若者に人気のビリヤード

2024年1月18日(木)

ベトナムの有力新聞であるトイチェ紙に拠ると、この所HCM市内には数多くのビリヤードクラブが出現しており、固定観念に関わらず、顧客の大半は若者だと言います。
固定観念!?とあるのだが、何を指しているのかは説明がない。だが筆者からしてもビリヤード人気と言うタイトルに、いささか違和感を持ったのは事実。
かなりブラックな印象を持っていただけに、正直ほんまかいなと訝った訳です。
記事を読むと成るほどマトモと思ったけれど、かつて一区中心部のメイン道路に面して、幾つかの怪しげなビリヤードがありました。看板やドアには確かにビリヤード(BIDA)と書かれていて、ドアの内側には台が置いてある。
しかし、である。まともにビリヤードをする人など居ないし、エスコートしているのは若い女性。だが艶っぽくなく素人。要するに奥の扉を開けると別室があるとか上層階に部屋が設えてある。即ち気に入った娘を指名してこの部屋で秘めごとにおよぶ次第だが、ショートで僅かに精々20万VNDだったと聞く。
外国人が多かった様だが、もちろん国内の人もおこぼれに与った。だが当時の金額は円で換算すれば1700円程度にしかならないという、驚く安さ。一体手元にいかほど残るのか。まずよぎったのはこうした過去の陰湿な話です。

ところが、こんなものでは無く記事には週末の夜、こうしたクラブは混雑し、テーブルが空いていないことが多いという盛況の有様。実際に18歳から30歳くらいの人達が楽しんでいるという、健全なゲームだとあります。
グーグルマップに拠れば、HCM市には現在410カ所のビリヤード場があり、1区は特別としても、所在の殆どは8区、10区、ビンタン区、タンフー区、フーニュアン区、ゴーバップ区という人口が多い、比較的郊外の地域だという。
料金は手ごろな所では、レンタル料金は1時間3万VNDから10万VNDとあるから、約200円~600円強。近代的な設備がある所なら12万VNDから30万VNDと言ったところで、何れにしてもリーズナブル。だがキューの料金は別で5万VND(約100円)かかるとあります。

こうしたビリヤード、数千人~数十万人もの会員を持つ愛好家のために、オンライングループが急速に出来つつあるというから驚きです。フェイスブックにはビリヤード・コミュニティー‐情熱の共有とか、ビリヤードへの情熱、またHCM市ビリヤード。コミュニティーなどが有名と言う。これらのページでは親善試合を行って、プレイヤー同士をつないでスキルを共有。ベトナムでこの「スポーツ」を促進するという訳なのです。
こうした過熱した事情なので特に休日前などは満席状態。利用可能なテーブルが不足しているのが実情であり、最も混む時間帯とは、夜7時台~8時以降で空き待ちの時間も次第に長くなっているともある。

では何故こんなに人気なのか。最近できたビリヤード場の支配人は、若い人の好奇心を掻き立て、人が集まってよい話と悪い話、要するに噂話に過ぎないが、結びついて共同体意識が芽生えるとか。となれば本来のスポーツなんてのは単なるたわごとなのかと思うけれど、そうではなく、若者に影響を与える多くのエンターテイメントチャンネルで、有名なビリヤード・プレイヤーに関する情報を共有し、より多くの若者が参加するように促している様だとあります。

事実、遊びに来たアン君は、友人達とは週に3~4回センターに来ると言い、もう経歴は3年になるという。彼はビリヤードがトレンディーで娯楽的、友達同士の会話ではそういう認識でいるようです。勝ち負けで配車がゲーム料金を払うこともある様で、こうした競争意識が刺激となり楽しみが増すという。
またある人は単なるゲームではなく、スポーツと言い、参加者が試合に勝つために、手の強さとボールの方向に一定の計算をしなければならない知的であるという魅力がある。こうして友人や同僚が集まる絶好の機会を提供してい売れているとあり、通常、チームは4~6人が週一で集まるという。
ベトナムの学校ではクラブ活動がありません。体育系とか文化系の部活があるという訳では無いので、こうした自発的であるけれど同行の市が集まることに意義を見つけているのかも知れないと分析できます。

記事にも、かつてはビリヤードがアルコール、ギャンブルに売春の巣窟であったと連想され、不健康なイメージが強かったけれど、今では多くの人がこれをれっきとした高いスキルと、高度なトレーニングを必要とするスポーツと認識、ストレスを解消できる利点もあり、奨励すべきだと思っているとあります。
こうした過去の事実を彼らは知っており、現在は国内でもトーナメントに含まれているほど競技が沢山ある健全なもの。ネガティブな偏見を持たないという。
ビリヤードは勝ち負けではなく、交流と学習に主眼が置かれているというのは、有名なプロであり、ビリヤードアカデミーの経営者であるTHINH氏。
情熱を共有し、より前向きな人生を送るために互いを鼓舞するもの。より多彩でエキサイティングなスポーツにすることが期待されている。さらに多くの才能のある選手が発掘され、ベトナムのスポーツに貢献していると共に国際大会ではベトナムの強さが証明されていることを強調しています。これからはより多くのアマチュアプレイヤーが育ってゆく事でしょうとモ語っている。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生