザー 木村秀生