犬泥棒

2023年12月14日(木)

現地発のニュースに、犬泥棒が捕まったとの記事がありました。
HCM市12区で、早朝7時頃二人の若者が乗ったバイクへ後方を走っていた7人乗りの車が突っ込んだ。何となく読むとよく見かける交通事故だが、実はただの事故でなかったのです。
このバイクは停車しており、後部に乗っていた若者は大きな袋を抱えていた。ところが何と彼はその袋を道路に叩きつけさらに激しく足蹴にしていたとある。
これは住民が設置していた監視カメラにしっかりと記録されていましたのです。
なんでこんなことをしたのか?この袋に入っていたのは犬。だがどうして道端でとわざわざと、首をかしげる。そこへ車が突っ込んだというのです。
この衝撃でバイクは転倒、若者二人は犬を放置し慌てて逃げようとしたのです。
この事件を住民が目撃しており、初めは何が起きたのか分からなかったのだが、突っ込んだ後、この車の運転手は若者を追いかけようとしたけれど、逃げられてしまったとあります。
何とも衝撃的な事件だが、現場は無残にも横たわった十数匹の犬と、バイクに残されていた感電装置でした。
記事には大きな犬が写真付きで掲載されている。重さは並大抵ではないのに、これを袋に入れてバイクに乗るなんて日本人には想像はできません。しかし、未だにベトナムでは通勤・通学どころか運搬に使っている。
電気などの店舗を持っていた時、従業員はエアコンのクリーニングや修理に行く際には梯子にコンプレッサー等を後ろに乗る者が持っていた。これが普通なので事故が起きるととんでもない怪我が待っています。
因みにこれ以上に怖いのは氷を積んだバイク。暑いのでどんどん溶ける。水が滴り落ちていて、道が濡れるので後ろに付くと危険この上ない。絶対に後に付いてはなりません。実際にバランスが崩れて荷台の氷が落ちたのを見たけれど、万が一避けられないと死亡事故になる可能性は極めて高いのです。

さて車は2度もバイクに突っ込んだとあるが、フロント部分が破損しており、またバイクは完全に大破していた。これは単なる衝突事故では無かったのです。

此の地区を管轄する人民委員会に拠ると、最近、この周辺ではバイクに乗った2人組が頻繁に目撃され、犬を盗む事件が多く発生していたというのです。
車を運転していたのは多分飼主なのか、犬を盗むところを目撃しており、この二人が乗ったバイクを追っかけていて、捕まえようとしていたようです。
12区の公安は、同日にこのうちの一人とみられる若者を逮捕したとある。
どうして頻繁に犬ばかり狙って盗むのか。これは犬の食肉専門店に売るため。
HCM市内にも犬肉を売る店があります。店の前では茹でた一匹がそのままの姿で吊り下げられている。色は白くて遠目では直ぐに分からなかったが観ればそれと判断できる生々しい形をしている。
またある地域で袋に入れた犬を白昼に文字通り袋叩きにしていた。悲鳴を上げているにも関わらずこん棒を振り下げていたのを見掛けたが、彼らが解体する。
本来は北の食文化で、南の人は余り食さないが、北から南へ人の移動があって、食などの生活文化も一緒に付いてくる故郷の味。しかしいくら何でも目の前で撲殺と言うのは田舎で良く観る鶏を締めるのとは訳が違います。
韓国もそうだし、かつての日本もこれと同じで様々な獣肉を口にしていました。犬は体が温まるというけれど、北のハノイはそれほど極寒ではない。では何故。おそらくは中国から来た人たちの持つ食文化の一つではなかったかと推測するけれど、悪運が消えるとの言い伝えも理由になっているみたい。

