ベトナムの美味しいバンミーとコーヒー 世界トップクラスにランクイン

2024年4月23日(火)

日本でベトナム料理店が増えています。しかし必ずしも現地のプロの料理人が日本に来て調理場を任されているのではなく、日本人と結婚した配偶者とか、実習生として来日後に日本国籍を得たなど、はっきり言えば素人家庭料理の域を出ず、本場の味には程遠くがっかりという便乗店もあるのが残念。あるいは中国人料理人が作っていると直接聞いたけれど、やはり似て非なるもの。
ひとつには思う程の材料が手に入らないという事情もあるのだが、日本人の口に合うようにというアレンジなら尚更戴けない。また出身地で味が大きく左右されるのは何処の国や地域でも同じ。十羽一絡げではなく、やはりその地方名を掲げて特徴のある料理で差別化し、自信をもって出して欲しいと願っている。

ベトナムのサンドイッチとか触れ込んで、バンミーを売る店も増えたけれど中には一個900円など嘘やろ。本物の具材とは何かさえも知らないのに、有難がってレポするテレビの女性取材クルーもいるが、味覚無知が酷くて閉口する。
そもそもバンミーとはパンのこと。ホットドッグの様な柔らかいものでは無く、元々はフランス植民地であったので皮はパリっとして固いし、ナイフは腹に入れて具材を挟むので、切れ目を上に入れて具材を挟むホットドックの様なシンプルなものでは無く、種類は多くて手軽に食べられる庶民の味方なのです。
食パンもあるのだがそれほど多くはないし旨くもない。日本のパン会社が進出して菓子パンや惣菜パンなどを売っているが、これは美味しく人気があります。
HCM市で有名な店と言えばニューラン。これひとつでビルを新築したほどなのだから馬鹿に出来ません。この店はしっかり焼かれていて重みがあるため腹持ちは良いが作り置き。中には焼加減は良いけれど軽いものだってあり店ごとに違いがあります。街角の屋台で売っている方が目の前で注文通りの具材で作ってくれるので美味しい、と思うけれど夫々馴染みの店がある。毎朝となれば好みが分かっていてくれるので、注文しなくても顔を出すだけで飲み物と一緒に用意してくれるので嬉しい。日本と違ってジュースは搾り立てだし、カップは大きいので飲み応えがある。人が並んでいる店はまず美味しいと思えるが、朝だけ営業する屋台は多く、出勤前に並んで朝食や昼の分を買求めるのは日常の風景となっているのだが、それだけ普段の生活に溶け込んでいるのです。
このベトナムのバンミー。世界の伝統料理などを紹介するグルメサイト、テイストアトラスに掲載されたのだが、世界のサンドイッチ・トップ100のうち、何と世界一に選ばれたと報じられています。
歴史的には19世紀の植民地時代にフランスパンをベトナム風にアレンジしてできたというが、もはやソウルフードの地位を確立したと言ってもいい。
日本各地には地元のパン屋が創った特色のあるご当地パンが数々あるけれど、少なくてもこのトップ10には選ばれていません。しかし専門家がいうのには、日本のパンは世界一美味しいそうで、ことのほか個性的で種類が多くて安い、外国人観光客にも人気が高いという。
かつてHCM市で初めてアンパンが売られているというので、買いに行ったけれど小豆は固くてしっとり感はなく、日本の職人のパン作りへの取り組み姿勢や努力が群を抜いているのは確かなことです。

・世界の美味しいコーヒートップ10にも選ばれたベトナムコーヒー

同じグルメサイトに紹介されたのがベトナムのカフェ・スア・ダー。すなわちミルク入りの冷たいコーヒー。差し詰め大阪なら冷コ。スア(sua)はミルクのことだが実際に使うのは練乳。ダー(da)は氷。もし生乳が欲しければSuaTuoiと言わなければ分からない。またカフェ・ダーは練乳を入れないブラックだが、砂糖は自分で入れる場合が多いけど、街中の露店では予め入れてあるので不要ならばKhongDuonと言えばいい。KhongはNO、duonは砂糖のこと。少量ならばit(少し)、ベトナムでも健康を気にして砂糖を入れない人もいるから問題ない。
だが練乳入りもかなり甘さが際立っている。氷が無くなってくればChoTemDaと言えば(もう少し氷を下さい)無料で氷を追加して貰えるのは嬉しいサービスだし、ベトナムではコーヒーを注文するとベトナム茶を持ってきてくれます。
お馴染みのアルミかステンレスで出来たフィルターに市販のコーヒー豆を入れ、熱い湯を注いで濃い目に煎れるのがベトナム流。豆は中挽きか粗挽きなのだが、暫くすると綺麗な色の液体が滴ってくる。この香りがなんともたまりません。初めは慣れないが直ぐにコツが分かってきます。
日本ではアラビカ種が好評とか言うけれど、ベトナムではロブスター種をほぼ80%栽培している。これを深煎りするがベトナムコーヒーにピッタリ。
何よりも挽きたては絶品だし、友人など私が帰国寸前に自ら炒ってくれるほど熱の入れようだが、コーヒーに対する愛情が見て取れます。
また最も味が良いと言われる最高級品がChongとされるが、土産店で売られているのは殆どがニセモノという。値段が良いものは品質もよく本物です。
街角の露店は安くて旨いし、チェーン店や個性的、近代的な店にレトロなCaféも沢山あって気軽に入って注文すればいいけれどこうした店を巡るのは面白いもの。味の違いも分かる。
長年の友人の本業は新聞社勤務だが、副業でコーヒーを販売し、カフェ(café)を経営している。さらに中部山岳地帯のダクラク省に農業用地を購入して開墾。此処に有機栽培のコーヒー畑を造るというが、コロナ禍でもう4年以上も訪越できず、農場に行くと約束していた計画が、さて何時になるのやら。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生