散々遅れまくり、やっと鳴り物入りで開業したHCM市の地下鉄一号線
HCM市民にとって都市交通の幕開け。さぞかし喜ばしい限りと思えます。
これから順次市内各路線が開通すれば、課題であるバイクに拠る渋滞とか、排気ガスが原因で起きる健康被害や環境汚染が減る可能性も期待できます。
ところが別の問題が出て来た。開業して僅か2週間の間で利用者に拠る迷惑行為とかマナー違反が多くあったと鉄道会社が発表しているのです。これは予想されたことであり、今さらと思えなくないけれど、ひとつ間違えば事故に繋がる危険行為で安全を全く考えない悪ふざけに近い行為。こういう所に自分勝手な精神的貧困が浮き彫りになり、寒い限りの低文化度が露呈する。
そのいくつかが記載されているが、駅構内や車内で写真を撮るために三脚を使うので他の乗客に迷惑を掛けるとか、通路をふさいで車内の通行を妨げる。
駅員専用の緊急用ドアから身を乗り出して写真の撮影、これらを駅員に注意されても無視するとか他の場所へ移動して撮影を続けている。ところがお国柄というのか、撮影をする際には衣服を脱いで公共の場に相応しくない行動をとる者さえいるという破廉恥な奴も居るけれど、これは日常の家での生活実態でもあるが、その延長を平然とやってのけるのには些か度が過ぎている。
日本でも撮り鉄、乗り鉄など列車の運行を阻害する身勝手な行為が至る所で起きているのと全く同じ傍若無人の悪質行為、他人を嘲笑できないのです。
駅は日本でも増えたホームドアを設置。電車のドアが閉まるのを防ぐ「黄色い線」を越えるとか、エレベーターを目的外で使用する、駅構内へ飲食物を持ち込むという規則違反、大音量で音楽を聴く、飛び乗り飛び降りとか危険な行為。ホームで犬猫を放つ、駅トイレを自宅シャワールームであるかの様に利用するなど、語るに落ちる行為が報告されているのは聞くに堪えません。
鉄道会社では利用時には規則を守り、洗練された現代的かつ安全な交通環境を構築するために協力を呼び掛けている。というけれど、馬の耳に念仏か、釈迦に説法で、駅員や乗務員の負担が増す一方で怒り心頭のようです。
報道では電車から降りる人を優先、階段は右側通行、公衆衛生を守り、大騒ぎしないことが地下鉄利用者に求められる文明的な振る舞いであるとさえ書かれている。子供じみた市民の情けない実態が世界に発信されているけれど、これを国の恥だと思わないのが不思議でなりません。
さらに旅行ガイドブックではこの国は儒教精神があって、お年寄りとか妊婦、傷害者などに親切なんて書いてあるけれど、最近はどうも様子がおかしい。
地下鉄でも若者は高齢者などへ席を譲らないとか、優先席を独占するなど、地に落ちた光景を目にする。個人的にも、もはや昔日の思いがしてならない。
幾ら経済が発展していても人の文化度はこのレベル、残念ながら衣食足っても礼節の程は未だに知らないまま。こうした情報が知れ渡ってベトナム人のマナーとか、日本でも頻繁に連日の如く報道される実習生などの事件事故。彼らもモラルが無い母国の連中と一様に、低い評価されてしまうわけです。
鉄道会社は地下鉄を利用する際に、安全規則と一般的なルールをメトロ一号線安全の手引きに記載され、これを駅で配布しているというのだから驚き。
此処までしなければいけないのは、家庭、学校で躾が出来ていない証拠です。
日本の小学校を見学、児童が給食の当番制で配膳から片付けまで行うとか、終了時のクラス等を清掃、部活などで躾を見せればきっとビックリするし、殆どの家庭では他人に迷惑を掛けてはいけないという事を親が教えるけれど、この国ではあり得ないから、社会生活の場で他人に迷惑を掛ける、規則を守らず勝手な行動をする人が多いのだと気付かなければなりません。
・地下鉄開業で起きている余波 不動産の高騰
大阪の御堂筋線が箕面萱野(新駅)まで延伸された。此処は赤穂浪士討ち入りを早馬で城台に知らせた萱野三平の出生地で、国道171号線が東西に走っている旧西国街道沿いにあって田畑が多い。都市の郊外化もあってこの線路沿いは人気があり、住宅開発も行われたのです。この結果、新しい街が生れ地価は上昇、しかしこれまでの千里中央駅周辺の施設は閉鎖され、バス便も減少したなど起きました。栄枯盛衰の都市の交代劇。
