ミャンマーでは、民政移管以降、各種の法整備が急ピッチで進められており、特許、意匠(デザイン)、商標(ブランド)などの知的財産を保護する法律の整備に向けた準備も行われています。
ミャンマーには、著作権以外の知的財産権に関する法律(特許法、意匠法、商標法など)は存在しません。唯一存在する著作権法も、英国領インド時代の1914年に規定され、現在有効に機能しているとは言い難いものです。このため、ミャンマーでは、知的財産が適切に保護されているとはいえず、模倣品の輸入・販売などを取り締まることは困難な状況にあります。
ミャンマー政府も、知的財産権に関する法整備の必要性を認識しており、既に、特許法、意匠法、商標法、著作権法の4つの法案を作成。2017年8月、国会に提出しました。2018年2月に上院(民族代表院)を通過し、下院(国民代表院)で審議されていましたが、2019年に入り、新たな動きがありましたので、ご紹介します。
商標法と意匠法の2法案が成立。他の法案も近く成立する見込み
知的財産関連4法のうち、商標法案は、2018年12月に下院を通過し、2019年1月、大統領の署名を経て成立しました。そして、意匠法案も下院で可決され、成立しました。これにより、両法は、近く公布される見通しです。
また、著作権法案も下院で可決。本記事の執筆時点では、大統領の承認を待っている状況であり、近く成立することが見込まれています。
一方、残る特許法案については、本記事の執筆時点では、下院の審議が続いていますが、2019年3月までの国会会期中に成立する見通しです。
ミャンマーの知的財産法の整備には日本が協力
ミャンマーにおける知的財産法の整備は、日本の国際協力機構(JICA)と特許庁の支援を受けています。
JICAは、2013年度から、日本の法務省職員や弁護士などの専門家を、連邦最高裁判所などに派遣しています。支援プロジェクトでは、知的財産法の施行までと、施行後のアクションプランを作成し、検討課題の洗い出し、到達目標の設定、優先順位の検討などを行っています。
また、特許庁も、現地に専門家を派遣し、知的財産法案に関する助言、知的財産専門機関(知的財産庁)の業務運営に関するノウハウの提供など、知的財産庁の業務を円滑に立ち上げるための支援を行っています。