ベトナム人若者のどんどん進む性知識変化

2022年8月2日(火)

現地報で14歳未満の子供の性行為を経験した割合が、2019年度の調査で3,5%と2013年度の1,5%から6年間で2倍以上になったと報じている。
保健省とWHOが明らかにしたが、中高生7700人を対象にした調査。比率が高いか低いのか?だが一応の見解として性の解放は進んでいると考えられる。

同じような調査は2005年にも実施されていて、この時は保健省、統計総局、WHOにユニセフの共同で行われている。この時の結果では42省の14歳から25歳までの男女約7600人に聞き取り調査と記述式を併用したもので、14~17歳の3200人中の性経験者はわずかに8人だったとしています。
この時の平均初体験年齢は19,2歳で、未婚女性の経験率は2,3%と極めて低く、既婚女性へのアンケートでも婚姻前の性交渉は約15%だったとある。
だがこの当時まだ道徳観が高く、社会での容認度は低く例え無記名でも恥ずかしい。バレると困るので内緒のお話は書かない事にするのは人情。この調査が何処まで正確なのか分らず、実態とかけ離れているとの話も聞き及ぶのだが。

2012年にもユネスコが調査をしたところ、14~24歳の青少年の性経験率は69%、高校卒業時が大多数との結果だが、身近に知る実例からも頷ける。
だがこの時はサンプル数が少なく、正当な評価は如何かと思えるが、ただ婚前交渉を否定する人はまだ10年前に過ぎないのだが、多かったのです。ただし男の場合は身勝手にも女性の処女性を重要視するとの答えが大多数とある。
一方で妊娠と避妊の知識、性感染症、HIVの予防に対する認識は低く、全く改善されているとは思えないとする。社会が認めなければ地下へ潜って行くしかありません。こうなると非合法手段をまかり通す人物が性を金にする実態が存在する。

(社会問題として挙げられるのは)
性知識は何処で仕入れているか。以前は性に関する話はかなりタブー。親などに聞ける訳が無い時代。ラジオの相談受付もあったし、無責任ながら友人同士での情報交換に頼るのだが、これは万国共通の噂話。キスだけで妊娠するなどの流言を信じるなんて笑い話はまだ良いが、気が付けばお腹が膨らみ、聞く所、若い地方出の娘が外国人と割ない関係ができて出産。だが実家にも帰られず、そのままHCM市に住み続けている話を幾つか知っている。
私の友人宅ではTVで生理用品のコマーシャルが流れると、息子の目を我が手で覆って見えない様にしたけれど、知るのにはまだ早いという。
日本ではこの所貧困に拠る社会現象の一つとして普通のこととして認知される程になったが、依然としてタブー扱いする一般家庭の内情を見たのです。もう少し時代が下れば同じような状況になるでしょう。

今ならネットで調べられるが、それでもイザとなるとSNSでいい加減な情報に惑わされるのが関の山。正確な知識、情報を発信することが望ましく、このような活動、しかも高校生や賛同する一部教師などに拠ってここ何年かで普及しきているのは良い傾向です。もはや性の話を避けては通れなくなり、古くて無用な道徳観を排除。科学的に正しい方向に導くのが社会の在り方でしょう。
生まれてくるのはいい。しかしベトナムが近隣国で最も多いとされる中絶件数。この2012年当時でさえ保健省は未成年の中絶件数が年間30万件にも及ぶとし、全件数の20%にも及ぶとあるが、正確な数字は何とも分らない。
HCM市の場合、未成年者の中絶件数は増加傾向にあり年間3000件に及ぶとされています。しかし本当の状況や実態は分らず多くは闇から闇へ葬られ、これに拠る妊婦の死亡も数千とも聞くがその実数は不詳です。
未成年の望まない妊娠、貧困、男女間の不平等、暴力、早婚、男子偏重社会などの背景があり、女性の健康や身体へ及ぼす影響が懸念されているという。

ベトナム映画にこうしたシーンが撮られている。実話だが、金持ちの雇い主が力で押さえ込んだ挙句の果て巷の違法医師の手で掻把される場面が出て来る。
また中部では世界遺産の外国人に人気の古い家が並ぶ街。かつてこの地は西と東を結ぶ交易の中継点であり異国からの人や船で賑わった港町、こういう所には必ず遊里が在った。映画が刺激的な内容なら当局は許可しないが、検閲官も芸術作品が解る心を持っていたのでしょうか、ギリギリの線で爽やかなエロティシズムの描写。卑猥さなどなく往時の文化として美しく画面に収まっていた。

大都市のある通りではこうした診療所が軒を連ねており、早朝~深夜の営業。殆ど無許可だがそれとわかる女性に声掛けしていると報じられる。衛生状態は悪く感染症や後遺症は怖いが減る事は絶対に無いとあり、HCM市の有名病院でも施術している。中絶割合は全国平均で約52%の高率、特に南部は出生に対し80%にもなるとベトナム国立病院、フランス国境なき医師団が報告している。
さらに女性の平均堕胎回数は5,2回と嘘のようなデータがあるみたいで、本当かな?と思うが、不名誉な記録ながら世界5指に入るほど高いとされている。
こうした中で学生の妊娠が多くなり珍しくなくなった。その主因は性に関する知識が低いとされます。
地方からHCM市の大学へ来た女学生。近所の長屋で2畳ほどの一室を借りて生活。だが暫くして居なくなった。その理由は図らずも妊娠が発覚し親は怒り心頭、家に連れて帰ったと聞く。故郷と違って侘しい都会に一人暮し。先を考えず余りの寂しさに耐え切れず悪戯に一線を越えてしまった。
またHCM市の教員養成短大。此処に通っている子が私に話した事、市内出身18歳女学生が妊娠。どんどん腹が膨らむにも関らず平気で学校に通ってくる。
流石に都会っ子。辞めずに恥ずかしげもなく堂々と学業を続ける態度に社会と時代が変わったと思わずにいられない。だが地元の知人などは驚きもしない。
HCM市は数年前に赤線の合法化を試みたが何時しか消えた。あらぬ被害を防ぐのにも有効だと思うのだが。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生