何れの地でも交通至便は地価が高いのは常識。鑑定評価でもかなりの違いがあって、バス便ではなく、鉄道の最寄り駅までの距離が重要なのです。
このHCM市の地下鉄一号線の開通で沿線のアパートが急騰しているとの報道があります。10年も開業が遅れたけれど不動産開発はかなり進んでいました・
こういう情報は重要だが、ルートや駅が決まれば尚更のこと業者は目の色を変えて走り買収してゆく。しかしインサイダー情報が流れ、これは政治に関わる者と開発大手の人物の間での出来事だが、当然何かしらの金は絶対に動きます。
早くからさる情報筋では、ある有名企業の地上げに絡んだ黒い噂も漏れていた。
これが実態だと聞く。
これはさておいてアパートが販売された際、一般の購入者でも見識が高ければ無理してまで買っておくと絶対に損はしない。どころかHCM市の狂乱不動産価格。当たりハズレはほぼないけれど中でも此の沿線に目敏い人はいい買い物をした訳です。元々旧国道一号線が走るけれど、拡幅と舗装工事に支線などのインフラ整備が行われ、此の周辺はすっかり変身してしまいました。
知人が購入したアパートを見に行ったけれど、増々建築レベルは上がり設備に仕様が良くなってきた事に気が付きます。
市場で気になるのは価格。これが実はとんでもない。現地に長く不動産事業と調査を行っているイギリスのサヴィルズ社に拠ると、中心部とそこに近い物件は、中古でさえほぼ1㎡7千万~1億2千万VND(約43万円~75万円)もするとあって異常過ぎるビックリ価格。
沿線のトゥドゥック市・タオディエンは高級住宅地、このあるアパートの1㎡当たりの価格は8400万~1億2000万VND。ほぼこの辺りのアパートは5年間で57~67%、他物件でも27%~42%上昇したとあります。
中心部から少し離れた駅周辺でも、1㎡が5500万~7000万VND(約34万円~435千円)だから、売ればかなりの利益が見込めます。
この他に新築、建築中のアパートで高価格に設定されているもと云うが売れない筈がないと強気の開発業者。1㎡が1億1千万~1億5千万VNDと言った高値安定状況にあるけれど、殆どあり得ない狂乱状態。
現地に工場を持っている大学の後輩に、数年前だが外国人が不動産を購入できるようになった時、奥さんにも購入を進めました。この時は余り乗り気でなかったようで、その後の事情は知らないが、留学した娘がベトナム人と結婚する事になったと聞いた。あの時買っておけば、になったのかは分らないけれど、こうした例は日本でも結構あります。先のことは分らない、けれど長く不動産に関わって来た経験者ならある種独特の勘が働きます。経済などの流れも良く見知っている訳で、国内外を問わず危うきに近寄らず、だけでなく聞く耳を持っておけばよかったとなるのは請け合い。
このサヴィルズは、昨年10~12月に発表したハノイ市のメトロ3号線でも、開業前なのにカウザイ区の各駅から半径500メートル範囲にあるアパートの平均価格は、一昨年の夏より、昨年同期の経った一年間で40%も上昇したというから、購入者にとって地下鉄は神様仏様のようなもの。因みにこの3号線は昨年8月に高架間での運用が始まったとあります。
このようにアパート狂騒曲はこれからも計画路線と計画される駅周辺を中心で、地上げ合戦が起きるだろうし、開発業者はその情報収集に奔走して札束が飛び交う事にもなる。だが結局はどんどん価格が上昇し、他のエリアもこれに引っ張られる可能性も否定できない。幾ら経済発展が続いていると言え、こんな価格では中間層など手が出ず、一部の富裕層にしか購入できません。一方で社会住宅なんて低所得者層の住宅開発は進まず、若者世代など諦めて帰郷する人が増えているという実態が報告されています。さて政府、行政はどうするのか。野放しのままで大勢を占める一般国民は放っておかれるのでしょうか。
株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生