歩道を占拠する無秩序なベトナム 違法営業問題が頻発

2025年4月11日(金)

日本では昨年に道路交通法が改正され、自転車への罰則が厳しくなった。先日ポストに入っていたチラシは何と警察から、自転車を漕ぎながら音楽を聴くのは危険とか。これを各戸にポスティングをしていました。家の近くに大学病院と看護学校があり相当数の職員は車を使うけれど、医学部の学生は少なからず自転車通学をしている。しかし自転車が法律上で軽車輛であるとの認識を殆どしていない人が多く、ヘルメットは被らない、停止線で一旦停止を無視する、優先道路を制限速度走っていても、三叉路での安全確認などをせず飛び出す。
通勤通学で利用するのに電動自転車が多くなったのでスピードが出るし直ぐに止まれず危険この上ない。これが夜間であれば住宅地の中、尚のこと何が起きても不思議ではないのだが、大学側はどう指導しているのかと疑問を抱きます。
TVで宣伝しているAIを搭載した非常ブレーキが付いた車であっても、この飛び出しには対処は出来ません。それでいて仮に怪我がなくても物損で処理できたとしても、先ず大きい方に問題があるとされるのが極めて理不尽なところ。これが少しでも怪我をしたとか打撲で痛いなどと訴えれば人身事故となるので、ドライブレコーダーを取り付けておかないと何らかの抗弁ができません。

万博が直ぐに開催される大阪。だが市内のビジネス街や盛り場では自転車通勤が多いけれど、止める場所がないという問題がある。すると何のことはない、ところかまわず駐輪してしまうという公共心のなさ。TVニュースでは大阪市は年間2億円の予算で放置自転車を撤去しているけれど追い付かない。なんと警告書を自転車に括り付け、ご丁寧に、また我慢強く持ち主に指導しているとあるが一向に効き目はない。そこで強制撤去を試みたけれど、数時間後には元の木阿弥とか。さらに繁華街でも従業員が店の前に駐輪するが、これでは歩道があっても意味がなく食み出してしまうほど傍若無人。そこに車が来て接触という事態になり兼ねない。警察は穏やかに警告、やっと堪忍袋の緒が切れると書類送検と相成るが、日本の役所は違反者に甘すぎやしないかと思うのだが。
また東京でも道路にテーブルやイスを並べていた飲食店。警察は何度も警告したが一向に改心する事なく無視を続けたところ、とうとう強制執行に踏み切り店の経営者とベトナム人女性従業員を書類送検したとの記事が3月に出ました。自国でやっていたことがそのまま通用するとでも思ったのか。
こうした姿勢が問われるのがインバウンド客の事故。スキー客が滑走禁止区域に入って事故って怪我をしたので救出という記事が多かった。まさに自己責任だが、救助しない訳にはいかないけれど高額の救助保険に強制加入させるとか、入山規制と高額入山料を取るなどけじめを付けて貰う事を考えないといけない。
これもついに4000円の入山料を徴収すると山梨県と静岡県が歩調を合わせたのです。だがこれ以上に必要なのは絶対先ずの入山規制。これをしないからとんでもない行動をするし掟破りも平気で、挙句の果て事故を起こすのです。
南国で生まれた人は高地の気候を知らない。また多くの外国人は半袖の薄着にショートパンツ姿、雨具やランプに非常食は携行しておらず、スニーカーなどは足を痛める原因となる。山を馬鹿にした行為は結局救助要請となり大迷惑。
桜の季節になると中国、台湾などからの観光客が押し寄せる。これを見越して臨時便を増発するとかだが、観光地の土産物屋はいいけれど、ポイ捨てが横行、酒呑みが闊歩するなど治安も良くなくなる。さらに乗り慣れない右ハンドルのレンターカーでの事故など警告で済ませず、厳しい対応で臨んで貰いたい。
所変わってベトナム。歩道の占拠、無許可賃貸が問題となっているのです。
バイク天国ベトナム、公共交通が発展していないから市民の足は専らバイク。
一家に数台あるけれど、成年は殆ど一人一台。でなければ何をするにもどうにもこうにもままならない。今に始まったのではなく、もう何十年と続いているのだが、バイクの数が増えすぎてどうにも収まりません。
観光に来た人が驚くけれど、HCM市のど真ん中でさえ歩道はバイクが置かれて歩けないこともある。それどころか駐輪場として機能、これは違法に賃貸、占拠され通行を妨害しているけれど、しっかり駐輪代は取られるのです。
ホテルやオフィスビル、その他の施設でもバイク置き場を地下や二階部分などに造っており、スーパーでは広い駐輪場が無ければならないのだが、仕事に行くにしろ遊びに行くにしろ、近くにバイクを止めることが出来なければ困る。

