ミャンマーは、2011年の民政移管以降、日本企業の進出が活発な国の一つです。
ジェトロが行った調査(2017年度)によると、ミャンマーに進出した日系企業の80%以上が「電力不足・停電」を経営上の課題に掲げています。電力をはじめとするエネルギー問題の解決は、日本企業のミャンマー進出にとって、重要なポイントの一つと考えられます。
そこで今回は、ミャンマーの電力事情についてご紹介します。
電力に関する現状
ミャンマーでは、水力による発電が主流です。電化率は、都市部で約8割、農村部では約3割であり、他のASEAN諸国と比べて、いまだに低い水準にあります。電化地域であっても、特に乾季に入ると、停電が頻繁に発生します。このため、自家発電機を設置している日系企業もあるようです。
一方、電気料金は、2014年に平均40%値上げされましたが、依然として、ASEAN諸国では低い水準です。この点は、メリットともいえるでしょう。
インフラが充実した工業団地が人気
2015年9月、ヤンゴン近郊に、工業団地「ティラワ経済特別区(SEZ)」が開業しました。ティラワSEZは、日本とミャンマーが官民を挙げて建設と運営に参画し、電気や水道などのインフラが整う国際標準の工業団地です。既にほぼ完売状態となっており、入居企業の半分が日系企業です。こうした人気の高まりを受けて、ティラワSEZは現在、拡張工事が行われています。
また、南部のダウェーにも、日本、ミャンマー、タイの3か国がかかわり、巨大な工業団地を開発する計画があります。
ポテンシャルを秘めた国だけに、今後に期待
ミャンマー政府は、先にご紹介したような現状と、近年の電力需要の急増を背景に、電力供給の改善を、優先度の高い政策課題として位置づけています。2030年までに、ミャンマー政府は、電化率100%を目指す「全国電化計画(NEP)」を掲げています。さらに、海外からは、太陽光などの再生可能エネルギーを含めた幅広い分野における技術協力や投資が行われています。
今後、電力などのインフラ事情が改善していけば、ミャンマーの経済ポテンシャルが更に発揮されそうです。長い道のりになるでしょうが、期待したいと思います。