犬泥棒は何処でも居る。ベトナムの家の門扉は鉄製。滅多に入る事ができない、と言うのは単なる安心感で、実際に錠を壊されてバイクを盗まれ事とがある位、実に簡単に物品は盗られる。犬も同じく、予め鳴かないように餌に薬を混入して投げ入れる。静かになった時を見計らって扉を開けるのです。
これまで友人宅の犬や、日本人が飼っていた犬が忽然と消えた。明らかに犯人は犬泥棒。手口は鮮やか。だから屋内で飼育、保管するべきです。
最近はこの犯人の様に手っ取り早く電気ショックをあたえて気絶させるのです。
手口は近代化!というより荒い手口。だがこの犯人の様に一晩で、何匹もの犬を盗んで、大きな袋に入れたというのは聞いたことがありません。
ベトナムは名だたる犬食大国。中国に次いで世界二位、年間500万匹が食されており、不足分は近隣の国から仕入れるとか。
未だに絶えない文化でこれが非難されているけれど、古代より人間と共生してきた哺乳類を食するのは野蛮と世界の動物保護団体から批判の的になっており、犬食文化の韓国はこの所は若い人を中心に批判が起こってドンドン縮小とか。
しかしこの記事の如く、実の所は全く収まっていないとみるのが正しいと考えます。

また北部の一部地域ではネコ肉を食べる習慣がある。まさにネコを冠袋に押し込んで、と言う歌の通り。残酷と思うのは外国人とベトナムでもこの風習がない地方の人。古来、普通の食文化が続いているだけの話。もし日本であれば、こうした問題が起きると、どういう犯罪が成り立って処罰するのだろうか。

これとは全く違うけれど、日本で放牧した牛を喰ったクマが捕獲。後で話題のクマOSO18と判明したが、これに多くの批難の電話が殺到しという。
だが今年は森にはエサが無く、クマがどんどん人里に下りてきて危害を与えており、10月20日現在で150件の被害者が出たとある。また1頭だけではなく、夜な夜な数頭が牛舎に入り込み牛の飼料を食べているなんてこともある。
動物愛護も結構だが、恐らく都市部に住む人の抗議かも知れないけれど、野生動物の恐ろしさを知らない人。漫画の読み過ぎか、可愛いだけでは済まされないのが凶暴なクマのプーさん。持論を展開したいのなら氏名や連絡先をきちんと名乗るべきだが、匿名はいけません。

また外来種が増えて生態系が崩れているが、これは自然生物が相手ではなく、飼育を放棄した買主の余りの身勝手な無責任さが招いたことで、売りっぱなしの販売店も同罪であり、法的に取り締まるのが先決です。
こういう訳の分らない人に読ませたいのが久保俊治著、小学館文庫「羆撃ち」。2012年初版。もちろんノンフィクション、日本で唯一孤高の羆ハンターが海外で研修を受け、北海道で繰り広げられる大自然の中での脅威と現実の描写がひしひしと伝わり、読み応えがあります。

本来クマは肉食で無く雑食、だが肉の味を覚えると不味い木の実など食えない。勿論急に遺伝子が変わるものでは無く、肉ばかり食べていると調子がおかしくなることに気が付かない。だからいとも簡単に捕獲されたとあります。
日本人は西洋人に比べると腸が短い。これは穀物が主食であったからで、肉食や乳製品に本来対応できるものでは無い。だから肉食中心の人の体は後々具合が悪くなるという説もあるようだが、数千年掛って出来た民族の身体の構造が、わずか百年ほどで変われるものではなさそうです。

クマの胆嚢は漢方薬、掌は高級中国料理に使われるとかだが、好物の蜂蜜の甘味が染み込んでいるので大層美味とあります。
ベトナムにもツキノワ熊が棲息している様で、最近の記事では飼われていたが虐待されていた熊を保護したとある。
羆(ヒグマ)は本来寒い地域に棲み、体長が2メートルを超える巨体もいる。ツキノワグマは南方だとかで羆より若干小さいが、いずれも特に凶暴になるのが冬眠前と子育ての時期。動物界の摂理です。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生