先ごろの話。北九州市の県道でのこと、路上の釘を踏んだとみられる車が相次いでパンクしたとありました。これによる被害車は30台以上に上るとされ、警察は何者かが故意に釘を置いたとして器物損壊容疑で捜査しているとある。
捜査員が現場の路上で確認すると、亀裂に2本が刺さっておりそのうちの一本は長さが8センチもあったというのです。これは明らかに恣意的な行為。当然だが特定の人へ恨みや嫌がらせでなく、不特定多数の車を狙った悪質であるとの事。今時の車にはスペアタイヤ、ジャッキの標準装備はないので不便です。
日本でもこれまで何件かあるそうで、容疑者は逮捕されたがストレス解消との言い訳。だがれっきとした道路交通法違反と器物損壊という罪になるのです。
こんな事をして大事故になれば出来心では済まない。急にハンドルを取られることは今のタイヤならバースト以外にめったにないが、他人を巻き添えにするなど死亡事故にも繋がる危険性があって、何が起きるか分りません。
この記事をみて、えっ日本でも!と思ったけれど、HCM市内の道路を走行中に異変を感じて、あっパンクか!と何度経験したことか。
こういうことはバイクに乗れば誰もが経験すること。しかし偶々道に釘が落ちていたとは思えず、故意にばら撒かれたのではないか?と考えたものです。
市内にはパンク修理屋が幾つもあって、道端での持ち場は決まっている様だが、その昔、ベトナムで明け方にネジ釘を路上に撒いて捕まったと新聞にあった。このネジ釘は小さく確実に刺さる、こんな悪くどい奴もいたけれど、今は流石に聞きません。修理屋は見分けがつくようで「偶然ではないな」と呟くのです。
パンクした際、仕方なくバイクを手で押していると、具合よくバイクに乗った人や道を歩いている子供でさえ、多くの人が指を指してくれるのです。
即ち「直ぐそこに修理屋が居る」という合図。これはこのようなアクシデントは頻繁にありもはや慣れっこ。多くの人は通勤通学などでバイクを普段使っており、ほぼ毎日同じ道を走っているため大体は何処に何があるか知っている。緊急時のことを身に着けているわけで、こういうアクシデントにはお互い様。こちらも手を挙げて「ありがとう」という意思表示をするのはマナーです。
仮に修理屋が少ない地域であっても、通りすがりに片手を離して親切に教えてくれるのは有難い。
休日、少し遠出をしてみようと思い、今ではメコンへ行く一番の近道になるが、7区のPMHの自宅からロンアン省の方へ気分良くスクーターで走っていた。
この道、今の天皇陛下が皇太子時代にメコンへ行かれる時にも通られた立派な道路だが、当時は工事中の個所が幾つもあって殆どの区間がガタガタの地道で付近には何もない。それほどスピードを出していないが、暫くしてシマッタ!と一瞬思った。暑くて堪らないし、それらしい修理屋は見当たらなくて不安。
すると地元の人なのか、行く先の方向を指さし、その後に左に曲がれという。このホッとしたことは未だに覚えています。
市内ではあるけれど郊外の農村地域。粗末なニッパヤシの小屋。そこには修理の目印である古いタイヤを三脚に掛け道端に置いてあった。大体の修理屋にはコンプレッサーがあり空気も入れてくれるし、チューブの交換もしてくれるが、此処には無い。スクーターなので時間が少々かかったが、ようやく修理が終わると手押し式のポンプで空気を入れてくれました。
パンク修理は何処でもやり方は一緒。水に空気を入れたチューブを入れて穴の開いた箇所を見定める。そこに爪楊枝を入れておき、釘があるなら証拠品として見せてくれます。乾かしてからヤスリで周辺をこする。こうする事でノリが付き易くなる。そこにゴム糊をまんべんなく塗って乾燥、その後にシールを剥がし、補修パッドを貼り付けてしこたま叩きます。今は幾らか分らないけれど、この時分は100円ちょっとだったか。洗車もあって50円はしなかった。
因みにチューブは1000キロくらい走るとチェックした方が良い。状況にもよるが、薄くなると危険。早めの交換が良いけれど、現地の多くの人はその時になるまでほったまま。
・日本のメーカーは信頼度が高い
日本のバイクメーカーが人気の理由。日本製品は品質が良くて故障は殆どない。加えて無料の定期検査をしてくれる。しかも購入時から合計5回も無料で点検してくれ、検査担当者はメーカーで教育訓練された人たちなので何処で買っても安心できるし、部品も共通する。他の外国メーカーは其処まで丁寧でない。
私が初めて購入した時は友人に一緒に行ってもらったが、安かったので韓国製のホンダ車フェイク。だが二回目に点検に行くともう店は閉鎖されていました。
こういうことがあると、二度とマイナーな商品を買ってはいけないという気にもなるし、安モン買いの、銭失いへの警鐘です。経済的に豊かになってくると安い物より、少々高くても品質が良いものを買いたい。結局は長期的にみるとお買い得になる。こういう時期になったとみるのが今のベトナムです。
・町内の人と仲良しになるのが良い
たまたまアパートの駐車場に置いておき、出かけようとしてパンクに気が付いた時の事。近くに修理屋が無いので管理人に呼んでもらった。
来てくれたのは何時もオイル交換などを依頼する道端に居る顔なじみの親娘の親父さんの方。自転車に乗って道具を片手に来てくれたが、出張料は取らない。
帰国するたびにお菓子を持ってゆくので、空気を入れる際にはお金を受け取らない。10円にもならないけれど気は心。普段からできるだけ地元の人と仲良しになる。だけど深入りは禁物。
こうしたことで何かあれば助けてくれることもある。
情けは人の為ならず。この意味、勘違いする人も多いようだが、要は回りまくってお返しが戻ってくる。のだけれど、清掃のおばさんもそう。意外と地獄耳で事情通、大切に。
株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生