特別と思える食文化は各地各国にあるが 古来の文化を非難できるか?

2019年11月25日(月)

50年程前「世界残酷物語」という映画があり、鮮明に覚えているのはこれに出てきた野外での犬の丸焼き料理。歴史的に犬と人類との関りは深いけれど、歴史上その地域における普通の食文化と捉えるか、価値観は分かれるでしょう。
一緒に観たのが同級生で世界的に高名な数学者岡潔博士の甥子。叔父上に似ず「アジアは面白いなぁ~」と興味津々。かくしてベトナムの地を踏んだのが私。
ベトナムでは現在も犬肉は主に北部の一部地域で多く食され、年間500万匹を消費して世界二位と言われています。また年間20万匹が輸入されていると報道があり、これを非難するNPOが反対の狼煙を上げているのです。
是非はともかく、日本でも赤犬が一番とされましたが、それは体が温まるから。今では時代は違い、それは無いと言えるが、より寒い中国でも理由は同じです。
HCM市内でも店頭に茹でたモノが吊り下げられている光景をみかけますが、初めて目の当たりにすると異文化の雰囲気がたっぷり。犬肉は体に付いた悪を落とすと信じられ、旧暦の月末は普段の数倍も売れるのです。だが養犬は違法なので何処から入手するのか分かりません。多いのが小遣い稼ぎの飼い犬泥棒。何人もの友人が被害にあい、夜中に鎖が外されていたという。
ハノイの人民委員会は昨年9月、犬を食するのは残酷なので控えてとの声明。非近代的で文明国ではない、観光客にも良くない印象を与えるとしています。だが減るどころか増える一方の様子だとか。またHCM市でも健康上のリスクが大きく、食べないようにと食品安全管理委員会が警告。多くの病原体に感染していたり、寄生虫や体内に残留する有毒物質が人間の臓器に侵入したりで、場合によっては死に至らしめるとしていますが、単なる脅しではなさそう。

また、北のごく一部の地域には猫肉料理があり、立て看板に堂々と書いてあるが流石に此処まで食指が動きません。最近は何れも嫌がる方も多いのです。
元従業員の中部の実家ではトカゲを飼育し地元に出荷していました。手間の掛らない片手間の副業です。食糧危機になれば、昆虫食が世界を救うとテレビ等で紹介される位のスーパーフードですが、認知されるには時間が掛かりそう。でも誰も異論を唱えないのは何故か?
日本の食文化である鯨や旬の白魚の踊り食いも同様、田舎ではイナゴや蜂の子も重要な蛋白源。かつて山岳地域では猟師が雷鳥などやカモシカも捕りました。
アジアではワニやヘビ、トカゲに野鳥・昆虫。これはタイ東北部イサーン地方やカンボジアの首都プノンペン市内のど真ん中にある市場に行けば、コオロギ、カメムシ、バッタ、アリやカブトムシなどの自家製総菜が山と積んであり安い。米飯と合うのでしょう、地元民の大好物だそうです。
愛護という美名を借り感情的に他国の伝統文化を批判して一線を画策するのはリッチなのに貧困な食文化しか持たない、独善的な人達の言い分が世の趨勢。
だが欧州の兎やヘラ鹿狩り、フォアグラや鳩にジビエはどうなの?イヌイットのアザラシは?子豚や子羊の丸焼はいい?日本へ輸出したいアメリカやOZ牛(肉)は哺乳類!これらに動物は見えない振り。命の収奪は尽きないが、これを彼らは一切食べないとでも言うのでしょうか。
食物連鎖の頂点は人間。生きる為に必要なのに自国のみが正当で文化的。他国の食文化を野蛮の如く一方的に否定するのは傲慢で、他民族を侮蔑するかの様な思考も間違いです。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生

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