HCM市の道路事情だが、実は歩道がない状態の道路が何千本もあって、その多くは個人の私有地の様に扱われ、無許可で賃貸されているという。これでは危険だし景観が損なわれるけれど一向にお構いなし。
驚く事にネットで検索すると、希望するエリアの歩道賃貸料情報が無数に見つかるとあります。もちろんこれは市が公表している正式な歩道使用許可リストにあるのではなく、勝手に決めている違法なこと。記事にはビンタン区のある通りは1,5メートル幅の歩道が月額350万VNDで借りることが可能。
また別の歩道は220万VND、電気・水道代は別、取り締まりはないなどとご丁寧な注意が来もあるが、こうした情報が多数あり日々活発に取引が行われているなど無法地帯。
こうした歩道は駐輪場として限定的に使われるだけでなく、路上散髪屋、飯屋にも使われるけれど、市内の何処の飯屋でも店の前は自分の敷地として勝手に、あのプラスチック製テーブルとイスを置き、堂々と客に食事を提供しています。さらに夜になれば遅くまで酒類も提供し歩行者の妨げになっている。
日本と違ってベトナムの公安はこうした違法に歩道を占拠する店を急襲、全てをトラックに回収している光景を見たが、有無を言わさずものの数分、あっという間に綺麗にしたのです。店主は形振り抗議するが自業自得。
定期的にこうした取り締まりが行われるけれど世界の常識というべきか一時的。
蠅のように直ぐに元の状態に戻り、効果は限定的で効果が薄いのです。
実はベトナムでもこの様な歩道の無許可使用とか賃貸は道路交通法違反となる。
歩道の使用は市・区の行政機関の承認があった場合に限られ、その適用範囲は限られており、市は有料で歩道を使用することを勧めようとしているとあるが、多くの地区では依然として無許可の勝手使用が横行しており、これが交通の妨げとか交通事故に繋がっているという。
観光客が多いグエンチャイ通り、グエンユー通りなども公然と露店が営業しているのだが、これには市民が当たり前のように受け入れているのが問題。
むしろ歩行者が避けるのが当然と考えていること自体が異常なのです。
別の記事には先にあるようなネットでの告知ではなく、れっきとした歩道賃貸業者がいるとある。ある業者はHCM市内で1000以上の道路を管理・賃貸しているというから行政は一体何をしているのか。業者はこれを一カ所あたり3百~5百万VNDで貸しており、取り締まり状況をアドバイスするという程の悪辣さだという。これはもはや組織的犯罪であり同時に借りる側にもモラルどころか犯罪に加担しているというけれど、そういう意識は全くありません。
では何故このようなビジネスが、違法ではあるけれど、活況なのかと言えば、初期投資が1000万VNDほどで始められるからで、小銭稼ぎに向いているという訳です。味を締めれば次第に月額で1億VNDの稼ぎともなるから美味しくて止められない。

HCM市の資料に拠れば、市内4869の道路の内、2271本の道路の歩道が本来の目的ではなく違法営業されるために占拠されているという。
此処まで実態が分かっているのに、具体的な策が実行されず、公安の強行摘発というを以ってしたところで、イタチごっこの繰り返しに終わってしまうだけ。もしかすると時々やるのは見せしめ、やられた店以外は何らかの思惑や手加減が動いているのでは、との穿った観方もあるけれど、もしかすると政府の賄賂禁止など単なる雄叫び。袖の下社会が蠢いているという社会の変革がされず、何時まで経っても平然と違法行為が続けられるわけなどあり得ないと思える。
解決には長期的で持続可能な対策が必要だし、市民の意識改革が求められるのだが、誰もが何らかの恩恵に与っているので、こうした改革はなかなか糸口が見つからない。言いたくてもバックに誰がいるか分らず口に出しては言えない人も多く、何事もおざなりのまま。

株式会社VACコンサルティング 顧問
(IBPC大阪 ベトナムアドバイザー)
木村秀生