海外に移住して 日本にあって海外にないこと

2023年9月13日(水)

海外に引っ越しをして、現地で生活を始めてから日本との違いがリアルに分かったという日本人が、そのいくつかを投稿していました。
まだ一年しか経っていないので、ことある度に新鮮な発見とあるけれど、何れの国であっても歴史と文化、自然や気候も違うし、其処から生まれてきた生活習慣やビジネス慣習なども 恐らく住めば住むほどにもっと出て来るでしょう。
これはまた日本に来て生活やビジネスを始めた外国人にも同じことが言えます。変われば品変わる、が如く国内であっても出て来る訳で、まして外国でならそれ以上の驚きとなる。これを楽しむことが出来るか、あるいは自国とは違うと否定的になる人も居るが、私の経験から体験できることを有難く受け入れるのが良いのではと、ポジティブに取る方が良いと考えます。

この方の思った違いの一つは、残業しない。
但しこの方の職場の周りを見ての感想とあるけれど、その企業の仕事の性格や役職に拠って異なるようだが残業をする人は少ない。この地ではいわゆる通勤ラッシュが(ほとんどは車)午後3時半くらいから始まるという。
また平日の夕方から子供のクラブなどが始まるが、此のスタートが5時頃とあり、多くの親が送迎に勤しむとある。これに付いてワーキングバランスが取れていて、日本人には羨ましいとある。
ベトナム人もほぼ同じ。それどころか連絡もせず勝手に休むとか遅刻。或いは5時には仕事の途中でも黙って帰宅。これを現地では認めあうという家族意識が高いけれど、他者への配慮とかビジネスマナーと言った別の問題が多い。

二番目は同調圧力がない。即ち日本人ほど同じ様に皆がしているからと、所謂空気を読むことが求められるが、彼の地ではこれが無く、皆は同じでなくていい、という考え方。同じでなくていいという空気感があり、日本人の皆一緒だから安心と全く異なるという。要するに個性を重んじるので、制服すらなく、この前の高校野球で問題になった長髪問題に通じるものです。
外国で日本企業が行う朝礼とか、ラジオ体操など典型的。組織に居るものは、守るべきという事ではなく、組織の中で個を活かす。これを考える時代になりかけているのかもしれません。
ベトナムでは集団と組織の間が曖昧。企業では指揮命令系統がしっかりとしている場合があまりなく、勝手し放題。所謂職務権限とか、稟議制はない。これには現法社長も驚くが、まだ産業やビジネスが未成熟。社員も未熟。また農村社会が企業内でも残っていて、ビジネス上での村八分もある。
三番目は国民皆保険。日本はこれが進んでいるが、この国では大人も医療費は不要。現在日本は基本3割負担だが、以前は本人無料で、家族2割とかだった。
上には上があるもの。だが一般でも予約制が殆ど。救急外来でも数時間待つという。これは日本ではない。
ベトナムでも保険はあるが、若い人は保険料を払いたくないので、給料から引かないで欲しいと言われたことがある。これには事業主負担の方が大きいけれど理解していない。日本の問題は外国人の親でも家族として使えること。
病気の時だけ来日して、手術に治療。流石に此処まではやり過ぎです。

四番目、外見至上主義が無い。日本では人の目を気にするとか、外見で人を判断する。これがまた本になって売れるのが不思議でビジネス本ベストセラー。
見た目ぽっちゃり、だからライズアップが流行る?
だが移民国家ではこれはほぼない。好きは服も着られる。これは大阪人と一緒。
かつてベトナムではこんな余裕がなく、バイクに乗る時に幾ら注意してもサンダル履きに草臥れたシャツとズボン。流石に少なくなってきたのは生活が豊かになってきたから。貧すれば卑しくなる、のは殆どが間違いなさそう。

次には公衆トイレ。日本にはコンビニや商業施設に駅などで使用できるけれど、この方の住む所では駅にもないという。日本ほどコンビニも無い。
かつてベトナム人と話をしていた時、我々はHCM市内のホテルでトイレを使うだけで入ると言ったら驚いていた。敷居が高いとか、またホテルでも外見で判断して一般のベトナム人を入れないようにしていたのです。
ホテルなんて都会のオアシス。此処で休憩もするし、時折バイキングや喫茶にも行くほどポピュラーな存在。気にもしないのだが、彼らは気後れしていた。こんな事や時代がありました。
ベトナムもそうだがアジアには町に公衆トイレがあり、その前にはおばさんがどっしり構えていて、利用料金を徴収していた。
こういった記事は他にも結構あるけれど、外地に赴任した経験のある方、さらに都市部でなく、超ローカルな地域へ行かれた方は、それ以上の驚きがあった筈です。今でこそ笑い話で住むけれど、そんな場合では無かった20年ほど前などこれだけで90分のベトナムの講演ができる程、ディープであったのです。ところが不思議なもので、今となればこんなに不便であったとの頃が妙に懐かしく、意外と楽しかったその時の場景が浮かんできます。便利さは快適の反面、機械慣れして人を怠惰にし、時に火急時の本能とか知恵や感情も奪ってしまう。そのような気がするのです。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生